せいうち・・・セイウチ科セイウチ属の肉食獣で、北極圏に生息する。体重は成獣で500kgから1200kgに達する。最初は減量日記で始まりましたが、日々は移ろい、リタイア生活の徒然日記になりました。
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ユニクロ ~せいうち日記61

新しい職場も5ヵ月目に入り、ようやく生活のリズムが整ってきた。徐々にではあるが、休みの予定も立てられるようになってきたし、ゆっくり眠れるようになった。

こうなってみると、24時間365日緊急連絡が入る可能性がある、しかも、しょっちゅう連絡がある前の職場は、異常に心身をすり減らしていたことがよく分かる。一時飲み始めた血圧の薬も量が減り、いま測ると低いときは90-60とかになってしまうので、このまま順調なら近い将来飲まなくていいことになりそうだ。

1年前と比べて15kgくらい減量したせいか、食べる量は同じように減らしているにもかかわらず最近はほとんど体重が変わらない。ちょっと悲しい。それでもお腹のあたりがへこんできて、最近ではユニクロのXLが入るようになった。これは個人的には、かなり気に入っていることなのである。

というのは、ユニクロが多店舗展開するようになった十数年前、私自身すでにピークの太り方となってしまっていて、ユニクロに私が着れるようなサイズは売ってなかったのである。そのため、スーツはオーダー、私服はサカゼンとかキングサイズの店にするしかなく、選択範囲が狭いうえに財布には非常にやさしくない結果となってしまっていた。

それが、最近では、ユニクロのXLが入るのである。私服からトレーニングウェアからパジャマ代わりの部屋着から、この夏は全てユニクロである。種類がたくさんある上に安い。これまで1着買う値段で3着買えたりするので、もう3、4回ユニクロに行った。

何と言っても15kg減らしているので、去年一昨年の服がだぶだぶなのである。奥さんに言わせると、だらしない上に余計太って見えるというので、この際普段着を新しくユニクロで統一してしまったのである。実はこれまで何でユニクロがこんなに騒がれているかよく理解できなかったのだが、そうしてみると身に染みてよく分かるようになった。

なにしろ着やすいのである。正直、これまで襟のあるものばかり着ていたのだけれど、襟がなくて肩が窮屈でなく、ウェストもゆったりしている。外に着ていくものがそのまま部屋着になり、その気になれば寝巻きにもなる。外を歩けばみんなユニクロを着て歩いている。見方によっては、寝巻きを着て歩いている。あえてその風潮に逆らうことはない。

そんな訳で、今年は秋冬物もユニクロのお世話になりそうである。家の奥さんによると、1380円のものが突然780円になったりするので、注意して広告を見る必要があるそうである。ちなみに奥さんは、数シーズン前からずっとユニクロで、最近は無印に出世したそうである。

今日の宿からの写真です。(はっちゃん級でちょっと難しいはずですが、皆さんにも楽しんでいただけばと思います。Google Mapにホテル名が載っていないような・・・)


(答)佐世保のなんとかいうホテルでした。目の前のビルがバスターミナル。

[Aug 9, 2012]


5kg太って5kgやせて ~せいうち日記62

昨日マカオの夢を見た。

例によって一人でマカオの街の奥深いところ、人通りのほとんどないところにいて、誰かに何かを言われているような夢だった(イメージとしては旧市街の大通りから何本か入ったあたりの、バスも通らないところ)。いうまでもなく今の時期、単独でそんなところに行くのは危なすぎる。何かあったときに自力で取れる手段が限られるからである。

かつて、新型肺炎SARSが流行した時にも1年くらい香港・マカオに行けなかったが、今回は仕事がめちゃくちゃで行きそびれている間に、日中関係がこういう状態になってしまった。気にしない人は気にしないのかもしれないが、私の場合一人で、ひとの行かないような所を歩くのが大好きときている。AEONの現地法人もかなり被害を受けているというし、今のところは自重するのが無難だろうと思う。

そんな訳で、最近は時間ができると山に行くことが多い。登山口から頂上に向かい、その後は麓まで下りてくるという一連の流れは、ポーカーのトーナメントとよく似ている。余力を残しつつ(チップを残しつつ)、標高を上げていく(ラウンドを重ねていく)。足をくじいたり大バテしてしまったら、チップがなくなったようなものでゲームセットとなる。

