2020年に突如発生した世界的パンデミック。以降、マスクがデフォルトになりました。
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口だけ緊急事態宣言で感染拡大は終息するか    感染者数は高止まり、緊急事態延長は既定方針か
山は私ひとりのものではないが    まだ緊急事態だが、免許書換えに来いというので
昔クリエイターといえば最高の知性だったものだが    オリンピックいよいよ中止か
GW前に緊急事態宣言、2週間で効果は?   


口だけ緊急事態宣言で感染拡大は終息するか

先週末、コロナ感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が発出された。対象はわが千葉県を含む1都3県、期間は2月7日までの1ヵ月間である。

このブログでもお伝えしているGoogleの予測どおり、年末年始に陽性者数が倍増したのには驚いた。病院も検査機関も、まさに休日返上で対応していただいたのは何よりのことだけれど、世間一般の対応とは温度差があるように感じる。

昨春の緊急事態(このブログでも非常事態と書いていたが、法律用語としては緊急事態である)の時は、宣言が出されるとともにデパートやホームセンターが閉まり、学校や図書館・博物館、ディズニーランドも休業となった。今回は、それほど徹底しないようだ。(中央競馬がまた無観客になったくらいか)

もちろん、自治体や営業店舗が自分達で判断している訳ではなく、世間一般に知らされないだけで役所経由、保健所経由、警察経由で事細かく指示された結果である。ということは、「口だけ勝負の3週間」に続く、「口だけ緊急事態宣言」である。

だから、コロナ担当大臣も小池大統領も「出勤者7割減」などと言っているけれども、在宅勤務やテレワークも徹底されないだろう。そもそも、受験は予定通りやるので受験生の移動は制限しないと言うし、オリンピックだって中止していない。

前から書いているように、コロナはたいしたことがないので経済優先でやる、日常生活に制限はできるだけ設けないという方針でいくのなら、それはそれで一つの考え方であり頭から反対はしない。しかし、言っていることとやっていることが違うのが気に入らない。

こういうどっちつかずのやり方で、うまく行ったら自分の手柄、いかなかったらみなさんの努力が足りないと後から言い出すのが、小泉・安倍以降のやり口である。昔の為政者は、うまく行ったらみなさんの手柄、いかなかったら自分の不徳と言っていたのとは正反対である。

昔の政治家だって本当にそう思っていたかどうかは分からないが、少なくとも自分の手柄だと大威張りしないだけの恥じらいがあった。新自由主義だか知らないが、いまの政治家は昔のワンマン経営者とよく似ている。戦犯の末裔という点も同じだ。

話を戻すが、今回の緊急事態は「口だけ」で、フランスやドイツのように本気でコロナを押さえ込もうとする意思が感じられない。それはそれで仕方ないし、経済優先でいくのならば一つの政策として否定しないが、うまくいかなかった時に他人のせいにするのだけはやめてもらいたい。

太平洋戦争と同じで、戦力の逐次投入は被害が大きくなるばかりである。病院がフルキャパシティになった後から、やっぱり施設は全部閉めましょう、ステイホームの徹底などと言いだされても困る。こちらは去年のうちから公共交通機関も使わず、都内にも行かないで過ごしているのだ。

千葉ニューについて言えば、ジャスコの中のカルディで従業員からコロナが出たということだが、目立たないように貼り紙をしているだけで、消毒のみで営業を続けている。牧の原のヤオコーが即日休業、在庫品全部廃棄したのとは大違いである。

緊急事態宣言後の3連休、いつものお散歩コースを一人で歩いていたら、公共グラウンドに大勢集まって野球の練習をしていた。当然、誰もマスクなどしないで大声を出しているし、ソーシャル・ディスタンスって何でしたっけという感じである。

ことほどさように、世間一般の対応からは緊張が感じられない。こういう状況で、「口だけ緊急事態」を宣言しただけで感染が下火になるのかどうか。お手並み拝見としか言えない。

年明けからばたばたと緊急事態宣言が出されたが、前回と違って世間の対応は限定的。「口だけ」緊急事態宣言で、感染拡大は改善できるのだろうか。お手並み拝見である。


[Jan 12, 2021]

