2020年秋、長年患ってきた糖尿病や、老化に伴う諸症状の改善のため糖質制限を始めました。
私の基本的な取り組み姿勢 はじめの1ヶ月 25年来最低体重へ
4ヵ月目の微修正 糖質制限6ヵ月 10kg以上の減量に成功
糖質制限7ヶ月 体重87.3kg HbA1c5.6
63歳にして糖質制限に取り組む
年初の「せいうち日記」でお伝えしたように、昨年暮れから糖質制限に取り組んでいる。そこでも書いたように、16年前Niftyでスタートしたブログの日記編に「せいうち日記」と名づけたのは、まるでせいうちのような自分の体型を何とかしようと思ったからである。 糖質制限の理論 繰り返しになるが、糖質制限理論の要点は、血液中に糖分が多すぎるのが問題なのだから、取り入れる糖質(炭水化物)を少なくすればいいということである。 糖質制限への反論 私の基本的な取り組み姿勢 以上を踏まえて、私の糖質制限への取り組み姿勢についてまとめてみる。 はじめの1ヶ月
糖質制限を決心して最初にやったのは、炭水化物を減らすことであった。 25年来最低体重へ
年末年始の体重増を1週間ほどでリカバーし、1月後半の通院検査に臨むことができた。 4ヵ月目の微修正
さて、糖質制限2ヵ月の検査結果では、ヘモグロビンA1cや中性脂肪値の改善には大きな効果があったものの、尿素窒素が過去最高の異常値となり、コレステロール関連も正常範囲内ではあるものの増えていることが判明した。 糖質制限6ヵ月
早いもので、糖質制限を始めてから半年が経過した。 糖質制限7ヶ月 体重87.3kg HbA1c5.6
早いもので、2021年も半分終わった。昨年11月に始めた糖質制限は思いのほか長続きして、7ヶ月を経過した。
当時、ポーカー友達であった「あけみん」(元気かな?)も同時期にダイエットに取り組んでいたし、お互いに刺激しつつ努力すればそれなりの成果につながると思ったのである。
しかし、物事はそう簡単にはいかなかった。がんばれば5kg程度は減量できるのだけれど、半年、一年と経過する間にいつのまにかリバウンドしてしまうのが常であった。最近は、検査数値がよくも悪くもならないことに安心して、少しだらけた生活となっていた。
ところが、寄る年波には勝てず、最近は体のいろいろなところに不調シグナルが出ていた。お医者さんは「数値はいいですね。薬はこのままいきましょう」と言うのだけれど、自分の体のことは自分が一番よく分かる。
きっかけとなったのは、年金が出て小遣いを下ろし、スーパーで買い物をしてきた後だった。お小遣いで買うのは自分の嗜好品である。買ってきたものを見てあ然とした。アイスクリーム、ゼリー、冷凍大判焼、缶入り炭酸飲料、袋菓子、チョコレート、クッキー等々、甘いものばかりなのである。
週2~3回散歩に行ったり、家の掃除などこまめに体を動かすようにしてはいるものの、これほど甘いものをため込むのはまともではないのではないか。自分は「甘いもの中毒」ではないか、と思ったのである。
そこで、「甘いもの中毒」に関する本を図書館から借りてきた読んだのだけれど、それらの本に載っていたのが、中毒症状そのものではなくて、糖質制限に関することだったのである。
「甘いもの中毒」の本については2020年12月に書評で採り上げたけれど、この本以外にもいろいろ借りてきた。糖質制限を否定する内容についても、借りてみた。結果、自分なりに考えることができた。
結論を述べれば、「糖質制限は理屈に合っている。ただし、デメリットについての検証が現時点では十分でないので、バランスをとりつつ糖質制限に軸足を置いた対応が望ましい」ということである。以下、私なりに考察した結果を報告したい。
糖質制限について説明する前に、最初に確認すべきことがある。食事療法に関するさまざまな理論は、ほとんどすべて仮説にすぎないということである。
仮説という意味は、証明されるのはこれからということであり、事実の裏付けにより否定されることもありうるということである。コレステロール悪玉説はこれまで定説のように言われてきたが現在では旗色が悪く、カロリー制限もそうなる可能性が高い。
すべて仮説なら「貴方はアラーを信じる。私は八百万の神を信じる」でもいいかもしれないが、その理屈・論拠を吟味して、より効果的で害が少ない方法をとる方がよかろうと思う。
糖質制限という仮説の最もすぐれた点は、血液中に糖分が多すぎるのが問題なのだから、取り入れる糖質(炭水化物)を少なくすればいいという理路が単純明快なことである。糖質制限を否定する人達はここを論破しなければどうにもならないが、それに成功した人はいない。
昔ダイエットに取り組んだ頃はカロリー制限全盛期で、80kcalの食品量を暗記したものでした。今はあまり役に立たない。
これまでの食事療法理論は、糖質摂取だけを減らすことはできないので、摂取カロリーを消費カロリー以内に抑えて血糖値の上昇を抑えるというものであった。
なぜ、糖質摂取だけを減らすことができないかというと、体を動かす元となるエネルギー、特に脳を動かすエネルギーは、ブドウ糖を代謝することでしか得られないと考えられていたからである。
最新の知見では、脳だけでなく心臓など主要臓器を動かしているエネルギーはケトン体(脂肪を分解することにより得られる)の代謝で得られることが分かっているし、そもそも身体に必要なブドウ糖は肝臓で生成できる。
こうした知見が得られる前の食事療法理論では、摂取カロリーを抑えた上で、炭水化物:タンパク質:脂肪を「6:2:2」の割合にするというのが原則であった。しかしこの「6:2:2」、もともと米国の保健当局が肉や油脂をとり過ぎないように定めた数値で、炭水化物のとり過ぎには配慮していないのである。
私が想像するに、必ずしも肉や油脂をとりすぎていない日本でこの数字をそのまま適用したのは、経済的な理由だったと思う。
学校給食とか、病院の療養食とか、公的機関で多くの人に食事を提供する場合、予算的に炭水化物中心にせざるを得なかった。それで、基準値として(タンパク質・脂肪を最低限確保する水準として)、「6:2:2」にしたのではないだろうか。
これは改めて書くことになると思うが、糖質制限食にする際に最もネックとなるのが、コストの増加である。同一カロリーの炭水化物とタンパク質があるとして、値段は炭水化物の方がずっと安い。おカネがなければ背に腹は代えられないので、炭水化物中心にならざるを得ない。
米国で最近特に肥満が問題となっているのは、フードスタンプなどの困窮世帯支援策が行われた結果、ローコストで空腹を満たせる炭水化物に栄養が偏り、結果として肥満してしまうという現実があるからである。
糖質制限有害論の中には、「糖質制限は△△に(血管に、骨髄に、etc.)有害であるという論文がある」と書いたものもあるが、そりゃ世界中探せばそういう論文があるだろう。論文の有無より大切なのは、理由付けである。
糖質制限有害論者にしても糖質のとり過ぎがよくないことには同意している。同様に、脂質のとり過ぎもタンパク質のとり過ぎも、塩分のとり過ぎも体によくないに決まっているのである。
タンパク質や脂肪をとりすぎるとかえって健康を害するというのが反対論者の主張だが、糖質(炭水化物)をとりすぎても健康を害さないと証明しない限り、糖質制限の本質は否定できない。あとは、デメリットをいかに少なくできるかという技術論になるからである。
一時期、日本古来の伝統食が健康維持・長寿につながると言われていた。現在はこれにも疑問が呈されていて、日本人の平均寿命が世界最高水準となったのは、食事の欧米化とほとんど同時期である。伝統食をとっていた時期の寿命は、いまよりずっと短かかったのである。
糖質制限では、がまんしなければならないものが多い。とはいえ、すぐ慣れてしまうものもあるので、泣くほどでもない。
低血糖発作とは、糖尿病の薬(多くは、インシュリンを強制的に分泌させる薬である)を飲むと、場合によって血糖値が必要以上に下がってしまい、頭痛、悪寒、手足のしびれ、悪くすると意識不明等の症状が出ることである。私自身も、実際になってしまったことがある。
糖質制限の本を読むと、体内にブドウ糖が足りなければ肝臓でアミノ酸から生成されるし、そもそも体を動かすエネルギーとしてはケトン体があるから、血糖値が低いからといってすぐに症状が出ないはずである。
ところが、現実には低血糖発作が起きる。これは、脳が体をだまして糖分の摂取を促しているのか、あるいは体が発するSOSなのか。アル中でも薬物中毒でも禁断症状が出るから、自分自身でもそのどちらなのか区別するのは難しい。
もう一つは、シャリバテである。山登りしている人はほとんどみんなシャリバテの経験がある。あれもまた、辛いものである。だから、山歩きの際には、お昼とかにこだわらず、こまめに行動食をとって栄養補給するのがいいとされている。
これも、肝臓で生成されるブドウ糖とかケトン体で体が動かせるとすれば、それで動かせれば問題ないはずである。筋肉に一度に負荷をかける際にはブドウ糖代謝が優先するとされるが、それほど高負荷でなくてもシャリバテは起きる。これも、脳が糖質を求める幻影なのであろうか。
自分自身の身体感覚からするととても幻ではないのだけれど、シャリバテしたのはかなり昔のことなので記憶が定かでない。ただ、これについてはなるほどと思わないこともない。
というのは、羽根田さんの遭難本のどこかに、遭難して食糧がなくなってしまい、お土産に買ったマヨネーズと沢の水で十数日間生き延びたという話があるからである。
