なんとなく思うこと・・・ニュースや世間のいろいろなこと、私が思うことと世間が感じることは違うみたいです。
兵庫県知事不信任
石破茂新総裁
このところ政治・選挙絡みの話題が多く、素通りするのも何なので書いておくことにした。 昨日行われた自民党総裁選、もともとの大義名分は、キックバック、政治資金規正法違反をはじめとした自民党の信頼失墜に対し、岸田首相自らが責任を取るということだったはずである。 だから、9人が立候補した選挙で、誰がいちばん後継総裁にふさわしくないかといえば、騒ぎの元を作った安倍派であり、安倍に近い議員である。だから、高市氏は今回遠慮するのが筋であり、当然そうするものと思っていた。 ところが当然のように立候補して、「勝ちに行く」などと言っている。もちろんバックにいるのはアベノマスク一派であり、派閥はないことになっているが我々が一番強いと言いたいのである。これで女・安倍が勝ったら自民党は変わるつもりはないということだし、政治も変わらない。 小泉でも小林でもいいから、高市だけはやめてほしいと思っていたら、案の定国会議員票では石破氏に大差をつけ、トップで決選投票に進む。石破の党内での人気のなさは有名で、麻生が高市支持に回ったという報道もあり、決選投票でも予断を許さないと思われた。 ところが、一回目投票の27票差を逆転、逆に21票差を付けて決選投票を制した。決選投票前の5分間演説でも、正直言って格調高さが違っていたけれども、なにしろ党内で人気がないので厳しいと思っていた。 NHK解説では、高市氏の保守的すぎる姿勢が、党内で支持を広げられなかった原因ではないかと分析していた。保守的というのはマイルドな表現で、はっきりいって安倍直系の右派ということである。ルペンとかメローニである。米韓中との関係でいうなら、防衛庁長官の長い石破氏の方がずっと堅実だ。 おそらく決選投票に向けた投票行動は、マスコミが後付けでいろいろ分析するだろうが、国会議員票でいうなら「小石河連合」が効いてきたということだし、戦略的にいうなら次の選挙で誰なら勝てるか(負けを少なくできるか)をみんな考えたということである。 高市氏が勝ったところで「初の女性総理」と持ち上げられるのは最初だけで、選挙になれば逆風は変わらない。そもそも実態は安倍派で、騒ぎを起こした張本人なのである。それよりも、安倍とは距離があった石破氏を選ぶ方が言い訳がきく。 自民党は昔から、支持率が下がって首相を替えざるを得なくなると、党内反主流派がその受け皿になることが多かった。疑似的な政権交代である。それが田中院政の頃からおかしくなり、安倍時代にはまったく機能しなくなった。 いまや派閥はなくなったという建前なのだが、実際は数を頼みに女・安倍が多数の票を集める状態である。しかし民主主義は、党内で多数を占めた派閥や国会で多数を占めた党が好き勝手できるものではない。その意味で、党内に嫌われる論客である石破氏の登板はたいへん喜ばしい。 石破氏は、数十年前に就職した銀行の1年先輩である(面識はない)。家の奥さんもそうなので、茗荷谷で同じ入社式に出ていたことになる。 石破氏は20代で地元に帰って国会議員になったし、その銀行も合併を繰り返して今はない。私はリタイアして8年以上が経過した堂々たる年金生活者だが、彼はこれから命がけで最後のお勤めをしなければならない。 先般、立憲民主党の党首になった野田氏も同じ高校の同期だし、自分と同じような場所にいた人達がいまだに第一線で活躍しているのを見るのはたいへん心強い。日本の政治もそこまでひどくはなかったと思っている。 [Sep 28, 2024] 9人が立候補した自民党総裁選。終盤まで誰が勝ちそうなのか報道がない不透明な状況だったが、石破元防衛庁長官が女安倍を破って新総裁に選出された。
解散総選挙