感染者数は高止まり、緊急事態延長は既定方針か

緊急事態宣言から2週間経った。朝のニュースで<オドモテレビ>高瀬アナが、「感染者数は引き続き高い水準にあり、きびしい状況が続いています」と言うけれども、そりゃそうだろうと思う。口だけ緊急事態宣言で終息したらその方が驚きである。

感染者数や死者が欧米とは桁違いとはいっても、同じように桁違いに少ない東南アジアでロックダウンなど厳しい措置がとられている。学校も公共施設も「感染対策を万全にして」通常稼働の日本で、劇的に沈静化するはずもない。

緊急事態宣言が出るというので、あわてて図書館に行って20冊近く本を借りてきたけれども、前回のように閉鎖にはならないようなので空振りしてしまった。とても全部は読み切れないので、何冊かは読まずに返すことになる。

こんな対応でいいのだろうか。前にも書いたように昨年末から公共交通機関も利用せず都内にも行っていないけれど、周囲がこのレベルだと、こちらが緊張しすぎかと心配になる。

聞くところによると、Go Toが一時停止になるまで観光地は大賑わいだったそうだし、ゴルフ場はいまでも盛況だという。そういう人達は本気で締めにかかった時に自粛すればいいだろうが、こちらはそうそう緊張が続かない。

アンヌ・ソフィーの海外ニュースによると、フランスでは航空便の減便でパイロットの人員削減が進み、鉄道の運転士に転職するケースもでているという。スイスではそんなことは当り前で、「なんでフランスではそんなことに驚くんですか」と言っているそうだが、日本でJALのパイロットが営団地下鉄に転職したらやはりニュースになるだろう。

背景として、ようやくワクチンができて国民すべてに接種できるのはまだまだ先だし、コロナが沈静化して航空需要が回復するには4~5年かかる。それまで待っていたら生活が成り立たないので、できる仕事があれば転職して稼がなければならないということであるらしい。

ひるがえってわが国に、そこまでの覚悟が官民ともにあるだろうかということである。重症者が少ないからワクチンは急がなくてもいいというのは日本だけの事情で、7月にオリンピックをするつもりならそれでは済まない(するつもりなら…)。

メガネが曇るから口マスクで受験させろと言ったバカな受験生がいたらしいが、「正常性バイアス」そのものである。世間一般に緊張感がないから、自分もハンデなしに受験できて当然と思っている。こういう奴に限ってコネとか使って会社に入るんだろう。

法律を変えて、コロナで入院指示に従わない者に刑事罰を検討しているらしい。それだったら、病床が足りないから自宅待機で、急変して亡くなったら国が損害賠償してくれるのか。自分達がすべきことをしないで、命令したら黙って従えというのは半島の北の指導者と同じである。

ともあれ、2月7日までとされている緊急事態の期限は、延長されるのが既定方針のようだ。有識者会議の座長が、ステージ2まで下がる目途が立たなければ解除できないと、いまから予防線を張っている。それなのに病床確保のためにしていることといえば、病院にカネを払いますと言っているだけで、このままでは医療崩壊は避けられないだろう。

自宅待機で急変して亡くなった人達のニュースを見て思ったのは、医療崩壊といっても病院や医者が崩壊してしまう訳ではなくて、これ以上診れませんと言われて貧乏人が崩壊するだけということである。

米国の感染がなかなか終息しないのは、無保険者が多いのに診療報酬がバカ高で、衛生環境が悪い貧乏人ほど医者にかかれないという事情による。日本は国民皆保険ではあるもののいまだに検査体制すら整っていないので、感染者が野放しであることは米国と同じである。

感染者がこのまま高止まりで、自宅待機者の急変が続くようだと、さすがにマスコミの論調も変わってくるだろう。昨年のように、今すぐロックダウンせよと言い出さないとは限らないので、そろそろ心の準備を始めた方がいいかもしれない。

さすがに「口だけ」緊急事態、感染者数も死者も増え続けています。


[Jan 26, 2021]

山は私ひとりのものではないが・・・

ブログ村に入っているので、ときどき題名につられて人の書いた記事を読むことがある。先日もそんなふうにクリックしたのだけれど、相当に違和感があったのであえて書いてみる。

誰の何という記事かは書かないが、山での自粛警察の行き過ぎに疑問を呈する内容であった。趣旨そのものは常識的なもので私もそう思っていたのだけれど、よく読むと首をひねるところが出てくる。