マヨネーズの原料は卵、油、塩だから、糖質をそれほど多く含まない(最近のマヨネーズはそうでもないらしい。特に、カロリーオフのもの)。もし、ブドウ糖が体を動かすエネルギーの中心であるならば、マヨネーズだけで生き延びることはできないはずである。
体を動かすというのは、単に歩き回ることだけではない。仮に一ヶ所にとどまって動かないとしても心臓はじめ内臓が動かなければならないし、エネルギーの約2割は、脳で消費されると言われている。
一方で、カーボローディングという、スポーツや登山で有効とされる方法がある。体を動かす前日に炭水化物を普段より多めにとることにより、体内にエネルギーとなる糖分を蓄えて本番に生かそうとするものである。
私自身も、登山の前にもち米の入った混ぜご飯を食べると元気に歩けるように思うし、朝食にはパンよりご飯の方が腹持ちがいいと感じる。しかし、糖質制限の理論によると糖分は数時間分しか体内に蓄えられないとされるので、そうなるとカーボローディングにはあまり意味がないということになる。
だが、糖質制限の理論の中で最も疑問に思えるのは、糖質(炭水化物)で足りないエネルギーをタンパク質や脂肪で取ればいいという考え方である。
糖質のとり過ぎが体に害があることには同意するけれども、だからタンパク質や脂肪のとり過ぎが害にならないということにはならない。タンパク質や脂肪は吸収されずに排泄されるというが、体が耐えられる限り消化して体内に取り込むはずで、それが害にならないと証明された訳ではない。
肉や乳製品、油脂のとり過ぎは、理論的にも体の酸化を起こして老化の大きな要因であるとされている。そして、体を維持するためにさまざまな栄養素が微量でも必要とされるので、一部の食品に偏ることは栄養素の偏りを招く。
厳密に糖質を排除してその分のエネルギーを他で求めるという糖質制限原理主義は、メリットよりもデメリットの方が大きいように思える。
糖尿病患者にとって、低血糖発作は恐怖である。最低限のブドウ糖は肝臓で生成されると言われても、だったら低血糖にはならないはずと思ってしまう。(出典:糖尿病情報センター)
まず、糖質制限の目的は体調を整えて老化に伴う(と思われる)さまざまな不具合を改善することであって、減量そのものではないということである。
もちろん、体質改善に伴って体重が減ることは歓迎すべきことだし、血糖値やヘモグロビンA1cを毎日測定することは難しいので、体重を目安とする以外に方法がないのだが、それが目標ではないということである。
当面の目標は糖尿病の薬を減らすことによって医療費支出を減らすことであり、最終的な目標は死ぬまであまり苦しい思い、痛い思いをしないで済ませるいうことである。
それでは、「炭水化物として」糖質をとらなければならない量はどれくらいなのだろうか。驚くなかれ、炭水化物でしかとれない糖質、炭水化物でしかとれないエネルギーはないのである。
もちろん、炭水化物には豊富な食物繊維が含まれるし、微量栄養素もあるのでとらずに健康維持できるということではない。しかし、タンパク質や脂肪のように、体内で作られないため食物からとる必要があるということはない。
成人が1日に消費するカロリー数は約2000kcal。体格や年齢、男女別で大きな差があるものの、ほぼ2000kcalである。炭水化物:タンパク質:脂肪を6:2:2でとると、1日に必要とされるタンパク質、脂肪をほぼ充たすことができる。
しかし、6を炭水化物ということになると、どうしても糖質過多にならざるを得ない。2000kcalの6割だから1200kcal、80kcal(昔の言い方だと1点)の炭水化物には15gから20gの糖質が含まれるから、1日に250gから300gとなる。お菓子や清涼飲料をとれば、350gから400gを楽に超えてしまうだろう。
白砂糖1袋を3日間で食べているとなると、それはちょっと多すぎると考えるのが普通であろう。もちろん、白飯とか食パンという形をとるのだけれど、消化されれば白砂糖と変わらない。
(実際、清涼飲料水に使用される「果糖ブドウ糖液糖」は、トウモロコシ等のでんぷんを、体の中で消化するのと同様のやり方で、酵素を使ってブドウ糖にしている。)
糖質制限のパイオニアの一人である江部先生は、糖質制限食を1日糖質130g以下、スーパー糖質制限食を1日60g以下と定義している。糖質は野菜や肉にも含まれるし、調味料などにも当然入っている。だから、糖質を全くとらないというのは現実的に無理である。
しかし、1日130g以下にすることができれば、そうでない場合と比べて1日に150g以上糖質摂取を抑えることができる。1週間で白砂糖およそ1袋である。このあたりが無理なく続けられる範囲と思われる。
だから、糖質制限の第一歩としては、マイルドな糖質制限だけでかなり違うはずである。朝食のトースト、昼のインスタントラーメン、夕食の白飯を食べないだけで、1日当り約150gの糖質を摂取しないで済む。
とりあえず、そうした方針で臨むことにした。次は、実際にどのような食生活を送ったか、その結果体調がどのように変わったか実践編をお送りしたい。
高齢者の食事は、低糖質にした方が健康によいとされる。これからは、塩じゃけで白米を食べるという時代ではなくなるかもしれない。
[Feb 24, 2021]
朝食も夕食も奥さんが作ってくれるので、主食である食パンと白飯を抜きにした。朝は食パンの代わりに、奥さんがふすまパンを焼いてくれた。ふすまも糖質だが、精製された小麦粉ほどに血糖値を上げない。
昼食は各自調達がルールである。これまでは、インスタントラーメン、レトルトカレーライス、シリアル(コーンフレーク)を順番に食べていたけれど、これでは糖質過多である。インスタントラーメンとカレーライスはやめることにした。
コーンフレークは牛乳をかけると360kcal、糖質にすると60g以上あるので本来好ましくないが、ナトリウムやカリウムなどの微量栄養素があり、穀物には珍しくビタミンAを含んでいる。健康維持のためには摂った方がよさそうである。
そこで、糖質60%オフの「ごろっとグラノーラ」に替えることにした。これは、大豆を主原料としたシリアルで、糖質制限食のお墨付きである「ロカボマーク」が付いている。大豆が堅いのではないかと心配したが、結構食べやすい。
インスタントラーメンの代わりにしたのは紀文の糖質0麺である。スーパーに行くといろいろな種類を売っているが、値段は200円以上する。インスタントラーメンなら、中華三昧でも100円。それと比べると、一気に倍である。
糖質0麺の主な原料はおからパウダーとこんにゃくである。麺そのものに糖質はほとんど含まれないものの、スープに糖質が含まれる。とはいっても、1食10g未満であるので、1日130g以内のマイルド糖質制限なら問題ない。
ダイエット麺も、二十年前と比べると格段に食べやすくなっていると感じた。技術の進歩もあるし、それだけ多くの人が買うようになって競争も激しくなっているのだろう。近くのスーパーにたくさんの種類置かれているのも時代を感じる。
糖質0麺だけだと飽きるので、同じ場所に売っているスンドゥブ鍋も試してみた。豆腐とスープなので、基本的に糖質0麺と変わらない。問題は、糖質0麺同様高いことと、賞味期限が短くて買いだめできないことである。
レトルトカレーライスの代わりにしたのは、カレーのみレトルトである。レトルトカレーは安い時に買いだめしているので、糖質制限を始める時点で10個ほど残っていた。最初は、苦肉の策としてカレーのみ食べていたのだけれど、ある時、残り物や常備菜をご飯代わりにすればいいのではないかと気が付いた。
試行錯誤の末、鶏の胸肉を茹でて細かく割いたものとか、ブロッコリーやほうれん草を茹でてストックしておき、適当に皿に盛ってカレーをかけ電子レンジでチンするという方法にした。レトルトだけでも20g前後の糖質が含まれるが許容範囲内である。
基本的に、昼食は以上の3つ、シリアル、糖質0麺、レトルトカレーを日替わりにしている。他に、夕飯の残りとか、奥さんの作ったものを一緒に食べることもあるので、同じものぱかり食べなくても大丈夫である。
もちろん甘いものも控えるようにした。とはいっても、在庫を捨てるのはもったいないので、足りないカロリーを補充する意味も含めて昼食時にちょっとだけ食べる。12月なので、箱で買ったみかんもあったが、1日に2~3個までにした。
そんな具合で、糖質制限といってもそれほど徹底したものではない。それでも、1日当りの糖質摂取量は100g以上落ちたはずである。意外にも空腹はほとんど感じなかった。
サントリーウェルネスのDMイラストの食事風景、なにげに糖質制限食になってます。コロナ仕様隣り合わせだし。
さて、糖質制限の第一人者である江部先生によると、糖質は体にとって必須ではなく、足りない分のカロリーは脂肪とタンパク質でとれば問題ないという。
これについては、個人的には疑問符が付いている。人類500万年の歴史の中で、穀物を常食しているのは1万年に過ぎないというのはそのとおりだが、人間の歯も腸も肉食に適したものではない。雑食、主として植物から栄養補給していたと考えるのが普通である。
科学だって万能ではない。今後あるいは、炭水化物からしか摂れない必須栄養素が明らかになるかもしれない。そうでなくても、糖質制限が広い意味での偏食であることは間違いないので、体に有益な微量栄養素がとれていない可能性は否定できない。
そう考えて、糖質制限を始めてからサプリメントの摂取を増やした。これまでもマルチビタミンとかオルニチン、キューピーコーワは時々飲んでいたけれども、それに加えてマルチミネラル、DHA/EPA、プロテインを飲むようにしたのである。