自民党新総裁選出から数日、あわただしく政治日程が進み、臨時国会召集、新総理指名、内閣・党人事、所信表明が先週終わった。今週は代表質問の後、衆議院解散・総選挙となると報道されている。 しばらく前にランニングしていて、妙に公明党のポスターが増えていることに気づいた。誰が新総裁になっても、臨時国会後解散・総選挙となることは公明党に根回しされていたようである。 内閣のメンバーをみて思ったのは、安倍派が冷や飯を食わされていること、中谷防衛相・村上総務相あたりにこだわりが見られること、防衛族や菅元首相に近いメンバーが多いことである。こうした点から、総裁選で敵対した旧安倍派を取り込む意図はないと思われ、たいへん喜ばしい。 内閣の顔ともいえる官房長官には総裁選を争った林芳正、財務大臣には加藤勝信が就任した。二人とも東大卒で、論客として知られる首相も、国会のチープな答弁は嫌だったということである。外務大臣の岩屋は総裁選で石破候補の選対本部長だから論功行賞だし、防衛族でもある。 加藤新財務相は課長くらいで退官したはずだから、何階級か特進して古巣に戻ったことになる。当然、成長戦略より財政均衡に関心があると思われるので、その路線ということである。林は岸田派で、もともと宏池会。宏池会系の谷垣グループからも何人か入閣している。 党人事では、副総裁に菅、選対委員長に小泉息子が入った。幹事長の森山はもともと橋本派で、国対委員長、総務会長など党要職を務めてきた。当然菅総裁の時代も含まれており、菅に近い議員といえる。報道では、総裁選を争ったメンバーを要職に迎え、挙党一致体制と伝えられたが、旧安倍派はみごとに外されている(高市氏は固辞したとされる)。 このところ内閣や党の要職にずらりと顔を揃えていた安倍派幹部や安倍に近い議員がいないのは、騒ぎの張本人であるから当り前である。 こうしてみると、石破新首相としては菅元総理の後ろ盾の下、長期政権というより独自色を出したい内閣・党人事だったと思われる。報道では9日解散、総選挙は15日公示、27日投票ということだが、ボロ(不祥事)が出ないうちにさっさとやってしまいたいということかもしれない。 自民党にあまり期待はできないが、しばらく安倍派を後ろに下がらせただけでも石破の手柄である。前回が勝ちすぎたので総選挙は厳しいけれど、立憲民主党が大幅増になるとも思えないし、いま維新は逆風である。議席減でも自公で安定多数は確保するのではなかろうか。 [Oct 7, 2024] 石破新首相の閣僚人事。安倍派を外したのと、官房長官・財務大臣が東大卒であること、防衛族が相当数入っているのが首相のこだわりか。 予定通り衆議院は解散となり、来週は総選挙が公示される。早くもポスター掲示板が用意され、出張所は投票所にするため27日は閉鎖になる。NHK党のようなふざけた連中が準備する期間は少ない方がいいし、ポスターだの選挙カーがうるさいから選挙期間は短い方がいい。 それはそれとして思うのだけれど、NHKはじめマスコミは「政治とカネ」とか言い出して、ワンパターン思考に有権者を誘導しようとしている。しかしこれは、政治とカネの問題じゃない。 政治とカネの問題は、もともと政治にカネがかかりすぎるのと、買収や利益誘導が起きやすいので、政治家は正規の手段以外で政治資金を調達・使用しなければならないということであった。それを改めるため、小選挙区制にして政党助成金という制度を作ったのである。 対して今回の事件の本質は、「安倍派にいれば不正を見逃してもらえる」という点にある。いわば、寄らば大樹で他人を出し抜くのが当り前、そうしない奴は頭が悪いというモラルハザードであった。 派閥幹部自らがパーティー券キックバックなどの不正手段を開発し、みんながそれを踏襲してきた。アベノマスク存命中は、誰も(警察検察もマスコミも)それを指摘できなかった。そして、捻出した裏金は政治に使われたのではなく、おそらく政治家個人が懐に入れたのである。 政治や選挙にカネがかかるのではなく、自分が欲しいのである。政治とカネではない。泥棒や詐欺と一緒である。有力者の後ろ盾があれば「オレオレ詐欺」をしても捕まらないとすれば、それは特殊詐欺の問題ではなく、遵法精神や法治国家のあり方に関する問題である。それと同じである。 安倍派がそれをやれば、仲良しの二階派もそれをやる。宏池会だろうが無派閥だろうが、秘書仲間の横の連絡があるので桁が違うだけでみんなやっていたはずである。「事務的なミス」で許してもらえるなら、税法も政治資金規正法もいらない。 誰かが絶大な権力を握れば、法律も制度もモラルも無視できるし、国会審議も役所の規律も守らない。日本も結局のところコネ全能の開発途上国であったということである。 恐ろしいのは、安倍派がこれを「踏み絵」に使った可能性が大きいということである。政治資金規正法に触れる、ルールに悖り好ましくないと思ったとしても、「アベ親分に従わないの?だったら次の人事は覚悟しといて」ということになる。不正に手を染めないと仲間と認めないのは、イジメ問題とよく似ている。 