山でマスクをしないというのは個人の自由だからコメントしないが、3密でなければしゃべっても構わない、みんな喜んでいるのだからイベントをするのも自由、それをどうこういう奴は腹立たしいというご意見であった。

対するコメントがまた賛成一色で、話をするのは人間の本能だとかなんとか、まあ、そういうサイトにはそういう人達が集まって自分達を正当化するというトランプ現象が起こっている。まあ、他人のサイトだからこれ以上言うのはやめておく。

山は私ひとりのものではないので、私が不愉快だからやめろとまでは言わない。とはいえ、このご時世で唾(飛沫)を飛ばして大声で騒ぐのはやめてほしいと思う人がいるだろうというのは、常識的に想像できる範囲内である。

そう想像することができれば、すれ違ったら挨拶は小声にして会釈だけにしようとか、他人のいないところでは外すけれども誰かいたらマスクするとか、多人数で騒ぐのはやめておこうと私だったら思う。

イベントについても同様で、楽しいから、みんなが喜んでいるから文句ないだろうというのは通常時のことで(私個人の意見を言えば普段でも嫌だ)、こういう事態では遠慮しておくというのがデフォルトだろうと思う。

何かというと両論併記が昨今の流行で、NHKでも不自然なほど間隔を開けてパーティション付でニュースを読んでいる一方で、深夜に働く人がいるのだから深夜食堂を禁止するのはおかしいという。どっちなんだ?

とはいえ、おのおのが自分の主張ばかりして他人の立場に配慮しなければ、世の中は住みにくくなる一方である。自分の立場を主張しつつ、他人がどう思うか想像力を働かせるのが常識ある人だと思うのだけれど、そう思わない人が多いのは残念である。

もちろん、わざわざ主催者の連絡先を探してクレームをつけるという「自粛警察」に賛同する訳ではない。他人のすることに基本的に口を出さないというのが近代市民生活の基本だから、バリエーションルートに行く人がいてもそれはその人の自由である。

自由だけれども、自粛警察反対、山はみんなでしゃべるのが正しいと盛り上がるのも、これもはた迷惑な話である。昨年、裏高尾のときに書いたけれど、すれ違い困難な登山道でマスクなし、しゃべるのをやめないばあさまに閉口したことを思い出す。

山は私ひとりのものでないことは確かだが、騒ぎたい人達だけのものでもない。普通に考えれば、山を静かに歩きたい人がいるのは想像できるはずだし、少しは遠慮してもバチは当たらない。

こういう人達をみて思い出すのは、20~30年前まで人混みで平気でタバコを吸って、「国が売っているものを吸って何が悪い。嫌だったらお前が向こうに行け」という人達がたくさんいたことである。

米国発のSmoke Freeが日本にも波及して、近年路上喫煙が減ってきたのは何よりのことである。同様に、コロナがあってもなくても、他人にツバを飛ばすことがそれほど上品なこととは言えないだろうと思う。

[Feb 23, 2021]

まだ緊急事態だが、免許書換えに来いというので

首都圏の緊急事態宣言は、「私の判断で」延長された。感染者数の桁が違うとはいっても、諸外国の状況をみればあとは誰かが勝手にどうぞと言えないのはよく分かる。分かるけれども、このタイミングで免許書換え通知が来たのは神経を逆なでする。

年末に感染者数が急増して以来、都内にも行かなければ公共交通機関も利用していない。それだけ不自由を強制しておきながら、運転免許の更新に集まってくださいというのはどうにも納得がいかない。

本当に3密がダメで不要不急の外出は避けてくださいとお願いするのなら、運転免許の更新くらい自動でやるなりオンラインにすれば済むことである。それを、わざわざ免許センターか警察署に出て来いというのだから、本当は外出自粛などしなくていいということであろう。

県として緊急事態を宣言するなら、少なくとも宣言継続中は来なくてもいいです。特例で延長を認めるので宣言が解除されて2ヵ月以内に来てくださいでもいいのに、それもしない。

加えて、今回はゴールドがブルーになって、講習時間が伸びる。この違反というのが、誰も来ない交差点で一時停止線を越えて一時停止したという罠のような取り締まりである。違反したのはコロナ以前だが、今回効いてきたのである。