天気が悪くなったり登山道が崩れていたら、運が悪かったとあきらめる他はない。最大の目的は、無事に下山口まで帰ってくることである。その間、素晴らしい風景を望めることもあるが、ガスって何も見えないこともある。コース取りも休憩も、その日の天候や体調をみて自分で考えなければならず、何かあっても誰も助けてくれない(だから、山岳保険には入る必要がある)。

今年はいろんなところでクマが出没しているようだし、10月に入っても暑くて虫が多いし、ハチもヒルも心配である。一方で、この時期忘れた頃に起こるのが秋山の遭難事故である。軽装で出かけて吹雪に遭って疲労凍死するということのないよう装備は用意しているものの、最大の予防策は天候が荒れそうな時は山に行かないということである。

ある意味、海外旅行も登山も似たところがあるようだ。

さて、ここ何ヵ月か体重の減少が止まりつつあって、8月9月には一度に5kg増えて、一週間苦労して5kg減らすというパターンが2回続いた。なぜ増えたのかというと、普段はシリアル中心の朝食(コーンフレークとミックスフルーツ、野菜ジュースとか)、バランス栄養食の昼食(カロリーメイトorクリーム玄米ブランとコーヒーとか)なのに、出張や旅行に出ると普通に3食たべてしまうことに原因があるようなのだ。

特に最近は、朝食付きがデフォルトのビジネスホテルに泊まることが多い。そうすると、せっかくいろいろなデニッシュとかおかずがあるので、昼に控えればいいやと思って食べてしまう(値段は同じである)。昼は昼で結局きちんと食べることになるし、夜は酒である。普段絞っているだけ、いっぺんに体重が戻るのは減量したボクサーと同じである。

増えた分は、普段の生活に戻ってから節制して戻す。そのまま戻らなければリバウンドなので必死である。そうやって毎日を過ごしていたら、体重は落ちないのに血糖値が下がってきたのである。今日から、糖尿の薬の一つが1日0.25gと、また半分になった。この薬、ピーク時には1.5gだったのが、1g、0.75g、0.5gと減ってとうとう1/6になったのである。

量は6分の1になっても値段はそんなには下がらないのが辛いところだが、ともあれ快方に向かっていることは間違いないので、引き続き節制していこうと思っているころである。

[Oct 6, 2012]


年末に人間ドック ~せいうち日記63

まとまった休みがなく、先の予定も立たないので予約が取れないということがあって、このところ全く海外に出ることができない。ラスベガスに行ったのはもう1年半前。マカオに至っては2年以上前である。奥さんに言わせると、もう一生分以上行っているからいいだろうということなのだが、自分のHPを見るたびに看板に偽りありだなあと思う。

その代わりに、今年は集中して山に行った。土・日は比較的休みが取りやすいので、秋の天気のいい週末はほとんど山に行っていた。ところが12月になって、週末になると雨が降る。とたんにペースが落ちてしまったのはやむを得ない。

冬になる前に、もう一回くらい山小屋に泊まりたかったのだけれど、これからは雪を覚悟しなければならないのでなかなか厳しい。この前九州出張のとき飛行機の上から見てみたら、奥多摩・奥秩父のあたりの山頂は白くなっているし、八ヶ岳・南アルプス・中央アルプスあたりの山は真っ白だった。ちょうど仙丈ヶ岳で遭難があった時期で、中高年の単独は厳しいかもしれない(あの事故も50~60代、夏ならポピュラーなコースである)。

あわせて、もう一つの懸念材料となったのは、足の指である。何回か標高差1000mを下っている時に、つま先を強く突きすぎたのか、両足親指の爪が内出血で真っ黒になってしまったのである。

WEBによれば、こうなると爪が死んでいるので生え変わるのを待つしかないらしい。生え変わるまでに半年くらいかかり、本当は皮膚科に行って爪を抜いてもらうのが一番いいということだ。こういうのは普通は子供のころに経験することのようだが、私の場合はこの歳で初めて。それにしても、WEBで何でも調べられるのはとても便利である。