だから、この問題にけじめをつけるのであれば、安倍先生が庇ってくれるから、われわれの派閥がいちばん数が多いからと言っていた連中を何とかするしかない。安倍派の長期間冷や飯である。でも、それはできない。そういう連中は選挙に強く、地元をきちんとまとめているからである。 政治にカネがかからないようにする方法も、政治資金規正法を厳正運用する方法も、彼らには効果がない。有力者の庇護のもと他の連中よりいい目がみたいという根性は、NHKが主張するような方法では直らないし、そういう連中は次々と現れるだろう。 石破首相も長らく反主流派にいたから、そういう流れはよく分かっている。「ルールを守ることの大切さ」を強調するのはきれい事だけではなく、ルールを守らないことで利益を得ていた連中を何とかしたいからである。 ただ、それは一朝一夕にはできない。石破が10年政権を持っていればできるかもしれないが、そうすると新たな主流派が新たな問題を起こすはずである。 日本の民度はそんなもので、いまさらどうにもならない。維新が政権を取ろうと共産党の時代になろうと、同じことである。政治に関わることと他人のカネを自分の懐に入れることはおそらく同じ意味であって、それは民主主義でも共産主義でも、独裁制でも変わらないのである。嘆かわしいことだ。 [Oct 11, 2024] 安倍派キックバックの本質は、「政治とカネ」ではなく、有力者が庇ってくれれば、あるいは数を頼みに、ルールを無視して構わないという点にある。 短期決戦の総選挙が終わり、与党が過半数割れという結果となった。比較第一党は自民党が確保したが、立憲・国民の両民主党で70議席増というのは、政治資金の不申告(未記載)がそれだけイメージが悪かったということである。 選挙に強い議員は自民党公認がなくても関係なく当選したが、寄らば大樹で安倍派に集まりみんなやっているからキックバックを申告しないなんてことをやっていた候補は相当数が落選した。もしすぐに総選挙をやらず来年に先送りしていたら、ここまでドラスチックにならなかっただろう。 選挙結果をみてまず思ったのは、1票は小さいけれど集まるとそれなりに意図を感じるということで、自民党が政権でいいけれども政治資金でズルした連中(安倍派)は退場願いたいという多くの有権者の判断がうかがえることである。 フランスのように移民問題で右派の勢いが強すぎると、政策が水と油のマクロンと左派が協力することになるけれど、さすがにわが国ではそこまでいかない。保守党とか参政党も議席を確保したけれど、申し訳ない言い方だがガス抜き程度の存在感しかない。 立憲民主も勝ちすぎて、首班指名で野田一本化と言い出したけれど、一種のポーズである。追加公認で自公が過半数すれすれまで行くので、保守党とか参政党まで含めなければ勝てないが、さすがにそこまではやらないし、もし勝ったところで何をどう協力するのかという話である。 選挙前には、与党過半数割れで首相退陣説も出ていたが、「石破下ろし」するはずの安倍派が大挙して落選したので、過半数割れにもかかわらずそうした空気にはなっていない。辛くも当選した萩生田にしても世耕にしても、とりあえず自分のことで精いっぱいだろう。 もし公明党が解散前の議席を確保していれば追加公認含めて何とかという状況だったのだが、公明党が8減らしてそれもできなかった。個人的に創価学会は嫌いだし、統一教会と五十歩百歩だと思うからいいのだが、そもそも特定の宗派が平気な顔して政権に参加するのが異常なのだ。 議席数を大きく減らした要因は、誰も言わないけれど大先生の死去で組織力が落ちたことである。もちろん、統一教会問題のあおりもある。いずれにしろ、ドイツはみんなキリスト教徒なのでキリスト教民主同盟や社会同盟が強いけれど、日本にそんなに創価学会員がいる訳がない。 そして、われわれが連立参加しているからまともであるという言い訳も利かなくなった。結局のところ、与党内部から監視なんてできないししていない。政権に参加して大臣も出せるし、旨味があるからやっているだけなのだ。> 自民党が議席を増やせば公明党と連立する必要もなかったはずなのに、一度食べてしまった毒饅頭は簡単にやめられない。公明党にしても、政権批判で一から出直そうという人はほとんどおらず、政権にいることでいい目をみてきた連中なのだ。議席を減らしてもあまり同情できない。 自民党も公明党も議席を減らした結果、石破政権とすれば、公明党以外にも協力してもらわなければならない。