こういう嘘みたいな行政の対応をみていると、まじめに自粛しているのが馬鹿らしくなる。いくらコロナ担当大臣や小池大統領が青筋立てて怒っていても、手足が言うことを聞いていないのである。そういう態度だったら、一般庶民も相応の対応をとらなければならない。

世間では自粛疲れだの経済への影響だの言っているけれど、本当は違うんじゃないかと思っている。マスコミを通じて必要以上に自粛をあおり、旅行業界だの飲食業界、一般庶民に負担を強要しておきながら、役人や警察は満額の給料をもらい、しかも仕事は減っている。そういう不公平感が多くの人にあるのではなかろうか。

だから、誰も見ていなければマスクもせず飛沫飛ばし放題、テレワークなんてみんなやってないし、ゴルフも誰も自粛していない。スーパーで品物を触って選ぶのは当り前でしょ、ということになる。

期限が切れれば車も運転できないし、免許センターは駐車場が少ないので公共交通機関を利用せよとのお達しである。考えれば考えるほど我慢するのはお前らだけだと言われてるようなので、個人的に自粛期間は終わりということにした。

今週から更新期間に入ったので、早々に手続きに行くつもりにしている。公共交通機関を利用した時点で、私の自粛は終わりである。年寄りにあえて密なところに来いというのだから、それほどさし迫った事態ではないのだろう。

千葉県は緊急事態宣言継続中ですが、県警様からは免許書換えに集まれとのご指示です。行政は本気でコロナ対策をするつもりはなさそうです。


という訳で、運転免許センターに行ってきた。

電車の中は意外とすいていて、前に立った人の息が降ってくるという目には遭わなかったが、幕張本郷の駅からは「3密」だった。そんなことは免許書き換えをする以上分かっていることで、集まれと指示された一般庶民が気にすることではない。

バス停からセンターの敷地に入ると、見慣れないテント群が見えてきたので悪い予感がした。案の定「整理券配布所」と書かれたテントがあり、その右にはテントがいくつか連結して張られ、ずてに何十人かが並んでいる。

入場制限をするならするで、なぜハガキにそう書かないのだろう。できるだけ地元警察署で更新してくださいと言って、何か不都合があるのだろうか。混むと嫌だから、受付開始早々に着いてよかった。

幸いに、受付予定時間は15分ほど後である(実際には約20分ほどかかった)。この日は天気も良く、風もなかったからいいようなものの、雨が降っていたり、強風だったりしたらたいへんつらい目に遭うところである。

入場まで待たされるからといって、中の手続きがスムーズになった訳ではない。いつもどおり、写真撮影の前に長い列ができ、撮影後講習まで20分ほど待たなければならなかった。到着から退出まで約2時間半で、これはいつもと大差ない。

とはいえ、ほぼ朝一番なのでこの程度で済んだので、手続きが終わって帰る11時頃には写真撮影の列がホール一杯になっていたから、それよりかなりましであった。結局ここで密になるなら、何のための入場制限ですかという話ではあるが。

警察も公安上の理由があるから全員集めて顔写真を撮る必要があるのだろうが、テレワークで給料がもらえる時代に何ともオールドファッションである。近々デジタル庁ができてマイナンバーカードや健康保険証と一体化されるというけれども、次の更新まで間に合うだろうか。

地元警察署で手続きすれば交通費はかからないが、手続きと講習で2日つぶれてしまうのがネックである。5年に一度幕張新都心に行くのも悪くはないし、1日ですべて完了するのは便利だけれど、自粛と両立しないのが難点である。

さて、せっかく幕張新都心まで行ったので、アウトレットにあるモンベルまで足を伸ばす。スラックスと軽登山靴を見に行ったのだが、驚いたのはアウトレットも駅周辺も結構な人出があったことである。

もちろん、免許センターのように「3密」ということはないのだが、お昼時だったこともあり外食店舗にはたくさんのお客さんがいて、赤ちゃんを連れている若い夫婦も何組か見た。

モンベルすら私が唯一の客ということはなく、会計の時にはレジがすべて埋まっていた。自分も買い物に来ているのだから偉そうなことは言えないが、いまって緊急事態宣言中でしたよね、という世界であった。