爪を抜くのは考えただけで痛そうだし、放っておいても生え変わりの爪が伸びてくればぽろっと抜けるそうなので、そのままにしている。靴が当たるとちょっと痛いので、天気が良くないこともあり山はしばらくお預けである。実は、山登りは減量に非常にいいので、年1回の人間ドックの前に行きたかったのだが、まあ仕方がない。

ちなみにここ数年、12月か1月に人間ドックを予定することが多い。それは、あえてこの時期に組むことで、忘年会を断る口実にするためである。もっとも、最近では不景気で会社としての忘年会がなくなってしまったし、私を誘ってくれた人たちの多くはもう会社にいないので、わざわざ断る機会もあまりないのだけれど。

逆に、体調維持に集中することができるので、それはそれで望ましいことである。今年の人間ドックは御用納めの前日。したがって忘年会もクリスマス会もすべてノーサンキューである。若い時には信じられないような事態ではあるが、おかげさまでここ最近は大きく体調をくずさなくなった。このまま、高血圧も糖尿病も改善すれば、言うことはない。

先週末で目標体重まであと1kgに迫った。昨年は1年間で10kg以上減らしたが、今年は5kg減。ピークからは20kg近く落としてきている。あとはカスティージョやブロナーのように、計量に失敗しないようにしなければならない。

[Dec 19,2012]


脳ドック ~せいうち日記64

12月27日、御用納めの前日は人間ドック。今回の人間ドックはオプションで、脳ドックを入れた。35,000円の自己負担は大きいが、前から受けようと思っていたのである。

定年間近のこの年になって、やはり心配なのは足腰と病気である。足腰は普段から気を付けて運動するようにしているので、数年前よりむしろ改善されたと思う。病気のうち内臓系については、糖尿病で通院中であるのでそれほど悪化はしていないだろう。となると残るのは脳卒中系である。

脳卒中系のシグナルとして重要だと言われるのは血圧である。血圧については、はるか昔就職して間もなくから、「このままだとすぐに高血圧ですよ。」と健康診断の度に指摘されていた。もちろん体重が激増したからである。ところが実際に高血圧で薬を飲まなければならなくなったのはつい最近。仕事でほとんど休めなくなったからである。30年近く持ったことからみると、肥満したら必ず高血圧になるものではないらしい。

40代初めの頃、 CTとかMRIに関する仕事をしていたので、脳ドックというものがあるのは知っていた。当時から、自分でも気付かない間に軽い脳梗塞を起こしていることが少なくないのは知られていたから、50過ぎたら自分も受けようとは思っていた。こんなにすぐに50代になるとは思わなかったが。

当日は、普段の検査項目に加えて、脳ドックの項目が入る。MRIと頸部エコー、物忘れ診断というのがあるということで、「MRIを受けるのは初めてですか?」と聞かれる。初めてだと答えると、メガネや金属製のものは持ち込めないと注意を受ける。「銀歯はありますが」と聞くと、「かぶせたのはいいです」と言われる。

まずはいつもの検診項目。体重は節制の甲斐あって、昨年よりも5.2kg絞れている。一方で、なぜか身長が0.8cmくらい縮んでしまった。足の裏の肉が取れたのだろうか。血圧は薬を飲んでいるので110-70と30歳くらいの数字。胸部Ⅹ線、心電図、眼底撮影、聴力、肺活量、・・・・と検査が続いて、ついにMRIである。

機械そのものはそんなに大きくはないが、密室に入れられてしまうのがちょっと怖い。メガネを外すと視力はほとんどないので、ある意味かえって楽である。頭の入るくらいの仕切りの中に首を入れて、耳当てをされ、アゴを固定される。「何かあったら押してください」と昔の血圧計みたいなゴムの握りを渡される。いよいよ検査がスタートである。

「音がうるさいですよ」と言われていたので覚悟はしていたのだが、電子音みたいなういんういんという音がずっと響く。まあこれは大したことはないのだけれど、その後のハンマーで叩くみたいな打撃音が少しつらかった。なるほど、耳当てをされただけのことはある。MRIは磁気で、エコーは超音波なのに、エコーは静かでMRIはうるさいのはなぜだろう。