これから能登復興の補正予算もあるし来年度予算もある。キックバックや統一教会の後始末も含めて、国会運営をつつがなく行う上でどこかと連携する必要がある。 本当のことをいえば、もっとも円滑に事を進められるのは立憲民主党との連立である。野田佳彦と自民党は基本的に政策が一緒だし、かつて民主党政権時代に大臣だった連中も多い。ただ、自民党批判で票を集めた以上、それをやったら次の選挙では壊滅するのでやらないだろう。 可能性があるのは、維新の会と国民民主党である。ともに、解散前の国会でも与党に協力しているので、話の持って行き方では連立に加わるまでありうる。ただ、維新の会はこれから兵庫県知事選挙があるので、表立って動きを見せづらいかもしれない。 選挙前に書いたように、今回のキックバックは政治とカネの問題ではなく、詐欺や泥棒と一緒だと思っているが、マスコミが「政治とカネ」に誘導しているから仕方がない。ともあれ、十数年前の年金問題と一緒で、ズルをした奴は一度痛い目をみてもらう必要がある。 石破首相は、もともと自前の派閥やグループがある訳でもなく、自民党の権力バランスの上に立っている存在である。ここまで大きく負ければとりあえず党の立て直しが最優先で、次を狙う小泉ジュニアあたりもすぐ動けない状況である。マスコミ辞令の高市・加藤など飛んでもない話である。 その意味で、過半数割れではあるがかえってやりやすくなったと思っている人もいるはずで、その一人が菅元首相であろう。全国的に反自民の嵐だったとマスコミは言うけれども、菅や河野、小泉ジュニアは都市圏にもかかわらず圧勝している。 岸田前首相が「隠れ公認料」で票を減らしたこともあり、今後数年の政局運営は神奈川グループが鍵を握ることになりそうだ。 [Oct 29, 2024] 石破総裁に代わってすぐ行われた総選挙。信を問うという意味からすると信は得られていないということだが、安倍派を多数落としただけでも選挙する価値はあった。
藤田奈七子スマホ引退
先週、日本中央競馬会(JRA)所属の女性騎手、藤田奈七子が電撃引退した。寿退社とかおめでたい話ではない。競馬場にスマホを持ち込んだのがバレて、いわば「不正疑い」で処分を受け、引退届を提出した(させられた)のである。一流・超一流ではないが、騎乗機会に恵まれた有名なジョッキーであった。 JRAの若手騎手多数が、スマホ持ち込みで長期間騎乗停止処分を受けたのはつい最近の話である。藤田自身も、騎乗停止には至らなかったものの厳重注意を受けている。当然、次にやったらクビということは言われていたはずで、にもかかわらずスマホを手放せなかったのは中毒なのだろう。 競馬場から外部と通信してはならないのは、八百長レースにつながるからである。JRAが巨大企業といっても、その売上はファンが購入する1口100円の馬券が積み重なったものである。そこから世界的にも高額な賞金も出るし、馬主、調教師、騎手、生産者(牧場)の生活も成り立つ。 だからJRAにとって最も怖いのは、不正レースの疑いを受けて馬券が売れなくなることである。いまの関係者も監督官庁もそんな時代のことは知らないが、1960年代までは八百長レースと騒がれ開催ができなくなった事例はいくつもある。後楽園競輪や大井オートレースが廃止されたのも、それがひとつの要因であった。 いまでも地方競馬ではそういうレースが見られるけれども、さすがに中央競馬ではあまり見ない。せいぜい、勝ったと思って追うのを止めたくらいである。しかし、JRAとしては手を緩めることはできない。だからいまだに、競馬場にスマホを持ち込んで通信するのは許されないのである。 かつては、恐い人達に弱みを握られた騎手が、人気のある馬に乗った時に馬券から外れるというのが八百長レースだった。外部との通信を許すと、そういうことが可能になる。藤田奈七子がそこまで人気馬に乗ることはないが、だからといって開催中に外部と通信していいことにはならない。 どこかのスポーツ新聞に匿名の馬主が、JRAの監督責任はどうなる。民間だったら引責辞任だと見当外れなことを言っている。だがJRAと騎手個人の間に雇用契約はなく、騎手はあくまで個人事業主である。JRAは開催中のことについて監督権限はあるが、個人の行動に干渉できない。 つまり「こういうことをしたら競馬に乗れませんよ(騎手免許を更新しませんよ)」と指導することはできるが、スマホを持ってくること自体を力づくで止めることはできない。