2020年に突如発生した世界的パンデミック。以降、マスクがデフォルトになりました。
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ステイホームとGO TOの間には何もないのか    高橋さんの言ってることは間違ってないが
コロナワクチン、私はまだ希望しない    緊急事態延長、オリ・パラはどうぞやってください
緊急事態解除、今後想定される2つのシナリオ    忖度するのは身内だけ
やっぱり感染拡大、対象府県拡大へ    行きたくても病院に行けないのなら


ステイホームとGO TOの間には何もないのか

2週前に予想したとおり、緊急事態宣言は対象区域を拡大して延長された。ガースーは申し訳ないと頭を下げ、小池大統領は怖い顔をして自粛の至らなさを非難しているようだ。

それにつけても思うのは、わが国のコロナ対策は誰もステイホームとGO TOの間の適当な落としどころを探そうとしないのかということである。

ステイホームと言われて家にじっとしていられるのはせいぜい1週間、それ以上続けるのは無理があるのに、かれこれ1年以上そう指示されている。緊急事態でない時も不要不急は自粛しましょうと言われるから、正直者はいつまで経っても家から出られない。

ところが、少しおさまったらすぐにGO TOである。もちろん、コロナによる需要減で困っている人達がたくさんいるのは分かるけれども、ステイホームからいきなりおカネ出すから旅行に行けというのはどう考えても極端である。

コロナ担当大臣は、今頃になってお札に付いたウィルスは1週間とれませんのマスクをしていても感染しますだの言い出したけれども、そんなことは最初から予想できたことである。にもかかわらず「GO TOで感染拡大した証拠はない」と言うのだからどうしようもない。

海外ニュースを見ていると、イギリスやフランス、ドイツでは学校で午前・午後に分けた分散授業をしているとか、外出禁止も夜間だけとか午後7時以降とかバリエーションがある。家族以外の5人以上の会合を禁止したり、自宅から何km以内に移動制限など対策も多彩である。

もちろん、そうした制限が基本的人権を侵害するもので、緊急避難としてしか認められないということは政府も国民も分かっていて、ワクチンを打ったら制限は撤廃すべしという論調である。何でも自粛、みなさんが自分で判断してくださいというのとは違う。

わが国の場合は新聞やTV局が本当の状況を報道しないし、PCR検査もろくろくしないから真相は不明で、それでも自分で判断しなればならない。いずれにしても、ワクチンの手当ては途上国並みというのが先進国の見立てで、ヨーロッパから1年遅れている。

本当は、小池が青筋立てて怒らなければならないのはそういうことで、それは放っておきながらステイホーム、自粛だけちゃんとやりなさいというのは基本的人権の侵害である。自分達がやるべきことをやらないで、都民・国民が協力しないと怒っているのは筋違いもはなはだしい。

コロナが発生して1年以上経つのに、いまだに大規模検査すらできないのだから、諸外国並みの対応をとる気はないのだろう。だったら、リモートワークだのステイホームだの言わずにカタストロフに向けて突っ走ればいいのだが、その度胸もないらしい。

「まん防」とか「人流」とか目新しい言葉を使っている暇があったら、もっとまともに頭を使ったらどうかと思うが、そういう人材は寄ってたかってつぶしてしまったらしい。残っているのはコネとイエスマンと、自分の出世が一番大事な奴らだけのようである。

少し頭を使えば、GO TOとステイホームの間にはいろいろな選択肢があるし、その手本はヨーロッパ諸国がすでに示しているにもかかわらずそれをしない。都庁の役人が歌舞伎町で自粛を呼びかけたところで、TVに映る以上の効果があるのだろうか。

みんな一生懸命にやっているパフォーマンスだけで、ウィルスが退散してくれると思っていたらおめでたいことである。

大方の予想通り、緊急事態宣言は対象区域を拡大して継続された。5月中に終息するかどうか聞かれたら、きっと「神のみぞ知る」と答えるんだろう。


[May 11, 2021]

高橋さんの言ってることは間違ってないが・・・

高橋洋一内閣官房参与のコロナさざ波ツイッター投稿が、各方面から集中砲火を浴びている。私の読んでいるいくつかのブログでも、何バカなこと言ってるんだという論調ばかりである。ただ、言ってることは間違いじゃない。

コロナの感染者数、死者数がヨーロッパやアメリカ、最近感染拡大しているインドなどと比べると桁違いであることはそのとおりで、自粛自粛とみんなが口をそろえる中で客観的な数字に基づいて指摘することには意義がある。声をあげないだけでそう思っている人は少なくないはずである。