2021年になって、車で山に行ったことはあったが公共交通機関を使うのは今回が初めてである。しかし、世の中が実際にこう動いているのを見ると、神経質に自粛などと言っている自分は少数派なんだろうと思う。

個人的には、今回の免許書き換えで自粛期間は終わりにするが、このまま感染が沈静化するのか、少なくとも重症者が急増して医療崩壊しないで済むのかどうか、心配なのは確かである。

運転免許センターに行ったところ、入場は整理券を配って制限されていた。この右側にはテントがたくさんあって、順番待ちの人たちが並んでいましたが撮影自粛。


開始間もなく着いたにもかかわらず、入場まで約20分待ち。だったらハガキにそう書いてほしい。


[Mar 12, 2021]

昔クリエイターといえば最高の知性だったものだが

本当にやるかどうかわからないオリンピックの開会式の担当ディレクターが、あと4ヶ月しかないというタイミングで退任に追い込まれた。これについては、いろいろな考えが浮かんでは消え浮かんでは消えしている。

まず初めに思ったのは、あと4ヶ月しかないのにディレクターをクビにして、ちゃんとイベントができるのかということであった。中止の可能性があるといっても、準備は粛々と進めていなければおかしい。

ただ、よく考えると何年も前から準備している専属スタッフというものが必ずいるはずで、件のディレクターはスタッフ連中と気が合わずに刺されたのだろう。そうでなければ、内々の企画案が外に漏れる訳がない。たとえ物議を醸す内容の企画だったとしても、外部にオープンになるはずがないのである。

次に思ったのは、そもそも人間を犬に例えて成功体験を持つクリエイターが、犬が豚に代わったからと言って遠慮するだろうかということである。

誤解のないように言うけれども、某携帯会社のCMの出来がいいというつもりはない。個人的にあのCMを見て面白くないと思うし、日本を代表する俳優・女優の事務所があの内容にゴーサインを出すのは信じられないと思っていた。

もっと言えば、一部ネトウヨの人達が主張するように、あのCMに日本のケータイ利用者(それは、広告主のお客である)をバカにする意図はおそらくあるだろうと思っている。

だが、公共の電波に乗っているとはいえ一企業の広報宣伝活動であり、多くの人達が喜んで見ているものに文句をつけるのも野暮である。おそらくこのクリエイターの頭の中では、犬がいいのに豚はダメだということは理解できないだろう。

そこまでは思い浮かんだものの、何となくもやもやして片付かない気分だった。ああそうか、と思い当たったのは豚に例えられたタレントの発表した談話を聞いてからである。

この談話が何とも無難で当たり障りなく、常識的なものだった。率直に言って、どちらがお笑いタレントでどちらがクリエイターだか分からない。昔からお笑いタレントはバカではできないけれども、一方で世間的常識がないのが当たり前だったのである。

村上春樹が言うことには、時代によって知性の総量は変わらない。どこに知性が偏って存在するかが違うだけだそうである。TV黎明期・発展期のクリエイターには本当に優れた知性、稀有の才能が集まっていた。

クリエイターという人たちは、スポンサーの意向、時代の趨勢、スタッフの動向等を的確に見極めつつ、加えて自分のオリジナリティを出さなければならなかった。いまの人達のように、仲間内のウケ狙いだけで成功することはできない。

もちろん、クリエイターひとりの責任ではなく、周囲にいる人達、大所高所から全体をみる人間の見識も問われる。ただ、この人物は「統括クリエーティブディレクター」だそうだから、そうした役割も仕事の一部である。私より歳上だというのにこの程度とは悲しい。

本家本元の電通があの体たらくだから、個々のクリエイターの質の低下は疑うべくもない。元総理大臣の親分がああいう辞めさせられ方をした組織で、どうやって身を守るか分からないとしたら、そういう知性の持ち主ばかりがあの世界に集まっているのだろう。

昔あの世界にいた知性や才能は、いまどこに行ってしまったのだろう。

今回のオリンピック開会式騒動、準備がまだ全然できていないことにも驚いたが、これだけ頭の悪いクリエイターがいることにも驚いた。


[Mar 23, 2021]