だから、今回のJRAの処分そのものはまったく問題なく、匿名の馬主は競馬に詳しくないのだろう(そういう人は山ほどいる)。 その意味で、一家そろって、古くから競馬に関わっている競馬ムラの人達は、過去の経緯は実体験として受け継がれているから、クビになることまでやらない。先般、競馬場内に自家用車で進入した騎手は競馬ムラ出身者だったが、おそらくそこまで悪いとは思わなかったのだろう(救急車が入ることはある)。 藤田元騎手は競馬ムラ出身ではなく、一般社会から競馬学校に入ってきたという。だから、そのあたりは家族の実体験として受け継がれていなかったし、誰も教えてくれなかったのだろう。20代のOLだったら考えられないくらい収入があったはずだが、かといって一生遊んで暮らせるほど稼いだ訳でもない。これから少なくとも三四十年、先は長い。 そして、こういう形でJRAから離れると、細江さんとか赤木さんのように競馬ジャーナリズムで食べていくことも難しい。ギャンブルに関わる者が不正疑いを持たれることがいかに致命的か、想像力がなかったのか、それともスマホ中毒がそこまで進んでいたのだろうか。 [Oct 15, 2024] スマホの開催中の使用で引退届を提出した藤田元騎手。20代のOLだったら考えられない収入があっただろうに、それをドブに捨ててしまった。
闇バイト事件
首都圏各地で頻発する闇バイトによる強盗傷害(殺人)事件。わが千葉ニュータウン近辺でも、木下在住の実行犯が逮捕され、事件現場も八千代・白井・四街道とすぐ近くになってきている。 この事件についてはいろいろ思うところがあるが、今日はその中で安全に的を絞って書いてみる。もうひとつ、闇バイトに応募して重罪を犯すメンタリティについても考えているが、これは改めて書くことにしたい。 今回の事件は、少し前の「ルフィー」とは別口であるようだが、「ルフィー」の時も今回も、現場に駆けつけた警備会社がとか、警備会社に通報を受けた警察が、といった内容を聞いた覚えがない。そして、首謀者や指示役は、標的の家に多額の現金があることを把握していたらしい。 盗みに押し入って住民にケガを負わせたとなると、これは相当の刑期を覚悟しなければならないし、それに見合うだけのメリットがなければリスクは負えない。空き巣ならともかく、強盗に及んで家の中に数千円しかありませんということは彼らとしても避けなければならない。(その意味でわが家は安全である) ということは、カネがあって、戸締りが手薄で、近所がすぐ騒ぐということもなく、年寄りが少数で暮らしているという家がリストアップされている可能性が大きい。 店舗や事務所で襲われているのは質屋とかカネがある場所で、一般の住宅でもスマホで指示された実行犯が、まず「カネはどこだ」と言っているらしいから、そういうリストがあると考えなくてはならないだろう。そして、押し入ってもセコムは来ないし、すぐに警察に通報もされないと分かってやっているのだ。 日本人は水と安全はタダだと思っているというのは、60年前から指摘されていることである。アメリカでは、高級住宅地では自前で警備していて、そうでない場所は犯罪多発地帯であることを覚悟しなければならないと言われてきた。実際そうであるらしく、自衛しなければならないから銃規制ができないのだ。 わが国でもしばらく前、警備会社が機械警備を始めた頃ちょっとしたブームになったことがあった。当時はまだバブルの余波でカネ回りのいい人は結構いたし、オウム事件など物騒な世の中だったこともある。長嶋父がまだ元気で、「セコムしてますか」と言っていた頃である。 もちろん今でもセコムやアルソックで自宅警備している人はいるだろうが、一般家庭では必ずしも多数派ではない。むしろ、孤独死防止とか、小さい子の見守りで警備会社を利用する人の方が多いかもしれない。(もっと多いのは「自宅警備員」のいる家かも) ただ、機械警備が導入された当時と現在とでは技術が大きく違っている。監視カメラなんてカー用品店で1万円くらいで売っているし、センサーはもっと安い。警備会社は結局のところ誰かが監視するから経費がかかるけれど、近い将来AIが対応できるようになれば人手はそれほどいらない。 警備会社は営利のためにやっているから、安く提供できるからその分価格を下げるなんてことはしないが、いずれはそういうサービスが出てくるはずである。例えば、夜中に窓を割って侵入すれば、すぐに確認の電話がかかってきて、出なければ警察に連絡するなんてことは今すぐにでもできそうだ。