15分くらいでMRI検査は終了。思ったより早く終わったというのが第一印象。次に超音波エコーで、腹部の他に頸部も検査する。物忘れ診断はコンピュータ相手に行う。いまは平成何年か、今日は何曜日かといった、ちょっと考えさせられる問題の後に、最初にやった3つの単語を再び聞かれるのがミソだが、何とかクリアしてすべての検査を終了した。

検査結果が出るのは1ヵ月後。果たしてどういう結果が出てくるのか、楽しみである。

[Jan 3,2013]


脳ドックの結果・異常なし ~せいうち日記65

年末に受けた脳ドックの結果が戻ってきた。結論としては、「異常ありません。ただ、頚動脈に軽い動脈硬化がみられるので、血圧の管理等に気をつけてください」ということなのだが、検査結果のCD-ROMがかなり面白い。

MRIが磁気を使って頭の中を輪切りにし、断面図のように見ることができるということは知識として知ってはいたものの、実際に自分の頭の中が見られるのは感無量である。最近TVでも、脳卒中やアルツハイマーの人の脳の画像を映すことがあるが、自分の脳にはそうした所見は見られない。何よりである。

最近、人の名前が出なくなったりもの忘れがひどくなったりするのが気になっていたのだが、脳の機能的には問題なしとのことである。素人の見た目でも、頭蓋骨と大脳、脳幹と大脳の間に脳が収縮した時に現れるすきまはほとんどみられない。55にしては、上出来なのではなかろうか。

他に血管の造影写真もある。動脈瘤ができているとそこの血管が膨らんで映るのだそうだが、まるで標本のように、きれいな血管である。動脈硬化が怖いのは、血管に圧力がかかって動脈瘤となり、それが破裂すると脳卒中になるためだが、いまのところそういう心配はなさそうだ。

また、私と同様に糖尿病で食通で、昨年亡くなった邱永漢先生は、かなり若い時から自覚症状のない脳梗塞があったと何かの本に書いてあったが、そういうこともないようである。やはり収入が少ない分、邱先生より粗食であるらしい。あるいは最近のダイエットが効いて、危ないところで引き返したのかもしれない。

家のコンピュータで奥さんに見せると、「脳のしわが多い」と妙なところに感心されてしまった。しわが多いと表面積が広くなり、それだけ活発に脳を使っていることになると何かで読んだことがある。確かに、いつまで経っても心配事は減らないし仕事はどんどん忙しくなるし、新人が入ってこないから若い人の分までやらなくてはならない。まあ、脳の活性化に役立っていると思うことにしよう。

奥さんも脳ドック受けるかと聞いたところ、「私はそういうのイヤ。こわいから。」と即座に拒絶された。

[Feb 13, 2013]


今年度最後の長期出張 ~せいうち日記66

先週は今年度最後の長期出張。5泊6日のきついスケジュールだったけれど、何とか無事に帰ってくることができた。

長期出張は何度もしているとはいえ、だんだん年を取っているのでこれまでと同じようにはできない。最優先に考えなくてはならないのは、体調の維持である。ただでさえ1人当りの仕事量が増えているのに、体調をくずして人並みに働けなかったら一大事である。定年間近になって、こんなに働かされるとは思わなかった。

幸いに、最終日の朝もなにごともなく起きることができ、思わず、「体調を整えていただきありがとうございました。」とホテルの部屋にお礼を言った。もっとも、新幹線に乗ってそのまま出社し事後処理などしていたところいっぺんに疲れが出たので、年は争えないということだろう。

帰りの電車の中で今回良かった点を考えてみた。

① ホテルは妥協しない
ホテルはできるだけ気に入ったところを選ぶべきである。今回選んだのは、禁煙ダブルベッドで大浴場があり、朝食は有料のところ。東横インクラスだと1泊はともかく、連泊はきつい。多少割高にはなっても、疲れが残らないことを最優先に考えるのが大切である。

② 規則正しい生活
仕事の都合があり制約はあるものの。なるべくいつもの時間割に沿った規則正しい生活を送りたい。午後10時には寝るようにし、朝起きたらいつもと同じシリアルの朝食を摂れるよう準備した。コンビニで100円のカット野菜を買ってドレッシングを持ち込み、野菜不足をできるだけ回避。また、出張5泊を全禁酒した。これは長いサラリーマン生活で初めてである。