オリンピックいよいよ中止か

先週、自民党の二階幹事長から「感染状況が深刻なら、オリンピック中止も選択肢」という発言があった。

この期に及んで、オリンピックができる訳ないというのは大方の予想するところで、発言内容に新鮮味はない。むしろ、なぜいまの時期に、自民党首脳からこの発言があったか、それを受けて関係者がどう反応しているかを考えることが、水面下で進んでいる事態を理解する助けになるように思う。

予定通りオリンピックが行われるとすれば、3ヶ月後である。選手は選手村に入ればいいとして、役員・審判団はどうするのか、ブレス、放送はどうするのか、彼らの検査体制はどう組んで、陽性の場合どう対応するのか、とてもいまからでは無理なのである。

どうしてもやろうとすれば、限られた国と地域、限られた選手団で、大会規模を大幅に縮小してやるしかないが、日本と中韓、アジアの何ヵ国かで開催する競技大会をオリンピックと呼ばせてもらえるのかどうか。モスクワは共産圏だけでやったけれど、いまの時代儲からなければIOCは納得しない。

海外からの観客受け入れはすでに断念したものの、プレスやTVスタッフを入れない訳にはいかない。それにしたところで、アメリカから選手団が来なければアメリカの放送局は来ない。放送局からカネが入らなければ、IOCに儲けは絶対ないのである。

海外ニュースをみれば、いま主要国の関心はコロナ一色で、検査は当然でワクチン投与をいかに進めるかに移ってきていることが分かる。少し前はアストラゼネカが英国だけ出荷してけしからんと言われていたのが、いまや副作用が出るのでアストラゼネカは余ってきている。

2回ワクチンを打った人は動き回っていいのかどうか、その証明を各国間でどう共有するのか、移動した人にどの程度の隔離措置を義務付けるのか、まだまだ解決すべきことは多い。対応を誤れば死者急増の危機であり、政権が吹っ飛ぶのはどこの国も変わらない。吹っ飛ばないのは、中国と北朝鮮だけである。

日本の宿泊施設にしたところで、本当に多くの選手・役員・審判団・ブレス・TVクルーが来るなら、食材の手配から人の手配、外国語対応や陽性者が出た場合の措置など、準備しなければならないことは山ほどある。来る方は直前でもキャンセルすれば終わりだが、迎える方は食べるものはありませんスタッフもいませんでは済まされない。

そうした事情を鑑みるに、そろそろ正式にどうするか決めろという突き上げが政府・自民党にあったことは間違いないだろう。そして、中止するにせよ縮小大会にするにせよスポンサーであるアメリカの意向がすべてだから、首相の訪米でそのあたりが話し合われた(というより指示を受けた)のもまた間違いない。

だから、いまの時期なのである。政府としては「やるって言ってるでしょう」としか言えないから、観測気球を上げるにしても自民党からということになる。

日経ビジネスで小田嶋氏が小池百合子が「都民の安全が確保できない」とオリンピック中止をぶち上げる可能性を指摘していたが、首相周辺としては反主流派(石破とか)や小池百合子に注目が集まるのは避けなければならない。

関係者の反応も予想どおりで、「中止なんて縁起の悪いことは言うな」とは誰も言わなかった。政府、組織委員会関係者はコロナ感染を終息させることが第一、すべての可能性を考えて準備し判断するという内容であり、野党は四の五の言ってないでさっさと中止しろと言っている。

もしゴールデンウィーク前に大阪の感染爆発が東京に波及すれば、その時点で緊急事態宣言再発、オリンピック中止とせざるを得ないだろう。組織委員会だってヒト・モノを確保しなければならないから、そのあたりが決定のタイムリミットになる。

世界的なコロナ感染は日本政府や組織委員会の非ではなく、中止になったとしても彼らの責任は限定的である。だが、中止決定が遅れて混乱したり、開催を強行して感染爆発を招けば彼らの責任である。

わが国には昔から「不徳の致すところ」という言葉がある。何か判断を間違えたたから悪い結果になったとは限らない。いるべき人がいなかったり、いてはいけない人がいることが悪い結果を招くのである。そして、「塞翁が馬」という言葉もある。何がよくて何が悪いかはずっと後にならないと分からない。

とうとうオリンピック中止について自民党から発言が出てきた。政府が言えないから自民党から言うしかないだろうけど。


[Apr 20, 2021]

GW前に緊急事態宣言、2週間で効果は?