(素人のバイト強盗だったら、電話だけでビビって逃げる) そうなると、治安がとか警察がとか言うより先に、警備会社のサービスに加入するのが早道ということになるかもしれない。それ単体だと自分でできるという年寄りはいるだろうが、生存確認とか急病対応と組み合わせれば、絶対いらないという層は限られる。 間違いないのは、これから先、高齢者のひとり住まいは増える一方だし、身内でも行政でも誰かが対応しなければならないということである。 とうとう千葉ニュー近辺にも迫ってきた闇バイト強盗事件。家の中にカネがあって年寄りだけで暮らしている家は、機械警備を依頼する必要があるかもしれない。 闇バイト事件についてもうひとつ感じるのは、闇バイトだと分かって応募して指示されて強盗する人達が少なからずいるということである。 マスコミはSNSとか秘匿性アプリにやたらと関心があるようだが、強盗は重罪で少なくとも数年間の実刑だし、少々のバイト料に見合うものではない。少なくとも自己破産は懲役よりかなりましであるのに、それでも指示されればやってしまうのはなぜかということである。 自己破産を選ばないのは知識がないからだが、危ないと分かって闇バイトに応募し、強盗までしてしまうメンタリティはSNSとかそういったことではないように思う。 私の世代であれば「社畜」と言われた人達だし、団塊世代なら学生運動で角材鉄パイプを振り回した人達だし、もっと前なら軍隊で民間人に危害を加えた人達と同じなのである。 私の若い頃のことでよく覚えているのは、会社で数年上の先輩が「電通鬼十則」を持ち出して、「自分で考えるな。バカになれ」と説教していたことである。自分の頭で考えない人間がどうなるかというと、当時なら社畜になるし、今日ではバイトのつもりで強盗なのである。 闇バイトで強盗する人達は、SNSのせいでもないし昨日今日現れた訳でもない。形こそ違え昔から何度も出てきた人達であり、おそらく日本人のメンタリティがそうなっているのである。 自分自身については闇バイトで強盗することは絶対ないし、社畜にもならなかった。しかしこういう人間は日本の会社では絶対に出世しないし、軍隊にいても同じことだろう。はっきり言えば、日本のムラ社会で生き残れないタイプなのである。(上の先輩社員が私より経済的に恵まれただろうことは想像に難くない。代われと言われても嫌だが) 日本のムラ社会の伝統的な生き残り戦略は、先輩社員の言うように自分で考えるな、バカになれ(=上の指示に絶対服従)だから、窓を破って家に入れと言えばそのとおりにするし、住民をおとなしくさせろと言われれば殴る。学生運動で角材鉄パイプを振り回したのと違うところはひとつもない。 だからいまだに体育会出身者は就職で優遇されるし、日大卒が企業の中枢に山ほどいることになる。そういう人間が生き残る社会だから、バイトでも指示されれば強盗するのが当り前で、借金がどうとか個人情報を握られたなんてほとんど関係ない。 そして、警察が「脅されたら警察に連絡。必ず守る」と言ったところで、誰も信用しない。警察自体も信用できないが、児童虐待は児童相談所といっても何もしないし、かつて過労死する前に労基局へと言われても何もしてもらえなかった。建前ではルールを守るといったところで、身内の不文律の方がずっと重いのである。 賞味期限切れのシールを張り替えて出荷するのも平気だし、検査はいい加減に判を押して当り前なのである。これはおかしいと言ったところで自分の仕事が増えるだけ。いつか大騒ぎになるが、その時の責任者の運が悪いでおしまいである。 つまり、闇バイトで強盗までするのは日本人のメンタリティに多くの原因があり、何を言っても直らないし、対策なんて建前だけで誰も守ってくれない。結局のところ自分の身は自分で守るしかなく、マスコミ報道に乗せられてストレスを増やすだけ損ということである。 [Nov 6, 2024] 闇バイト事件で、マスコミはSNSとか秘匿性アプリに注目するが、上の指示にバカになって従うという日本人の生き残り戦略が大きな原因のように思われる。
兵庫県知事不信任