③ 運動を心がける
毎日とはいかなかったが、朝はテレビ体操、夜は近くの市民プールで歩いた(8時半までやっていたのである)。日中もなるべく歩いて、1日平均だいたい8000歩くらい。ホテル暮らしは運動不足になりがちなので、なるべく意識して体を動かすことが望ましい。

④ ストレスはなるべく避ける
私の場合、他人と一緒に行動するのが最大のストレスであるので、ホテルは別々にして仕事が終わったら別行動にした。若いときは角が立つのでこういうことはやりにくかったが、年を取ったので平気である。お風呂上りには2日だけマッサージをしてもらった。日本のマッサージは割高だけれど、心身の疲れを取るには有効だと思う。

こうしていろいろ考えた甲斐があって、今回は比較的うまく行ったような気がする。残り少ないサラリーマン生活、何より大切なのは、頭と体を壊さないように次のステップに進むことだと思っている。

今週の出張写真。過去最高階の客室でした。


[Mar 21, 2013]


今年もラスベガスに行けない ~せいうち日記67

新年度になってまた仕事が変わった。理由のひとつは会社の組織替えでポストがなくなったためである。定年間近であっちこっち動かされて全く落ち着かない。いまのご時世そんなことで贅沢は言えないし、会社が働けという場所で働くしかないのは分かっているけれども、せっかく頂上近くまで転がした巨石が谷底に落ちていくような気分である。

カミュによればそこでくじけず谷底に再び巨石を持ち上げに行くのが誇りある態度ということになるのだが、この年になっても人間ができていないので、どうしても気分が落ち込むのは仕方のないところである。

新しい仕事で何がつらいかというと、せっかく前の年に整理した仕事の恩恵を受けるのが後任者で、自分は前任者のやり残した仕事をやらなければならないということである。もっと端的にいえば、来年こそはラスベガスに行けるようにと6月の仕事をやりくりしていたのに、新しい部署に行ってしまえばまた一からやり直しということなのである。

そういう訳で、6月第三週のWSOPシニアには今年も行けない。エントリーフィー($1000)はドルでとってあるしJALのマイルも十分あるのに、休みが取れない。何年か前には、急に思い立ってロスでボクシングを見てラスベガスに移動したこともあったというのに、悲しいことである。(でも、奥さんに言わせると、「さんざん遊んだんだから文句言わない!」ということになる)

この際すべて放り出してあり金持って長期渡米して、資金の続く限りトーナメントに出たりしたいと思うこともあるけれど、ここは森須先生の「打たれ越し」である。オールマイティの明日を夢見て、現実の今日をやり過ごす。サラリーマンのほとんど唯一のメリットは、潰した時間をおカネに代えることができる点なのである。

とはいえ、もう何年かすると還暦を迎えるわが人生を振り返って、どこかで違う電車に乗っていればそういう可能性があったのかとも思う。しかし、どこでどの電車に乗ればよかったのか残念ながら思いつかない。ということは、いまの境遇で何とかがんばって明日を夢見るというのが、ほとんどベストの選択なのだろう。ちょっと悲しいけれど。

ところで、そんな気分で村上春樹の新刊を読んだら、いまの気分にまさにぴったりくる場面がいくつかあって驚いた。たまたまiPODにはセロニアス・モンクが入っていたので、”Round Midnight”を聞きながら通勤の行き帰りで読み終わった。そして(ミーハーなので)、ラサール・ベルマンの「巡礼の年」も買ってしまったのである。

[May 31, 2013]


CATS AND DOGS ~せいうち日記68

梅雨時である。最近はしとしと降るよりも土砂降りになることが多い。土砂降りになると、思わず“cats and dogs”と口を突いて出てくるのは、昔の受験世代の悲しいところである。

私が受験生であった40年(!)前、「でる単」「でる熟」は英語の参考書として必読のものであった。もっとも、そうした参考書類だけきちんと押さえておけば、毎日塾へ行く必要もなかったのだから、平和な時代であったともいえる。ちなみに、「でる単(熟)」は「試験によくでる英単(熟)語」の略である。なぜか、教科書にはあまり出ていないけれど試験によく出る単語・熟語が載っているのであった。