マルチビタミンに加えてマルチミネラルをとるようにしたのは、穀物に含まれる鉄や銅、亜鉛、マグネシウムといった微量栄養素が足りなくなると思うからである。だから、一日何錠という推奨摂取量より全然少ない。多少ともとれていればいいと思うからである。
DHA/EPAは体内で生成できない必須脂肪酸で、脳組織の再生産にも重要とされる。糖質制限は報酬系と呼ばれる脳の機能に逆らうものなので、脳組織に役立つものは気に掛ける必要がある。これも、推奨摂取量より全然少ない。
プロテインは、食物からの摂取が減るたんぱく質の補填のためのものである。ブロテインというとドーピングをイメージしてしまうのだが、日本のプロテインは牛乳や豆乳からできている。なにせプロテインの2大メーカーは、明治と森永なのである(知らなかった!!)。
本やYouTubeでプロテインを勧める人はたいへん多く、糖質制限界のカリスマYouTuber・なおよキッチンもその一人である。彼女は糖質制限でアトピーがよくなったそうなので、説得力がある。
さて、前回述べた白飯、食パン、ラーメンの自粛とサプリメントの拡充で始まった糖質制限、最初の1週間で体重は3kgほど落ちた。
その間酒も飲まなかったので、糖質制限が効いたのか、節酒が効いたのか、どちらの効果でそうなったかは定かでない。ただ、毎朝計る血圧が、上下10程度確実に下がっているのに気がついた。
あと、体調で気づいたのは、歯や歯茎の痛みが少なくなったことである。治療中の奥歯とその周辺、時により反対側の歯茎がしみるように痛んで気になっていたのだけれど、糖質制限とともにそれがなくなったのである。
あと、奥さんに言われたのは、寝ている時に息がくさいのがなくなってきたということである。自分では気が付かないし、奥さんも「かわいそうだと思って言わなかった」そうなのだが、寝ている時に特に臭かったそうなのである。
糖質制限も一種の偏食なので、足りない栄養素について考慮する必要がある。
ダイエット全般にいえることだが、糖質制限も長続きさせることが最も大切である。1日に350gも400gも糖質をとるのがいけないのであって、毎日130g未満に抑えなければ意味がない訳ではない。
努力目標として130gを意識するとしても、毎日それを守るのはストレスが大きい。仮に200gとったところで、これまでに比べると100g以上減らしているのである。また次の日から130gでがんばればいいことだ。
これをダイエット用語でチートデイと呼ぶ。、cheatはだますとかズルをする、という意味。WEBをみると「体を騙す日」という解釈も載っているけれど、個人的には「ズルの日」の方がいいと思う。
ダイエットを長続きさせるためには不可欠とされる方法で、1日だけ食べてはいけないものを食べてうっぷん晴らしをするという趣旨である。糖質制限でも、しばしば用いられる。
炭水化物やお菓子、清涼飲料を絶ったとしても、ある程度日数が経てば慣れてしまう。酒についても同様である。ただ、そのままずっと過ごすことは難しいし、リバウンドしたら大変である。意識的に1日だけ摂って、また翌日からがんばるというのは悪い方法ではないと思う。
糖質制限のパイオニアである江部先生によると、糖質制限と呼べるのは1日摂取量130g以下である。しかし、糖質制限しない場合の350gと比べるとかなりの差がある。切りのいいところで、200gまでの70g。その70gは、チートデイとして余分に摂取しても許容範囲内であろう。
実践編の最初で触れたシリアルはその範囲だし、たまには夕食でパスタも食べてみたい。全粒粉スパゲティなら、それほど急激に血糖値を上げない。
好物のお汁粉は、奥さんがラカントを使って作ってくれる。小豆だけの糖質なら、十数gくらい。みかん1個もそのくらい。糖質制限では果物はアボガド以外ダメというのが大方の主張だが、白飯に比べれば大したことはない。
私の場合、特に酒である。その気になれば1週間10日飲まないのは何でもないが、かといってずっと飲まないのは寂しい。糖質制限前のように週に3~4日は飲みすぎとしても、週2回くらいは許容範囲であろう。
ところで、糖質制限中の酒というと、江部先生の本には焼酎やウイスキー、ジン、ウォッカなどの蒸留酒には糖質は含まれないので、糖質制限中でも控えなくていいと書いてある(江部先生自身、毎日晩酌するそうだ)。個人的には、これはどうかと思う。
というのは、アルコールには1日摂取量の推奨値というのが定められていて、日本酒だと2合である。日本酒2合の糖質は20g程度で、白飯お茶碗半分ほどである。その程度ならば、チートデイとして許される範囲ではないかと思う。
体に悪いのは糖質だけでなく、脂肪のとり過ぎもよくないし、アルコールはもちろんよくない。糖質がないからといって焼酎を毎日ボトル半分飲んでいたら、アルコール依存までの距離はそう長くない。
ということで、私のチートデイは、好きなお酒を適量飲むということにした。その場合でも、白飯や糖分を控えることは変わらない。お刺身を肴に日本酒、チーズや肉料理を肴にワイン、あくまで適量が大切である。
ビール類はこれまで淡麗生を飲んでいたが、一番搾り糖質0に替えた。糖質0は発泡酒や第3第4のビールにたくさんあるけれど、飲んで一番おいしいのは一番搾り糖質0である。値段も普通の一番搾りと変わらない。
そもそも、ビール系を飲むのは最初の一本だけで、あとはスピリッツ系をゆっくり飲むのが本場の飲み方である。この歳になって、ようやく大人の飲み方ができるようになってきた。
私にとってのチートデイはやっぱりお酒。糖質制限を長続きさせるためにも、多少の気晴らしは必要です。ただ、ビールは一番搾り糖質0に替えました。
糖質制限を始めて4週間目、微妙に体調に違和感がある。体がだるくて節々が痛むし、手足に力が入らない。
それまでの3週間は特に空腹を感じることもなかったし、パワーが出ないとも思わなかった。しかし、この時は違った。風邪の引き始めとよく似た症状で、どうにもだるくて仕方がない。
加えて、メンタルの調子があまりよくない。気が滅入って、もうどうでもいいというような捨て鉢な心持ちになる。前向きに何かに取り組もうというやる気が起きない。
後から考えると、これが禁断症状の第一歩だったのだろう。というのは、この症状の出た2、3日後から、体重が1kg以上がくんと減ったからである。
糖質制限を始めて3週間で3kgほど落ちてはいたが、不快な症状が出る前は下げ止まっていた。糖質制限とともにアルコールも減らしていたので、3kg程度は減っておかしくない。それ以上となると、糖質制限によって生じた新たな局面となる。
おそらく、糖質制限でいうところの、ブドウ糖回路からケトン体回路に代わる時期で、体内に蓄えたブドウ糖では足らずに中性脂肪を燃やしてエネルギーを作るようになって、体調に違和感を感じるようになったものと思われる。
たびたび引き合いに出す江部先生によると、糖質制限で体調が悪くなるのはほとんどカロリー不足だということである。ただ私の場合は、おかずだけでも結構な量を食べているので、1日2000kcalは楽に超えていると思われる。
だから、おそらくこの違和感は、糖質が体に入ってこないことによる反応とみて間違いない。問題は、この反応が「体が求めるもの」か「脳が求めるものか」ということである。
糖質制限有害論の本には、「体が求めるものは必要に決まっており、制限するのは間違っている」という素朴な理由が書かれていることがある。その理由が成り立つのなら、アル中もポン中も体が求めているので、制限するのは間違っていることになる。
実は、それらの依存症は「体」ではなく「脳」が求めているものである。「脳」の要求というのはかなり強烈で、「体」が求める以上にいろいろな症状が出てくる。「脳」だから放っておけばいいというものでもない。
しかし、生物の歴史から明らかなように、脳ができるより先に腸ができたのである。腸だけで生きている生物はいるけれども、脳だけで生きている生物はいない。人間は脳の命令にばかり従うけれども、本当は腸のことをもっと尊重しなければならないのである。
内臓も、血管も、骨も、利害関係はどちらかというと腸に近い。神経は、どちらかというと脳に近い。だから、迷ったときには体の中の声によく耳を傾けて、どちらの要求なのかよく考えなくてはならない。
その時の違和感は、1晩ワインを飲んで寝たら、翌日には治まっていた。とすると、「脳」の指令だった可能性がかなり高いのではないだろうか。
糖質制限開始後まもなくの代表的朝食。食パンをやめて奥さんにふすまパンを焼いてもらいました。
糖質制限2ヵ月目は年末年始であった。ただでさえ体重が増える時期に、きちんと糖質制限したまま過ごせるかどうかかなり不安である。
1ヵ月目にはかなり厳密に守ってきた糖質制限だけれど、長続きさせるためには適当にゆるめることも必要だ。血糖値やヘモグロビンA1cを毎日測れると一番いいのだが、それができないから体重と血圧を目安にする。あとは、自分の体との相談である。
私の場合、体調の目安となるのが肌の具合である。糖質制限を始めてから吹き出物などが減ってきたのだが、甘いものを口にするとてきめんに影響が出る。誰でも甘いものを食べるとそうなると思うけれど、私の場合は速攻なのである。
江部先生の理論によると、糖質をとらなければ肉やチーズ、ナッツ類は摂って構わないということなのだが、私の体はナッツ類でも肌に影響が出る。食べ過ぎかもしれない。
お買い得な大袋を買うとどうしても食べ過ぎてしまうので、1日分を個別包装したデルタインターナショナルのロカボナッツに落ち着く。1袋あたり100円以上するので間違いなく割高だが、1日1袋は分かりやすい。