政治・選挙絡みのもうひとつは、自民党新総裁よりかなりデリケートな話題である。草稿は書いたのだけれどupするかどうか相当迷った。でも、いまのタイミングで書いておかないとその機会がないように思うので、思い切って上げてみる。それでも、何を言っているのか不明な文章になると思うが。 前からニュースでも大きく採り上げられ、YouTubeのおすすめでもトップに出ていた兵庫県知事の事件。正直言ってこの案件、おそらくマスコミで書けないことが多すぎて、特に東京でニュースの字面だけ追っていても何が本質なのか全く分からない。 ただ、この問題の本質のひとつは、これが維新の会絡みということである。維新については大阪都構想の時に書いたし、私と似た感想を持つ人はあまりいないみたいだし、そんなにアクセスもないので炎上もしないだろうから、この機会に書いておこうと思う。 私自身も兵庫県民だった時期が約1年あったし、関西在住は3年以上になる。正直なところ、かなりややこしいところで、仕事だから仕方ないがそうでなければいたくない場所である。特に、行政絡みとか地域社会とかと関わり合いになりたくない。 当時、大阪梅田周辺が今みたいに再開発されるなんて到底思えなかったし、奥底の本質的なところは変わってないだろうと推察する。京阪神や関西一帯は、府県だろうが市町村だろうが、きれい事ではすまない土地柄と理解している。 斎藤知事の許されない悪行としてマスコミが大騒ぎするハラスメントにしてもおねだり疑惑にしても、よく考えれば大した問題ではない(誉められることでもない)。カニだかエビをもらって帰ろうが、グズな県職員を怒鳴りつけようが、半世紀前なら問題にもならなかっただろう。 休日や時間外にたびたびメールが来て職務上の指示があるのは当り前で、知事に直接接点のある職員であれば仕事は9時から5時までなんて言うのがおかしい。それだけの給料はもらっているはずである。 イベントに表向き県のサイフから出せないので、どこかに補助金を出して経由させるというやり方も、東の方ではおそらく問題にならないのだろう。しかし兵庫県では問題になる。それをやると歯止めが利かない(付け込まれる)からだろうか。 だから、県職員にとっては「知事の俺がやれと言ってるんだ」で済む問題ではないし、「お言葉ですが」と反論しなくては組織が成り立たない。しかし、そのように職員が首長を縛ることは、維新の皆さんがたいへん嫌うところなのである。 公益通報の問題にしても、全部が全部まともにとりあったら時間がいくらあっても足りないし、怪文書は出したもの勝ちになる。まあ、普通は処分は形だけにして自ら身を慎むところだが、そうしないのは維新のプライドか本人のキャラクターか。 選挙で選ばれた首長は職員よりずっと偉いというのは、維新の会が結党以来掲げてきたスタンスで、大阪府や大阪市の職員がそれでどれだけ虐げられたか分からない(自殺者だって、ちゃんと出ているそうである)。同じことを兵庫県でやって何が悪いと思っているから、鋼のメンタルとかデスマスクと言われてしまう。 東京的な考え方からすると、上級職に受かった東大出の自治官僚で、各地の県庁・役所を歴任したエリートだから、人格的な問題はあるとしても法・制度の枠を大きく外すことはないと思ってしまうのだが、維新が絡むときっとそうではないのだろう。そのあたり、報道がないものだから余計に分からない。 加えて、この問題にはおそらくマスコミが絶対書かない問題が絡んでいる。だから東京人には余計に分からないし、そんな人をなぜ選挙で選ぶんだと思う。だから、知事と県庁職員のどちらにどういう問題があったか報道だけでは分からない。マスコミを味方につけたのは職員側だが、本当にけしからんのはどちらか、いま出ている情報だけで判断するのは危険である。 塩見鮮一郎氏が何かの本で、女性の社会における待遇を「差別」のタームで捉えていいのかと問題提起していたが、同じようなことがこの問題についても言える。パワハラとか公益通報のタームでこの事件を捉えていいのかと感じるのである。 すべての事実関係を明らかにしても、読者・視聴者が混乱するばかりなのも確かである。だが、なぜ関西圏だけ維新の会が強いのか、なぜ今回、兵庫県知事はあそこまで叩かれるのか考えると、パワハラやおねだりだけではないだろうと思わざるを得ない。 維新を含む議会が全会一致で不信任したので、斎藤知事は失職を選び再選挙に出馬する意向である。どこの政党も支持しない候補がどうやって供託金を工面するのかと思うけれど、何とかするのだろう。 それにしても、関西方面で政治家が問題を起こすと、泣き出すか無表情かでいずれにしても人格的に問題があると報道されてしまうのは気の毒である。斎藤知事の場合、県庁職員より県議会議員より偉いのも、マスコミより頭がいいのも確かだけれど、それを隠さないのは政治家として落ち度なのである。 [Sep 30, 2024] 県議会から全会一致で不信任されてしまった兵庫県斎藤知事。おそらく、ことの本質はハラスメントとかおねだり疑惑とか、そういったことではない。 県議会で全会一致の不信任を受け失職した兵庫県の斎藤知事が、出直し知事選で再選を果たした。TVではあまり触れないようだが、この結果はマスコミと既存政党に対する多くの有権者の見方が如実に表れているように思う。 NHKのニュースでは、新聞・TVよりSNSの影響力が大きかったみたいな総括をしているが、これは現象の半面しか見ていない。そもそも、スポンサーに配慮しお笑い芸人がコメントする民放番組など良識ある人は信用しないし、新聞など誰も読んでいない。 それより大きいのは、私もブログに書いたけれど、報道がすべて事実だとしてもそれほど大騒ぎすることではないし、半世紀前なら問題にもならなかったことである。それをさも大ごとのように報道するのは、通販番組と同じでそういう意図が働いていると思わざるを得ない。 亡くなった県職員はお気の毒と思うけれど、抗議の自殺をすればみんな正しいかというとそんなことはなくて、そのとおりかどうかは各自がそれぞれ判断する。所定時間外にメールが来たり不手際を叱責されたからといって、普通は誰も死なない。カニやエビも同様である。 ブログでも触れたけれど、県庁が知事排斥に動いた真の動機はマスコミでは触れられない。だから県庁職員が正しいかどうかも外からは判断できず、ましてよその県からは何のことやら見当もつかない。兵庫県民の多くはある程度分かった上で、斎藤知事続投を支持したのである。 マスコミの次に反省すべきは既存政党である。県議会の全員一致で不信任した知事が、有権者多数の支持を受けたということは、自民党の言うことも維新の言うことも信用されていないということである。県下の市長連中も知事交代をアピールしたけれど、恥さらしもいいとこである。 そもそも、どうしても現知事ではいけないのであれば対抗候補を一本化するのが当たり前で、今回だってそうすれば再選を阻止できた。ルペンに勝たせたくないから、マクロンとメランションが候補を一本化したのに習えば、斎藤再選を阻止できたかもしれない。 どうせ勝つと思ったから候補者を乱立して共倒れしたのである。既存政党、そして大新聞やTVはどうやって票読みしているのだろうか。留守電に電話を入れて世論調査のふりをしているから、出口調査まで実態を把握できなかったのだ。マスコミを名乗る資格はない。 自民党の大好きなアベノマスク流に言えば、マーケットは間違えないから勝った斎藤知事が正しいということである。WEBの論調では何が本当の真実なのかみたいな意見もあるけれども、普通に考えれば判断できることである。マスコミ報道がすべて事実であってもそうだし、報道の中には事実に反することだってかなり含まれていておかしくない。 その意味で、今回の選挙結果をみてまだまだわが国の有権者の多くは常識的な判断をできるらしいと分かり安心した。アベノマスクや維新を無条件に支持しているのかと思っていたら、ちゃんと取捨選択しているのである。そして、県庁職員にシンパシーを持っていないこともまた明らかとなった。 これで県庁職員の上の方が、やってられないよと全員辞表を提出したら面白い。実際、夕張市では退職金が出ないと分かった途端、部長級以上全員退職したのだから、県庁だってやってできないことはない。でも、おそらくそうはならない。みんな建前より自分の懐が大切なのである。 県議会だって、出直し知事選は経費のムダ使いみたいなことを言っていたのだから、有権者の判断が出たらそれに反論はできない。もう一度不信任したって結果は同じで、それこそ経費のムダ使いである。そして、彼らも自分の食い扶持が一番大切なので、次の選挙で不利になることはしたくない。 県政の停滞とか耳ざわりのいいことを言ってはいるが、ありていに言えば斎藤知事はワンマンで職員の言うことも議会の言うことも聞かないというだけである。そんなことは過去の知事もよその県でもみんなやってきたことで、それでいいと県民が言うなら誰も逆らえない。県は県民のためにあるのであって、職員や議員のためにある訳ではない。 [Nov 20, 2024] マスコミ論調では再選はありえないとされた斎藤知事だが、有権者の多くは支持した。これは、マスコミと既存政党への不信感の表れである。
次の記事
次の記事