さて、その「でる熟」の中に、“cats and dogs”が載っていたのである。意味は土砂降りである。試験には出なかったが、その後就職して、会社の近くの三井アーバンホテルにこの名前の店が入っていた。当時としてはこじゃれた店だったので、何回か飲みに行った。いまではホテル名は変わってしまったが、まだ店は残っているようだ。

この歳になっても、大雨→ cats and dogs →三井アーバンの店、と連想ゲームになるのはなぜだろうと考えると、おそらく、あの時代が自分にとって最高に輝いていたからなのだろう。学生の頃は勉強ばかりしていたので(!)、会社が終わって飲みに行ったり、気の利いた店に連れて行ってもらうのがすごく新鮮であった。何しろ、アルバイトとは比較にならないおカネが入ってくるので抑えがきかない。

だから、都内のいろいろな店に行ったし、月に何度かはゴルフに行った。いま思うと、あの時代にもう少し堅実な生活を送っていれば、今頃はローンがなかったかもしれない。でも、バブル全盛期でそんなことを考えるヒマもなかったし、ローンはいまだに大きな負担となっている。年に何回も海外遠征をしていたせいもあるが。

もっとも、若い時だから8時9時まで仕事をしてそれから飲みに行き、さらにカラオケに行ってラーメン屋で締めて、やっとつかまえたタクシーで帰るなどという生活ができたのであって、今となっては到底無理である。むしろ、いま体に不具合が出ている原因の一つは当時の不節制と思われる。何しろ、就職して1年で体重が20kg増えたのだ(結婚してさらに20kg増えた。現在はそこから15kgやせた)。

そして、若い頃は給料とボーナスは自動的に入ってきて、次の年にはもっと増えるという前提があった。ところが何十年かたって定年間近になると、あと給料が何回ボーナスが何回と数えられるようになる。しかも、減ることはあっても増えることはない。自然と、あの頃もっと堅実に暮らしていればと思うことになる。

半面、遊んだのはその頃だけれど、時間はいまの方がずっとゆとりがある。睡眠時間を例にあげると、当時は現在の半分くらいしか寝ていないはずである。体調だって同じで、いまの方がずっといい。心配事や思うに任せないことが多いのは相変わらずだが、あと何年か経てば解決する問題がほとんどである(会社などどうなってもいいのだ)。

そうしてみると、最高に輝いていたのは若い時なのだけれど、最高に幸せな時代はこれから来る可能性がある、とは言えるかもしれない。

[Jun 26, 2013]


やっぱり北海道へ ~せいうち日記69

ギリヤーク尼ヶ崎師匠の北海道公演がなくなったのでどうしようかと思ったのだけれど、結局今年の夏も北海道に来ることにした。この原稿の仕上げは札幌で作っている。

プライベートで北海道に来るのは、確かこれで20回目になる。第一期は学生時代から独身の時で、1976年から1983年まで8年連続で来た。学生時代は、友達と一緒に大きなリュックを背負って、周遊券を買ってユースホステルに泊まった。いまそんなことをする人はあまりいないが、当時は「カニ族」といって大学生としては珍しくもなかった。

当たり前だが、当時は新幹線も青函トンネルもない。周遊券では特急に乗れないので、まずいわき経由盛岡まで急行に乗り、盛岡でわんこそばを食べた後さらに急行に乗って青森に向かい、青函連絡船で津軽海峡を渡るのである。いまこの経路は、原発の立入禁止区域なので、通ろうと思っても通れない。

青森駅にも函館駅にも、さらには札幌駅にも駅で寝ている人は大勢いた(いまはいない。フェリー乗り場くらいか?)。泊まれるところも多くはなかったので、ユースホステルはかなり重要な地位を占めていた。やたらといばるボランティア(学生運動とかやっていた世代)がいて、食事の後始末や掃除はともかくとして、歌やフォークダンスを強制されるのには参った。

だからユースホステルを利用したのは2年くらいで、その後はホテルや旅館・民宿を利用した。小学校からの友人が北大に進学していたので、泊まらせてもらったりもした。この8年間で、たくさんのローカル路線を利用した。しばらく前になくなった松前線にも、近々廃止される江差線にも、何回か乗った。利用者がいないので仕方ないのだけれど。