正月といえば餅にお節、酒である。お雑煮に餅なしは寂しいので、元日の夜に一つだけ雑煮に入れた。それで満足したから不思議である。お雑煮自体は糖質制限食なので、餅なしでお代わりする。
おせち料理は、数年前から家ではあまり食べなくなった。極端に高い値段をつける割には、ちっともおいしくないからである。黒豆や数の子は年末のうちに少しだけ仕込んでおくが、蒲鉾伊達巻は省略である。食べなくても、どうということはない。
ここしばらく正月は海産物を取り寄せていたが、今年はお肉。守谷の藤井商店から買ってきた常陸牛ヒレステーキをオーブンで焼く。肉は糖質制限になるし、めでたさも申し分ない。オーブンで焼くと、フライパンよりも均等に焼けておいしい。
せっかくの正月なのでワインも開けて贅沢していたら、案の定2~3kg太った。子供達が引き上げてから、再び糖質制限に励む。お餅は控えめにしてご飯類も食べなかったので、1週間で元の体重に落とすことができた。ここからは、さらなる高みを目指す。
7~8年前から毎朝の体重・血圧を記録しているが、もっとも低かったのは約2年前のダイエットの時である。そのときの経緯を「せいうち日記」にも書いたけれど、食事と合わせてトレーニングを強化したのだった。今回はジムをやめているので、運動といえば散歩くらいである。
それでも、さすが糖質制限、徐々に2年前の最低体重に近づいてきた。そして1月半ば過ぎ、0.1kgだが2年前の体重を下回った。ということは、ここ7~8年で最も軽い体重ということになる。
確かに体は軽くなったように思うし、奥さんに聞くと肌つやもいいそうなのだが、それほど空腹を感じることはない。大好きな海苔巻きもいなり寿司もすでに2ヵ月以上食べていないけれど、どうしても食べたいというほどではない。不思議である。
あるいは、前に書いたチートデイの効果であろうか。好きなものを我慢しているという感覚がほとんどないことは、予想に反することでうれしいことでもあった。
江部先生によると、チーズやナッツはとって構わないということだけれど、大袋で買うと食べ過ぎる傾向にあるようだ。割高だけれど、個別包装のロカボナッツに落ち着く。
[Mar 31, 2021]
医者に行く際には少なくとも4~5日酒を控えるので、大体2kgほど減量して検査する。普段の体調で検査しなければ意味がないという説もあるが、機会をとらえて節制しないと体がリセットできないと思うのである。
1月の通院時は前回の減らした体重より、さらに3kg軽くすることができた。たかが3kgとはいえ、十数年前のピーク時に比べると10kg少ない。10kgのリュックで山登りすることを考えると、体の負担は相当少なくなっているはずである。
にもかかわらず、採血時の簡易測定では血糖値122とこれまでとあまり変わらなかった。簡易測定では少し高めの数値となることが多いので、まだがっかりする必要はない。結果が出るのはしばらく先である。
ここでタイムワープして、検査結果がどうだったか書いてみる。糖質制限を開始して約2ヵ月、体質改善はどの程度進んだだろうか。
半年前の検査結果と比較すると、空腹時血糖が136から122にじわりと減ったことに加え(簡易検査と同じである)、ヘモグロビンA1cが6.5から5.8に劇的に改善した。5.8という値は正常値であり、糖尿病になる前の水準である。
中性脂肪(トリグリセロイド)も121から73に減少。これは、過去20年間で最も低い数字である。中性脂肪が肥満に直結するというのはよく言われることなのだが、なるほどその通りで、体重が落ちていくのも納得であるし、健全な減り方である。
ただし、検査結果は八方丸く納まるものではなかった。この結果が分かるのは約2ヵ月先なので、ここまでで時系列の記録に戻ることにする。
1月中旬での体重は3kg減に過ぎないのだが、お風呂に入ると下腹のたるみがかなり少なくなっているように見えるし、ベルト穴が2つ3つゆるくなっている。暖パンのウェストが相当楽だし、つい最近買ったはずのスラックスがずり落ちる。
一方で、かれこれ2ヵ月以上糖質制限を続けていると、白飯やうどん、ラーメンを食べたいとはあまり思わなくなっている。少し前まで海苔巻きやいなり寿司を食べたくてしょうがない時があったけれど、それもない。
和菓子やケーキを食べたいとは思うけれど、糖質の多さをみると二の足を踏む。ごくたまに薯蕷まんじゅうを食べるくらいで、量的にはかなり減った。
そうこうしている間に、8年前に達成した最低体重93kgに近づいてきた。さすがに、ここまで来ると減り方が鈍くなって、1日1kgとかそういう単位では減らない。逆に、少しくらいビールを飲んでも急激に増えることも少なくなってきた。
糖質制限後2ヵ月で受けた血液検査では、ヘモグロビンA1cが前回の6.5から5.8へと劇的に改善していた。中性脂肪も過去二十年で最も低い。
「せいうち日記」の過去ログを読むと、昔のダイエットの記録が出てくる。毎朝記録している体重、血圧等の数字と突き合わせることで、現在進行中の糖質制限で体が過去のどのレベルにあるのかが分かる。
2012年の1月に人間ドック結果の記事を書いているが、今年(2021年)2月初めには、その時の体重93kgを下回った。当時の記事が「16年振りの体重」だから、現在はその前のダイエット、つまり25年振りの体重ということになる。
糖質制限のすごいところはリバウンドしにくいことである。糖質制限後も何度かお酒を飲む機会があったのだが(奥さんとしか飲まない)、以前のように3kgも4kgも一日で増えることはなくなった。察するに、締めのラーメンとか締めの雑炊がてきめんに効いていたのだろう。
2月は28日の半分、14日アルコールを摂取したのだが、朝の体重の最高値が2011年末人間ドックの数字を下回っている。最低値はそれより2kg軽くなっている。
体重が減っているのに対応して、体質も徐々に変わってきているように思えた。開始早々に胃腸の調子がいいこと、歯茎の痛みが軽くなったこと、血圧が確実に下がっていることを書いたけれど、加えて、あまり汗をかかなくなった。
山歩きをして大汗をかかないのは冬のせいかと思ったのだが、どうやらそればかりではなく、重い荷物(ぜい肉)が減ったことによるらしい。タオルの必要量が確実に減り、水の消費量も少なくなって、使わずに持ち帰る量が多くなった。
一方で、糖質制限後は改善していた肌の具合が、正月明けから再び悪化していた。
悪化といっても糖質制限前よりましだが、それでも吹き出物が再発しているのが気になる。原因は何だろうと考えると、正月をはさんで間食制限がややゆるめになっていたのが最も可能性がありそうだった。
糖質制限の本には、チーズやナッツはいくら食べても大丈夫と書いてあるのだが、脂肪分が多いものはやはり疑わしい。それと、気になったのはチョコレートである。
糖質の少ないものなら多少はいいだろうと思って、86%のチョコレートを少しだけ食べた翌日がいちばんひどくなっているような気がする。市販されているチョコレートは「チョコレート味の砂糖だ」と言われるくらいだから、86%でもよくないのかもしれない。
いろいろ試してみると、砂糖が入っていても和菓子だとそれほど悪化しないように思える。和菓子も、多くの砂糖が含まれている。チョコレートでダメで、和菓子だと大丈夫なんてことがあるのだろうか。
江部先生によると、チーズやナッツはとって構わないということだけれど、せっかく改善した肌荒れがひどくなるような気がする。
糖質制限を続ける際に何が最大のネックになるかというと、おカネがかかるということである。カロリー当たりの単価にすると、炭水化物が抜群に安くて脂肪・タンパク質の半分くらいではないだろうか。
市場に出回っている商品に炭水化物が圧倒的に多いから、大量生産によってコストが下がるということはある。ただ、肉を作るには動物に飼料を食べさせなくてはならないので、同じ炭水化物をそのまま食べるのに比べて割高になるのはやむを得ないのである。
肉以外のたんぱく源についても同様で、大豆をそのまま食べればコスト的には米・麦と大差ないはずだが、豆腐やおからに加工するまで何段階かの工程が必要である。その手間賃が余計にかかるから、その分割高になる。
これまでお昼に食べていたインスタントラーメンは、サッポロ一番で75円、中華三昧や冷凍ラーメンでも100円ほどである。対して、紀文の糖質0麺は200円以上するし、相模屋のスンドゥブも180円、ほぼ倍である。最初は仕方ないとあきらめていたが、しばらく続くと何とかならないかと思うようになる。
糖質0麺と同じ棚に、スープの付いてないとうふ麺を売っている。紀文ではなく町田食品というメーカーで、2食分230円ほどだから、冷凍ラーメンよりちょっと高いくらいである。含まれる糖質の量はほとんど変わらない。
試しに買ってみると、味は紀文の麺とほとんど変わらない。こんにゃく麺のような独特の歯ざわりや匂いもなく、すぐ切れてしまうのはもとが豆腐だから仕方がない。スープが付いていないので、これを工夫しなくてはならない。
はじめは麺つゆで代用していたけれどこれだけでは寂しいので、エバラのプチット鍋で味付けしてみたところ、紀文のとそん色ない仕上がりとなった。プチット鍋は味によるが1個40~60円、合計150円くらいに節約することができる。
相模屋のスンドゥブも、よく見ると豆腐に味付けしているだけである。豆腐なら、3パック100円以内で売っている。土鍋に入れて、やはりプチット鍋で味付けすると、1食100円、インスタントラーメン程度の値段で食べることができる。