大方の予想通り、GW前に緊急事態宣言が発出された。

大阪の新規感染者が1日千人の大台に乗り、東京も増加傾向に転じている。宣言はやむを得ないとして、今回の対象は大阪・兵庫・京都と東京の4都府県で、期間は5月11日までとわずか2週間。これで感染拡大が収まるとは誰も思っていないだろう。

短期集中的に対策を打つとガースーは言っているけれども、大規模施設の休止要請は去年より全然甘い。東京の大規模施設はクローズになるとしても、千葉が閉まらなければみんなこちらに来る。実際わが家の周囲では、先週末足立、練馬、品川ナンバーが多かった。

万が一この2週間で事態が改善すれば、オリンピックを中止しないで済むと思っているのだろうか。マルゼンスキーの娘は「選手は毎日検査する」というけれども、スタッフは、検査キットは、検査機関はどうする?陽性者をどこに隔離するのだろう。

出場不可の選手が続出すれば、例えばチームスポーツの場合人数がそろわなくて不戦敗ということにならないのだろうか。個人競技でトーナメントの途中、有力選手に欠場が出るのはあきらめるとして、決勝でどちらか陽性ならそちらが銀メダルなのだろうか。表彰式は欠席になるのだろうか。

どう考えても、身体が接触する格闘の個人競技はワンデイトーナメントでなければ無理だ。それにしたって、試合で感染するリスクは避けられない。

米国のボクシングで、金メダル候補がオリンピックをあきらめてプロに転向した。普通に考えれば、感染リスクの高い場所で病気をもらって不戦敗になるくらいなら、初めから出ない方が利口である。そんな危ない大会に選手は派遣できないと、まともな国なら考えないのだろうか。

こういう経過をみていると、第二次世界大戦で日本が惨敗したのも仕方ないと思えてくる。いまの人達はどう理解しているか分からないが、われわれの世代は支離滅裂な軍部、嘘八百の大本営、ストップをかけられない腰ぬけの政治家達がバカだったと教えられた。いまの政治家連中は歴史に学ばないのだろうか。

マスコミも、本当のことを報道しない。いまだにオリンピック代表だれそれが好調とか、サッカーの組み合わせが決まったとか、聖火リレーがどうしたばかりニュースにしている。

民放の場合は、中止になればスポンサーが大損害になるから仕方ないかもしれない。でも、それでは80年前の翼賛報道と同じである。すべて終わってから、こうなるのは最初から分かっていたと言い出すのかもしれない。

民放は百歩譲るとして、われわれが払う受信料で成り立っているNHKがちゃんと報道しないのはおかしい。中止と声高に主張しなくても、実際に大会が行われる場合の検査体制とか、なぜそれをいますぐ全国民にやらないのかは取材できるし報道できるはずだ。

個人的にたいへん気になるのは、南半球での感染が広がっていることである。コロナマッチョの人達が主張するようにインフルエンザと大差ないなら夏になれば下火になるはずのところ、現に南半球は夏なのに感染拡大している。北半球も、冬は終わったのに厳しい状況が続いている。

昨年秋から、口だけ勝負の何週間があり、2回目の緊急事態宣言があり、今度が3回目である。去年の今頃は志村けんや岡江久美子がコロナで亡くなり、これは大変だとマスコミは大騒ぎしたが、今年はほとんど報道しない。病床が足りなくなれば船の科学館とかいう話はどうなったのだろう。

自粛だステイホームだと何回も言われている間にみんな疲れてきて、コンビニ酒の公園飲みになっている。まだ、店の中でやってもらった方がクラスタが把握しやすいような気がするが。

尾身先生も医師会会長も、「数字がよくならなければ期限が来ても解除できない」といまから予防線を張っている。GW後は、ほぼ確実に対象地域を拡大して緊急事態延長ということになるだろう。そうなってようやく、オリンピックはあきらめてもらえるのかもしれない。

ゴールデンウィーク前にそそくさと緊急事態宣言を出したが、2週間で収まるとしたら天変地異である。来週後半には、対象県を拡大して延長が既定方針でしょう。


[Apr 27, 2021]

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