第二期は、奥さんと子供を連れて車で行った時期で、1989年から1996年までやはり8年連続である。年ごとに、道南、道東、道北、道央とローテーションしたので、主要な道路はほとんど走った。ちょうどバブルの時期にあたったので、いまよりも宿代がかかった。

はじめの頃は若かったので青森まで一気に走り、フェリーで翌朝函館入りという日程を組んでいたのだけれど、年を取るごとに辛くなった。当時は奥さんも免許を取る前だったので、ドライバーも一人しかいなかったのである。最後の方は八幡平あたりで一泊したり、車だけ先に送って飛行機で追いかけるなんてこともした。

第三期は2005年から現在までで、子供も独立したので奥さんと二人である。年齢には勝てず、飛行機で行ってレンタカーで回るようになった。今年は成田便を使ったので、奥さんが大喜びである。スカイアクセス開通以降はじめての成田空港であるのに加え、羽田空港まで1時間半というのが大層嫌だったそうである。

今回はこれまで行ったことのない留萌に行く予定である。途中にある雄冬岬は、北海道でも最後まで電話が引けなかったところで、南北からの道路が開通したのも1980年代である。どんな所なのか、たいへん楽しみである。

十数年ぶりに訪れたサッポロビール園(8月5日)。東側にはヨーカドーが、西側には高層マンションが建ち、昔とは様変わりしてしまいました。


[Aug 7, 2013]


やっと夏が終わった ~せいうち日記70

台風が行ってようやく涼しくなった。

今年の夏はずっと暑い日が続くということはなかったけれど、暑い時はやたらと暑い夏だったので、長い夏だった印象がある。何しろ暑い日には40度近くになってしまうのだから大変だった。ようやく涼しくなって、先週からスーツで通勤している。

雨が少ないというので、貯水率情報のサイトを見ながら祈っていた。利根川水系の貯水率は1時間ごとに更新されているので、夜中でも数字を見ながら一喜一憂できる。一時期40%を割った八木沢ダムの貯水率は今回の台風で60%を超えたし、25%ほどだった下久保ダムも50%に回復した。被害の大きかった地域もあって喜んでばかりもいられないのだが、ちょっと安心している。

それはそうと、7月に入ってからは、全く山に行けなかった。昨年は結構涼しい日もあって(7月で20度そこそことか)、ちょっと行ってみようという気にもなったのだが、朝起きて30度以上あると外を歩く気にもなれなかったというのが一つの要因。ただでさえ汗っかきな上に、登山口まで電車に乗るだけでも暑くてくじけそうだ。

加えて、スズメバチの大量発生が嫌だったからである。スズメバチはここ数年では、平成13年、17年、21年と大量発生していたそうで、周期どおり今年順番が回ってきたということである。人の多い山は好きではないけれども、人が少なくて蜂が多い山というのもうれしくない。特にスズメバチは、見た目からして大きくて獰猛なのである。

芸能人の誰かが刺されたとか、山で誰かが刺されたとか、高校野球が蜂で中止になった(これはミツバチだったが)とか聞くと、何時間も山道を歩くのは全く気が進まない。そうでなくても8月・9月は蜂の被害のピークで、その被害たるや熊の比ではないのだ。

スズメバチに刺されると石で殴られたくらい痛むとかいうし(幸い刺されたことはないが)、アナフィラキシー・ショックとかいって、命に関わる重症となることもあるそうだ。山の中で刺されると数時間は手当てができないだろうし、そう考えると恐ろしい。間隔を開けてしまうと次に登る時に辛いのは分かっているのだけれども、涼しくなるまでは自重せざるを得なかった。

そうやってあまり外にも出ずに夏を過ごしていたので、2~3kg体重が増えてしまっている。最近では、週末しか酒を飲まないという、昔では考えられないくらい健康的な生活を送っているので、このウェイトオーバーは運動不足が大きく寄与している。秋には3回くらい山に行って、また華々しく汗をかいてくることにしよう。

出張帰りに、富士山がきれいに見えました。


[Sep 23, 2013]


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