お昼は日替わりで、3日に1度は豆腐メンorスンドゥブにしているので、月にすると10日程度は順番が回ってくる。1食100円とはいえ月にすると1000円、NISSINごろっとグラノーラ糖質60%オフが2つ買える。
最近はライスなしレトルトカレーにも慣れてきて、先日奥さんに勧められてロカボ玄米でカレーライスにしてみたら、半日胃が重かった。なにごとにも慣れてしまう性格なのか、うどんやラーメンも食べたいと思わない。
増やしたサプリメントがあるし、肉を買う機会も増えているから、糖質制限がお財布にやさしくないことは確かである。それでも、体調がよくなればその分の元は取れるし、糖尿病の薬が減らせればお釣りがくる。こういう費用はケチってはいけないと思うのである。
糖質制限はおカネがかかるのがネック。インスタントラーメンやレトルトカレーでお昼を済ませれば100円かからないが、糖質制限だと倍の金額必要である。
そうこうする間に3月になり、通院の日がやってきた。1月の検査結果が返ってくる。検査結果は、必ずしも八方丸く納まるものではなかった。
肝心かなめのヘモグロビンA1cが6.5から5.8に劇的に改善したのは糖質制限の効果で、中性脂肪(トリグリセロイド)も121から73と一気に正常値に突入したのは喜ばしい。しかし、検査結果を見ると別の場所で異常値が出ている。
その異常値とは、尿素窒素(BUN)であった。25.2という数字は、いまだかつて見たことのないぶっちぎりの高い(悪い)水準である。検査前に食事を抜くと20を少し超えることがあったけれども、普段は15とかそれくらいだから、どうみても異常値である。
先生は、「腎臓にも問題ないようですね」と言うのだが、あまり好ましいとは思えない。確かに、尿素窒素の値はクレアチニンの数字と照らし合わせて腎臓の状態を判断するし、クレアチニンにも尿蛋白にも問題ないからそれほど悪くはないのだろうが、急激な動きは気になる。
家に帰って調べたところ、尿素窒素とは簡単にいうと尿素に含まれる窒素成分のことで、本来は腎臓で濾過されて尿として排出されるべきところ、ろ過しきれずに血液中に残っているものである。
腎機能に問題があって上昇することもあるし、たんぱく質を多くとることによりアミノ酸→アンモニア→尿素と消化段階にしたがって体内に多く残ることが原因となる場合もある。いずれにせよ、腎臓に負担であることは確かなようだ。
クレアチニンが正常で尿素窒素のみ急上昇する原因はいくつかあるが、代表的なものが脱水と高たんぱく食である。昨今の食生活と考え合わせると、理由は一つしか考えられない。たんぱく質のとり過ぎである。
検査結果をよく見ると、正常範囲内ではあるものの他にも気になる数字が出てきた。総コレステロールが149から179に、LDLコレステロールが81から108に、それぞれ増加している。この数字は、体重が100kg台だった頃以来の高い水準である。
糖質制限の権威・江部先生によると、たんぱく質は余計に摂っても体に吸収されず、体外に排出されるから問題ないということなのだが、普通に考えれば排出するのは腎臓だから、それだけ負担になる理屈だろう。何度も言うけれど、糖質のとり過ぎが良くなければ、脂肪やたんぱく質のとり過ぎが体にいいはずがない。
おそらく若い人であれば、骨や筋肉もどんどん再生されるので、たんぱく質を多く摂っても深刻な問題にはならないと思う。しかし、60過ぎた年寄りが炭水化物で足りないカロリーをたんぱく質で補い、さらにプロテインまで摂るのはやり過ぎかもしれない。
とりあえず、プロテインでたんぱく質を補充するのはやめておこうと思った。また、間食にチーズは構わないというのでほとんど毎日食べていたチーズも、少しペースを落とした方がいいのかもしれない。
いずれにしても、江部先生が言ったから、なおよキッチンが言ったからではなく、自分の体は自分で判断して責任を持たなければならない。様子をみながら、続けることは続けるし修正すべきことは修正しなくてはならないということである。
とりあえず、糖質制限でヘモグロビンA1cや中性脂肪を正常値に戻すことができたのはよかった。後は、どのように微調整して自分の体にフィットさせるかである。
糖質制限と併せてプロテインの摂取を勧める人が多いが、その効果を自分の体と相談した上で判断すべきかもしれない。
[May 1, 2021]
最新の知見では、コレステロールに善玉も悪玉もなく、動脈硬化の原因ではなく結果としてコレステロールが上昇することが明らかとなっている。だから、コレステロール値を「下げる」ことにほとんど意味はない。
つまり、数年前まで飲んでいたコレステロールを減らす薬には動脈硬化を防いだり改善したりする効果はなく、血液中のコレステロール値を下げるだけということである。
薬代を払っただけの損で済めばいいけれども、本来、動脈硬化で傷ついた血管を修復するために増えているコレステロールを無理やり減らす訳だから、血管にはプラスの影響はない。
だから現在では、人間ドックでコレステロール値が高いからといってそのこと自体を問題視することはなくなっている。また、善玉・悪玉論も下火になっているようだ。
もちろん、原因だろうが結果だろうがコレステロール値が動脈硬化の指標となっていることは間違いないので、コレステロール値が乱高下することは好ましいとはいえない。
コレステロール急上昇の理由の一つは、たんぱく質のとり過ぎであるようだ。だから、チーズやプロテインは控えることにした。また、炭水化物で足りないカロリーを肉類で補うのはほどほどにしておくことにした。
糖質制限で白飯、食パン、ラーメンを摂らずに、ふすまパンや全粒粉スパゲティにしていたが、そばもメニューに加えた。また、間食をチーズやナッツでというのはやめにして、たまにはケーキや和菓子を食べていいことにした。
一方で、毎朝サラダに使うドレッシングを見直した。
市販のドレッシングには糖質が相当量含まれている。最近読むようになったドクター南雲によると、「ドレッシングなど今すぐ捨ててしまえ」ということである。
油と酢はいいものを使うべきだというのはもっともなことなので、これまで使っていたドレッシングは控えて、オリーブオイルとバルサミコ酢/レモン酢を使うことにした。
ものの本によると、エクストラバージン・オリーブオイルは日本中に大量に出回るほど生産されていないし、常温で日の当たる棚に陳列されて長持ちするはずがないということである。「エクストラバージン」の表示基準も、ヨーロッパと日本では違うらしい。
とはいえ、1㍑百何十円のサラダ油よりよさそうだし、アマニ油やえごま油は高すぎる。多少の疑義は残るものの市販のオリーブオイルを使う他なさそうだ。
ドクター南雲によると「ドレッシングは今すぐ捨てろ」とのことなので、なるべくオリーブオイルとバルサミコ酢/レモン酢を使うようにした。
検査結果が出てからも糖質制限を続け、3月に入ると朝の体重90kg台が出た。1月以来体重は過去25年の最低水準まで絞っていたが、いよいよあと1kgで80kg台である。
振り返ると、就職して酒を飲むようになってから増え続けた体重であるが、20代後半以降2回だけ80kg台まで絞ったことがある。
一度目は30代前半に胆石で入院した時である。当時、腹腔鏡手術なんてものはなくて、すべて開腹手術だった。そのため2週間ほど入院しなくてはならず、その時10kgほど痩せた。痛かったこともあるし、大部屋のストレスであまり食事ができなかったのである。
二度目は2回目に転職した時で、1回目の転職の時に健康診断でハネられて痛い目をみたので、それだけは避けようと意識的に体重を絞ったのである。これがちょうど四半世紀前のことで、転職に成功してリバウンドするまでの約1年間80kg台をキープした。
それから四半世紀。以前のように病気で食べられなかったり、食べる量を制限した訳ではない。糖質制限だけでこの数字というのは驚くべきことだ。なぜもっと早く誰か教えてくれなかったのか。
思うに、そうした情報は本来かかりつけ医から得るものだと思うが、彼らだって忙しい。1~2ヶ月に一度5分に満たない診療時間では、そこまでできないというのが実際のところだろう。
それ以上に、世間一般に認められている以外の治療法を情報提供することは、リスクが大きすぎる。もし万一、効果よりもデメリットが大きかったら、医療訴訟等になりかねない。
だから、そうした情報は患者自身が自らのリスクで収集し、やるかやらないか決めなくてはならない。開業医にそこまで期待することはできないのである。
われわれの世代だと、お医者さんのいうことは絶対であり、疑問をさしはさんだり自分の判断で指示を守らなかったりするのはダメと教えられた。セカンド・オピニオンなんてことが言われ出したのは21世紀に入ってからだし、かかりつけ医を変えることはいまだに抵抗ある人が多い。
しかし、医師といえどもサービス業のひとつに過ぎないし、患者個人個人で体の中身は微妙に違う。自分の体のことは最終的に自分で責任をとるしかないのである。
お医者さんにとって自分は何百人いる患者のひとりに過ぎないが、自分にとって自分はひとりしかいない。自らリスクをとって、最終判断は自分でしなくてはならない。当り前のことだが、改めて感じたことである。
われわれの世代は「お医者さんは絶対」と教え込まれたものだが、体の中身は人それぞれだし、彼らだって忙しい。結局のところ自分の体は自分でリスクをとって管理するしかない。
もう一つ気を付けたのは、間食である。江部先生によると、小腹がすいた時に間食をするのは、血糖値を急上昇させることも防ぐ意味もあるので、糖質さえとらなければOKということである。それで、チーズやナッツを食べていた訳である。
一方、ドクター南雲によれば、食事など1日1食で構わない、空腹の方が長生き遺伝子が働く。腹が鳴るのを楽しめということである。そこまで徹底しなくても、1日3食の他はなるべく胃腸を休めるだけで、効果はありそうに思えた。
肌が荒れて特に気になっていたのは、口の周囲である。以前から接触皮膚炎の気味があるので、マスクをつける時間が長いのが原因のひとつと思っていた。天気が悪くて2~3日外に出ないと、症状も軽くなる。
糖質制限当初には改善したのだが、その後またひどくなっていた。残念ながらいまのご時世では、マスクをせずに外に出ることはできない。半分あきらめていたところ、間食を控えるようにすると再び改善の兆しがみられたのである。
まず、午前中の間食はしないように心がけた。午後は、散歩に出たりすることも多いので間食する機会は多くない。糖質制限で胃も小さくなったようで、それほどたくさん食べられない。
糖質制限に限ったことではないが、健康管理の上で腸内環境が重要だとよく言われる。腸内環境とはまさしく腸の中がどういう環境にあるかということで、基本的には腸内に生息する細菌類のことを指す。
腸内にいる細菌というと、ウシのように草のセルロースを分解して栄養にする細菌が思い浮かぶが、ウシだけでなく消化器官を持つ動物の腸には、必ず細菌が存在している。
ヒトの腸内にいる細菌というと、名前のとおり大腸菌がよく知られるが、比率としては少ない。腸内に多く存在しているのは乳酸菌やビフィズス菌といった細菌である(この場合の細菌には、サイズの大きい真菌=酵母を含む)。
花粉症をなくすためには腸内にサナダムシを飼うと即効性があるといわれた時期があった(少ないけれど今でもいる)。サナダムシは微生物ではなくまさに生物なので、そのような効果をもたらしておかしくない(デメリットも少なくないだろうが)。
話を戻すと。わたしの腸内環境を推測すると、血糖値を上下させないために間食をとるよりも、食間をきちんと開けて消化器官を休めることの方が、プラス効果が大きいようなのである。
実際に、チーズやナッツで間食をしていた時よりも、できるだけ間食をとらない方が肌の具合はよくなっているし、胃腸もよくなっているように思える。血糖値の上下する影響は分からないものの、間食を少なくする方が自分には合っていそうだ。
さて、腸内環境をよくするために、酵母を生きたまま腸まで送り込むとか、そういったサプリメントを宣伝していることがある。
しかし、ものの本によるとサプリメントだろうが何だろうが消化液(唾液、胃液や腸液)で溶かされてしまうので、普通の食べ物同様そのままで腸まで届くことは少ないそうだ。
もちろん、普通の食べ物でも未消化のままで出てくることはあるので、そのまま腸まで到達することもあるだろうが、よく考えれば赤ちゃんの時にどうにかこうにかして腸内までたどり着いている(胎児には腸内細菌はいない)のだから、あえて特別な方法をとらなくても細菌の方で工夫するだろう。
腸内細菌の中には悪さをするものもある。そうした細菌(悪玉菌)を増やさないためにはよく言われるように食物繊維をちゃんと摂ること、バランスよくすべての栄養素を確保することが大切なようだ。
腸内環境という言葉は、使う人によって微妙にニュアンスが異なる。とはいえ、生物において脳より先に腸ができたことは間違いないので、それなりに気を使ってあげることが大切でしょう。
そして3月下旬の山行から帰って体重を測ると、ついに90kgを割り込んだ数字が現れた。それも89.2kgだから、ずいぶん大きく割り込んでいる。ここまで一気に減るとは思わなかった。
前にも書いたように、糖質制限の第一の目的は老化と肥満に伴うさまざまな体調不良を改善することで、体重を減らすことが主たる目的ではない。ただ、体重は血圧とともに体調を手軽に測る目安の一つであるから、下がるに越したことはない。
そして、瞬間風速で89kgに落としたといっても、自分としては毎朝の定期的な測定でそこまで落とさないと胸を張って89kgに落としたとは言えない。もう少しの努力が必要だ。
瞬間風速で落とした体重までは遅かれ早かれ落とせると思っていたので、さほどあせることはなかった。その夜ビールを飲んでさっそく91kg台に戻ってしまったが、それから確実に90kg少々の水準まで下がった。あと少しだ。
瞬間風速で89kg台が出てから1週間、ついに朝の体重が90kgを割り込んだ。目安にすぎないとはいえ、ここまで落とすことができて結構うれしい。
いったん落としても。天気が悪くて外を歩けなかったり、夕飯でビールを飲んでしまうと再び90kg台に戻ってしまうが、糖質制限を続けていればやがて遠からず、増えても80kg台に落ち着くだろう。
1年前には、普段90kg台、増えた日には100kg台だったと思うと、わずかの間にずいぶんシェイプアップしたものである。きっと、体の内部でもいろいろと変わっているだろうと思う。
改めて実感するのは、肥満の大きな原因は糖質のとりすぎということである。消費されなかった糖質が中性脂肪となり、それが内臓脂肪や皮下脂肪に蓄積されて肥満を招く。飢饉があった時代なら食べ物がない場合に取り崩すことができたが、現代ではそういうことはない。
過去数十年間、健康診断のたびに肥満しないように、メタボに気をつけましょうとは言われたけれど、具体的に炭水化物を控えると改善しますというアドバイスを受けたことはなかった。
炭水化物を避けるように言われたところで、お昼を食べに外食に行けば炭水化物のないメニューなどない。いまのように糖質オフの食品などなかった。糖質をとらなければ、脳のエネルギーが供給されないと信じられていた時代である。
そういえば二度目の転職でダイエットした時、お昼は外食せず、家から煮た野菜を持っていき、それを食べて近くの図書館まで歩いて昼休みを過ごしたのだった。当時糖質制限という言葉は知らなかったが、結果的に糖質制限で体重を落としたのである。
以来四半世紀、理屈が分かって糖質制限をするのと、やみくもに体重を落とすだけとはかなり違う。何より、長続きさせようという意欲がある。この生活を続けることで、さらに体質改善を図ることができるだろう。
四半世紀ぶりに89kg台の体重にすることができた。なくなった十数kgの体重は、どこに行ったのでしょう。
[May 29, 2021]
もちろん、今度こそきちんとダイエットするぞという決意で始めたのだが、正直なところ自分でも驚いている。驚きの一つは予想以上に効果があがったことであり、もう一つはそれほど負担にならなかったことである。
まず成果について書いてみたい。毎朝体重と血圧を測定しているが、体重は糖質制限前(11月初旬)に最低98.5kg、最大100.2kgあったものが、5月にはコンスタントに89kgまで減らすことができた。約10kgの減量成功である。
前回までの報告で四半世紀ぶりに89kgまで落としたことを書いたが、最初に90kgを切ってからほどなくコンスタントに89kgを記録するようになった。
血圧は、糖質制限前、高いときには145-89と高血圧ぎりぎりのところまで上昇していた。糖質制限後さっそく効果が現れたのが血圧で、120-70くらいの数字がでるようになった。ときどき110-65とかになるので、嘘じゃないかと思う。
ヘモベロビンA1cは1月の検査で5.8に低下、糖質制限前の6.3から格段に改善した。3月の検査でも血糖値108、ヘモグロビンA1c5.7と正常範囲内で安定している。何よりのことである。
糖質制限に賛否があるのは分かるけれども、これだけ短期間で劇的に効果があがるのだから、糖尿病患者にはもっと情報提供していいのではないだろうか。効果的な方法を周知しないことによって、診療収入、投薬収入が減るのを防いでいるのではないかと勘繰りたくなる。
体調の改善は糖質制限から半月あまりで歯茎の痛みがなくなったこと、胃腸の調子がよくなったことなどの効果があったが、なかなかよくならなかったのは肌の調子である。
このことについては前も書いたけれど、間食を控えるようにしてから改善の気配はみえるものの、一進一退を続けている。半年たってようやく、以前よりかなりよくなったと感じられるようになったけれども、それでも完治したとまではいえない。
もしかすると、コロナ対策のため外出時にマスクを必ず付けていることが影響しているのかもしれない。以前から接触皮膚炎の気味があり、長時間異物が触れているのが肌にいいとは思えない。だから最近は、誰もいない時はマスクを外して、日光を当てるようにしている。
もう一つ、最近になって出てきた効果は、夜中にトイレに行く回数が少なくなってきたことである。
糖尿病で医者にかかることになった最大の理由は、夜中に5回も6回もトイレに起きてしまうことだった。お薬を出してもらって減ったけれども、それでも1晩に2~3回トイレに起きていた。加齢によるもので仕方ないと思っていた。
ところが、89kgまで落としたころから、夜中のトイレが1回という日が増えてきたのである。夜9時に床に就くと、翌朝3時まで起きなかったりする。山ならば、そのまま動き出す時刻である。
糖質制限を始めて6ヵ月で約10kgの減量に成功。これほど負担なく効果のある方法があったのには正直驚いた。
糖質制限の驚くべき点のひとつは、ダイエットをしている気にならないということである。
半年経つけれども、3食きちんと食べているので、それほどストレスは感じない。お酒は週3回程度まで控えているが、これは糖質制限前と変わらない。白飯や食パン、うどんなどを食べていないだけで、体重が10kg落ちるほど節制していないように思うのである。
お米と精製小麦食品を食べないことは徹底していて、正月とか外食などでごくたまに食べる程度である。外食だと残すのはお行儀が悪いので食べるけれど、月に1度あるかないか。でも、それほどのストレスとはならないのである。
以前はお寿司、特にいなり寿司、海苔巻きが大好きで、しばらく食べないとどうしても食べたくなったものだが、いまは食べなくても平気である。インスタントラーメンは在庫を食べきってから全く食べていない。ローカーボのおから麺で十分である。
パンについては、奥さん手作りのふすまパンを毎朝食べている。おそらく1食の糖質が25g程度で収まっているはずで、以前の半分以下だろう。マーガリンを買わなくなって、クリームチーズや蜂蜜、少量のマーマレードをつけて食べている。
糖質制限を始める前は、「甘いもの中毒」になっていたのではないかと思う。体内ですぐブドウ糖に転換される炭水化物、特に白米や精製小麦粉を食べ続けることによって、脳内に依存回路ができていたのではないだろうか。
清涼飲料水も同様である。かつては、山登りとかお遍路で1日歩いた後にコーラとか桃の天然水を飲みたくて仕方なかったが、今は特に飲みたいと思わない。イオンサプライと呼ばれるポカリやアクエリアスもそうなので、このところ山では水だけである。
それで、特に不自由は感じない。コーラは当然だが、多くの清涼飲料水には異性化糖(ブドウ糖果糖液糖)が含まれているため、依存性がある。イオンサプライとか熱中症対策とかに騙されてはいけない。水さえ飲んでおけば大丈夫である。
たまに食べるくらいなら、意外と影響がないのはお菓子類である。和菓子やケーキをそれぞれ1ヶ月に1度くらい食べるけれども、特にリバウンド等は感じられない。
むしろ、江部先生は大丈夫と言っているのだが、チーズやナッツを食べる方がよくないようだ。個人の体質によるのかもしれないが、私の場合はてきめんに肌が荒れる。ロカボナッツ1袋を週に2、3回くらいが限度のようだ。
思うに、現役時代のようにストレスの多い生活をしていると、それだけ糖質に頼らなければならないのだろう。リタイアしてストレスの少ない毎日を送っていることが、糖質制限による体質改善にかなりプラスに働いているのではないかと思う。
異性化糖(ブドウ糖果糖液糖など)はコーンスターチ等を原料として工業的に生産される。コストが安くすむことから、ほとんどの清涼飲料水に使われている。経験的にいって、依存性があるように思われる。
このところ、毎日の食事内容が安定してきた。
朝食は糖質制限開始前とほとんど変わらない。チキン、野菜サラダなどを盛り合わせたワンプレートと、奥さん手作りのふすまパン、コーヒー、ヨーグルトとフルーツである。
ふすまパンは1日分にすると、強力粉約20g、ふすま約15gを使う。バターやスキムミルクといった副材料を含めても、糖質としては25gになるかならないか。ご飯お茶碗1杯60g、食パン1枚50gと比較すると全然少ない。
ワンプレートに含まれるチキンやじゃがいも、果物やヨーグルトまで含めても糖質50g程度だから、糖質制限前と比べると半分以下に抑えることができている。
サラダに振りかけるドレッシングは、市販のものを使うのは3日に1度くらい。日替わりで、バルサミコ酢、レモン酢とオリーブオイルを使っている。最近は味に慣れてきた。
リタイア前はサラダなどのワンプレートと食パン6枚切り1枚の他にコーンフレークを食べていたから、通勤や仕事を勘定に入れたとしても相当に糖質過多かつカロリーオーバーであった。反省するというよりも、食べなくても平気ということが不思議である。
昼食は日替わりである。最近のローテーションはグラノーラ、糖質0麺かスンドゥブ、ご飯なしレトルトカレーである。ごろっとグラノーラは牛乳合わせて糖質30g程度あるけれど、糖質0麺や豆腐、レトルトカレーは調味料含めて10g程度、平均すると糖質20gくらいには抑えている。
コロナの影響もあって、近所を散歩する他にほとんど外出することはない。だから、昼食は外食という必要もないし、11時になると2階の自室から下りて日替わりの昼食を食べるだけである。動かないから、糖質0麺でも空腹を感じることはない。
夕食も白飯はなしで、肉類、魚類を中心に野菜多めのメニューである。週に3回くらいお酒も飲むけれど、量は以前より減っている(お酒については、改めて書くことになりそうだ)。お酒を飲む日数そのものはほとんど減っていないことが、ストレスなく糖質制限を続けられる理由のひとつになっているだろう。
炭水化物をまったく摂らないという訳ではなく、そばや全粒粉スパゲティは週に1度くらい食べている。それでも体重は減っているから、糖質を少しでも摂ると効果がないということではないようだ。夕食は午後5時までには済ませて、あとは夜寝るまで食べない。
あと書いておかなければならないのは、間食についてである。糖質制限の本をいくつか読んだ中に、グルコーススパイク(血糖値の乱高下)を防ぐためには、あえて間食をした方がいいという意見があった(江部先生とか)。
これについては、実際に試したところ、どうも私には合わないようである。かえって肌荒れがひどくなるような気がするのである。
血糖値が乱高下しないよう管理することは大切かもしれないが、満腹と空腹のリズムは体にとって自然なものであり、常に一定のレベルを保つというのもやりすぎなような気がする。第一に、胃腸が休まらない。
少なめに食べて小腹が空いて間食をするよりも、毎食ちゃんと食べて食事の間隔は4、5時間開ける方が、私には体調がいいように感じられる。
糖質制限開始後の代表的朝食。食パンをやめて奥さんにふすまパンを焼いてもらっている。
さて、糖質制限6ヵ月で10kg以上の減量に成功、四半世紀ぶりの体重に落とすことができたが、正直なところそれほどシェイプアップしたという感覚ではない。
おそらくその理由は二つあって、ひとつは10kg減らしてもまだ太りすぎということであり、もう一つはそれほど極端なダイエットをしていないことである。
私の身長は178cmなので、適正体重は69kg、BMI25でも79kgということになる。適正体重になったことは学生のとき以来ない。体格や肉の付き方は個人差があるので、70kgを割り込むまで減らすのは無理かもしれない。
よく言われるのは、若い頃の体重がいちばんいいということであり、おそらく70kg台後半だったはずである。ところが記憶に残っているのは当時、やたらと立ちくらみを起こしていたことである。
その頃の写真を見ると身長の割に体が薄くて、あまり丈夫そうでない。神経質な性格と合わせて、アスペルガー的な雰囲気であった。当時アスペルガーはほとんど知られていなかったが、その傾向があったに違いない。
20代後半以降、80kgを超えてから際限なく太り出した。あれこれ考え合わせると私の場合に適正体重となるのは正常範囲上限のBMI25・79kgくらいと思われる。
何度か引き合いに出している四半世紀前のダイエットの際には、90kgを割ってからも順調に減り続けたのだが、85kgになると押しても引いても下がらなくなった。当時の写真を見ると首だけ細く見えている。BMIだと26.8ということになる。
当時は糖質制限自体が知られてなかったから、減量するには食事を減らすしかなかった。食事と運動とか言われていたけれど、運動で減らないのはちょっとダイエットすれば誰でも分かることである。
それでも、これ以上は減らせない食事量というのがある訳だから、どこかで消費カロリー(≒基礎代謝)と釣り合って体重が落ちなくなる。それが、当時の私の場合85kgだったということである。
さて、今回は糖質制限という新たな武器がある。江部先生によると糖質制限食を1日糖質130g以下、スーパー糖質制限食を1日60g以下ということだが、ここまで半年、それほど厳密にやっている訳ではない。
だからこそ長続きしているから、厳密にやらなければ意味がないともいえないだろうと思う。体調とも相談の上だが、当分はいまぐらいのゆるさで糖質制限を続けるのがいいだろうと思っている。
最近思うのは、食欲というのはかなりの部分「脳」が求めるもので、「体」が求めるものではないということである。
以前は、しっかり食べないとちゃんと動けない。いざという時にシャリバテすると思っていたのだが、糖質制限を続けていると、食べれば食べるだけもっと食べたくなるし、控えめにすればするだけ食べなくても大丈夫になると感じる。
カロリーとかあまり厳密に測らなくても、朝はこのくらい昼はこのくらいと決めておけば30分もすればお腹いっぱいになる。食べ過ぎると胃がもたれる、体が重くなるような気がしてくる。
「体」が要求するのは本当に腹八分目なのだなあと思う。
[Jun 26, 2021]
11月の最高体重100.2kgから絞ってきて、6月の最低体重は87.3kg、3月に何十年かぶりに瞬間最大風速で89kg台が出てからも、引き続き体重は落ち続けている。
気をつけているのは白飯、ラーメン、食パンなどを摂らないこと、異性化糖を含んでいる清涼飲料水を避けることだけなのに、これだけ効果があるのは驚くべきことである。
もちろん、現役時代と違って通勤もなければ会社の机に座ることもないので、避けようと思えば避けられる環境にあることが大きい。誰かのお土産をいりませんとも言えないし、刺激もそれだけ多い。
午前中はパソコンの前に座っているとあっという間に昼の時間になるし、午後はできるだけ散歩に出るようにしている。お店どころか自販機もない場所を歩くので、思わず飲み物を買ってしまうこともほとんどないのである。
4月の簡易検査の結果が返ってきて、血糖値は102、ヘモグロビンA1cの値は5.6だった。1月が5.8、3月が5.7だから、3回連続で改善している。
血糖値は食事をどのくらい空けたかとか直前の食事内容とかに影響を受けるが、ヘモグロビンA1cは長期的な体の状態を反映すると言われる。それが0.1ずつでも改善しているということは、確実に体の中身が変わってきているということである。
いまのヘモグロビンA1cは昔の数値より0.4ほど高く出るので、昔だったら5.2くらいに相当する。糖尿病になる以前にも、こういう数値は出たことがない。手許に残っている人間ドック記録で、もっとも低いのは5.3。42歳の時で、その時の体重は105kgあった。その後2年を経ずして、ヘモグロビンA1cは10台まで悪化したのであった。
当時はまだ、糖質制限という知見は世の中になくて、とにかく減量。そのためにはカロリー制限と運動、できる限り節酒が指示された。炭水化物を摂らなければ、それほど苦しくなく減量できますよ、とは誰も教えてくれなかった。
もし、その頃にそうした知識があったらどうだったろうと考える。いまなら、ロカボマークも糖質0食品もスーパーにいくらでも売っているが、当時はそんなものはなかった。まずくて2度と食べられないこんにゃく麺とか、プロテインくらいしか記憶にない。
ともかく現在のところは体重が減り続けている。毎朝測定する血圧も、高くて120-80程度。ときどき105-65とか、60代半ばとは思えない数字が出るのもうれしい限りである。
普段の通院時には簡易検査で、血糖値とヘモグロビンA1cだけですが、それにしても数値は確実に改善している。
7ヶ月にわたりそれほど過酷にも感じないで糖質制限を続けていられるのは、これまでとあまり変わらない頻度で酒が飲めているという要素がたいへん大きい。
江部先生はじめ、糖質制限を奨める先生方がよく言うことが「ご飯を食べる人には糖質制限は難しいが、酒飲みにはそれほど難しくない」ということである。自分でやってみて、確かにそれは言えると思う。
先生方が酒は飲んでも構わないという場合、想定しているのは焼酎とかジンとかウォッカとかの蒸留酒で、それらは糖質を含まない。お湯わり、水割り、炭酸割りでも、当然糖質0である。
だから、糖質制限中に蒸留酒を飲むことは理にかなっているのだけれど、ではそれ以外のアルコール類は全然ダメかというと、そんなことはないと私は思っている。
というのは、1日に200gも300gも糖質を摂るから体によくないのであって、ゆるめの糖質制限である1日130gまで許容するならば、白飯や食パンを食べるほどにアルコールは糖質を含まないからである。
コメが原料の日本酒でさえ、2合の糖質は20g程度にしかならない。白飯ならお茶碗3分の1である。むしろ、アルコールが肝臓に及ぼす影響の方を心配しなければならない。
ビール350ccの糖質は約10g、ワインに至ってはボトル半分飲んだとして糖質は6gもない。もちろん0gと比べれば多いのだが、130gまで許容するのであればほとんど問題にならない。
そうした数字を冷静にみてみると、酒を飲むことによる体重増加は、酒そのものが原因というよりも高カロリーのおつまみを際限なく食べることとか、締めに雑炊とかラーメンを食べるのが原因なのである。
酒だけの糖質で100g飲むのは至難の業で、日本酒1升飲めたのは若い時だけ。ビール3.5リットル、ワイン7~8本も同様である。糖尿病の心配よりも、肝臓を壊す心配をしなければならない。
だが、フライドポテトやスパゲティをつまみにして、締めでチャーハンとかラーメンを食べていたら、間違いなく300g~400g。おそらくそれ以上の糖質を体に入れていたのである。
だから、お刺身とか肉とか高たんぱく低糖質の食材をつまみにして適量のお酒を週2~3回飲むことは、糖質制限の観点からすると問題は少ない。むしろ、そうすることでストレスなく糖質制限を続けることができるのであれば、そうした方がメリットが大きい。
逆に言うと、若い頃ダイエットでしていた禁酒は、苦労ばかり多くてメリットがあまりなかったということである。当時、誰もそういうことは教えてくれなかった。今更言ってもどうしようもないが。
WEBで糖質制限の経験談がいくつか出ているが、甘いものがどうしてもやめられないとか、主食を摂らないとストレスになるという人も多い。もちろん人それぞれ体質があり嗜好があるので一概には言えないが、酒飲みが糖質制限を続けやすいというのは、一面の真理であるように思われる。
アルコール類に含まれる糖質は、意外と少ない。日本酒2合で18.2g、ビール350ccだと10.8g、ワインボトル半分で5.6g程度である。
糖質制限を続けているのはダイエットのためでもあるが、主目的は体質の改善である。だから、毎日の体重と血圧、睡眠時間や体調を記録してExcelで管理してはいるものの、毎日血液検査できないから目安にしているだけで体重の増減だけに一喜一憂することはない。
しかし、昔のことを思い出すと、ダイエットは体重減がほとんどすべての目的であって、減ればうれしく増えればくやしいを繰り返していた。振り返ると、それがリバウンドの大きな原因であったように思われる。
というのは、例えば毎朝の体重を測ってグラフにしていると(もちろん、昔はそうしていたのである)、押しても引いても増えも減りもしないという時期がやってくる。それは、ダイエットを続ける上でたいへん精神的ストレスとなるのである。
ダイエットの経験者には同意していただけると思うが、体重の増減には「減り期」と「停滞期」があって、グラフを描けば階段状になる。努力するしないと、体重が落ちる落ちないとは必ずしもリンクしない。
「停滞期」においては、食事を控えようが酒を控えようが、運動して規則正しい生活を送ろうが全く体重は落ちない。そういう時期に、くじけて酒を過ごしてしまったり運動をなまけると、てきめんに体重は増える。
一方、「減り期」においては、普段と違ったことは何もしていないのに、いきなり1kg近く体重が落ちたりする。さすがに酒を飲んで減ることはないが、意外なほど増えていなかったりする。
だから、毎日の体重をグラフにして眺めていると、減っている時期には「よし、もっとがんばるぞ」とやる気がでるのだけれど、横ばいになるとやる気がなくなる。それが2週間3週間続いたら、あとはくじけて増えるのを待つだけである。
そうした教訓もあって今回は、「体重の増減が主目的ではない。一喜一憂しない」と、「グラフにして毎日成果を確認するようなことはしない」という点に、気をつけるようにしている。
日々の成果を確認するには、前日とか前週とか直近の数字と比較するのではなく、1ヶ月前の数字を見るようにしている。
3月には瞬間最大風速で89kg台を記録したが、4月には毎朝の体重が89kgとなる日があり、5月には半分以上89kg以下になって、6月には最高体重が89kg台になった。体の中身がどうなっているかは推定するしかないが、おそらく改善しているものと思われる。
6月までそうやって減ってきて、最大瞬間風速は86kg台になっているが、そのうち摂取糖質と消費糖質がつりあえば体内の中性脂肪燃焼は止まる理屈であり、そうなるとこれまでのように順調に体重が落ちることはなくなる。
そうなると、1ヶ月前と比べても大差ないということになりかねず、その場合は2ヶ月3ヶ月前と比べることになるのだろうかと今から考えている。
糖質制限をがんばっているからといって、いつも体重が落ちるとは限らない。努力しても全く落ちない時期もあるし、意外とすんなり落ちる時期もある。
自分で自分の体をみる限り、普段目に見えるのは手とか足とかだから、10kg減ったといってもそれほど目立った変化はないように思われる。ところが、他の人から見ると結構目立つようなのである。
ほとんど人と会わないので見られるのは奥さんのお友達くらいであるが、あそこのご主人は結構やせたと評判だそうである。何ヶ月に1度だから余計そう見えるのかもしれない。
奥さんから見える範囲は自分で自分を見る範囲より広いので、スマートになったとよく言われる。特に、肩から二の腕、腹、お尻の肉が確実に落ちているという。そういう場所は、自分では見えにくいところである。
お腹の肉は減ったといわれても自分ではまだまだ出ていると思うのだけれど、ベルト穴で3つ4つは小さくなっているし、一時期入らなかった服が着られるようになったから、まあシェイプアップしているのだろう。
半面、ここに来て少し困っているのは、着られる服が減っていることである。
太った場合、肩がきつくなったりウェストが入らなくなるのでどうしようもないが、痩せた場合はゆったり着られるだけでベルトを締めれば何とかなる。ところが程度問題で、10kg以上絞るとゆったりどころかゆるすぎて着にくくなるのである。
例えばスラックスの場合、ベルトを締めて何とかなるのはウェストにして5㎝くらいまでで、それ以上になるとゆるすぎてお尻で止まらなくなり着にくい。そういうワードロープがだんだん増えてきた。
糖質制限を始めた当時、山に行ってスラックスがずり落ちて困ったことがあった。だから最近では、ベルトで締められるものを着たり、一時期着られなくなった昔の服を出して着ている。
奥さんの言うことには、年寄りが体に合わないものを着るとみすぼらしく見えるということだから、気を付けるべきであろう。過去何十年、太って服が小さくなったことはいくらでもあったけれど、痩せて服が大きすぎるようになったことはほとんどない。
あと1年、家計収支が一番きつい時期が続くので何とかやりくりしなければならないが、それでも秋には普段着を新調しなければならないようで、その点多少気がかりである。
[Jul 31, 2021]