ツイッターというのは注目されなければ意味がないみたいなので(そもそも私は持っていないので推測だが)、過激な見出しで多くの人の気を引くのが重要なのだろう。高橋参与は感染症専門家ではなく経済の専門家なので、ポジショントークとして経済重視になるのもやむを得ない。

感染しても9割以上は安静にしていれば治るし、昨年来の死者数累計は約1万人。自殺者が年間2~3万人、ガンで数十万人亡くなることと比べれば確かにさざ波で、経済活動をストップしてもコロナ対策最優先というのは、議論の余地があることは確かである。

重症者が急増して救急搬送の受け入れ先がなく医療が崩壊しているというが、全国で千人を少し超えた程度である。大阪府で病床利用率が100%近いが、そもそも200~300人しかコロナ集中治療室を用意していないこと自体行政の怠慢である。府知事の見てくれに騙されてはいけない。おカネがないからできないという事情はあるにせよ。

だから、国際的な人の移動が起こるオリンピックはともかくとして、この程度の感染状況で緊急事態だの営業自粛だのやりすぎじゃないですかというのは、マスコミ情報に踊らされず自分の頭を使えば普通に考えることであって、謝罪だの撤回だのという話ではない。

日本人は集団ヒステリー的なところがあるので、みんなと違うことをしたり言ったりすると自粛警察が出たり袋叩きに遭ったりする。確かに、みんな我慢している時に水をかけるようなことを言うなという気持ちは分かるけれど、みんな同じ方向を向いているのは気持ちが悪い。

ただ、そういう突出した言動、行動をとると、多くの人の反感を買うのである。学者たるもの反感を気にして言うべきことを言わない訳にはいかないが、そうした小さな反感が積み重なって現実のトラブルに結びつくことが厄介である。

高橋さんは私と同じく1980年に社会に出た同世代である。秀才揃いの大蔵省の中でもクビひとつ抜けた頭脳で、大蔵省で1年先輩の加藤官房長官も若い頃度肝を抜かれたのではないかと思う。内閣官房参与になったのもその関係と思われる。

経済学部に入る前に理学部数学科を卒業しているので、歳は私より2つ上になる。エリート中のエリートである高橋さんだが、いろいろ不幸なできごとがあって並外れた能力の割に恵まれていない。本当は、政治家と絡んだり、あまり聞かない大学の教授をしているレベルではない。

もちろん、本はたくさん書いているし千葉ニューの図書館にも何十冊と置かれているので経済的にどうこういうことはないだろうけれど、私より歳が上なのにまだ階段を昇らなければならないというのは気の毒なようでもある(本人はそう思っていないだろうが)。

ツイッターに投稿しても言葉尻をとらえた記者連中に追い回されるだけで、ほとんどの人は統計数字を見ようとしない。それでも、他に言う人がいないから自分が言わなければならないという志は誰でも真似できるものではない。

私ごときがアドバイスできることではないが、心静かな環境で過ごしてほしいものだと思う。

私より2つ歳上なのだが、まだ階段を昇らなければならない高橋内閣官房参与。客観的な数字に基づいた主張は責められるものではないが、集団ヒステリーの日本では袋叩きになってしまうのが気の毒だ。


[May 14, 2021]

コロナワクチン、私はまだ希望しない

ヨーロッパから半年、アメリカからは4ヶ月遅れで(トランプが引っ込んで以降だ)、ようやく日本でもコロナワクチンの接種が軌道に乗り始めた。

わが印西市のホームページでは画面を開く早々「コロナワクチンの予約は一杯です」の表示が出てくるし、聞くところによると2回目の接種は改めて予約を取り直さなければならないのでいつになるか分からないという。こういう、みんなが争って順番取りをするような場面では、「お先にどうぞ」というのが賢いのではないかと思っている。

その理由の最初にくるのは、ワクチンの安全性が十分に検証された訳ではないということである。

通常、ワクチンを含む医薬品の認可手続きというのは少なくとも2~3年を要するもので、その大半は治験と呼ばれる実際に人の体で確かめる期間である。何を確かめるかというと、第一に効くか効かないかということ、第二に副作用がないかということである。

欧米の場合は数十万人の死者が出ているので、早く打たないとみんな死んでしまうという事情がある。そして、諸外国では日本では認可されていないような医薬品も認められ使用されている。後になって、実は副作用が大きかったということになる可能性はゼロではない。

厚生省が認可しているから安全だろうとみなさん思っているようだが、血友病患者に使った血液製剤でAIDSに感染してしまったという事件はそれほど昔のことではない。あれだって、「専門家のみなさん」が推奨したから認可されたのである。

他にも、認可された医薬品でも副作用が甚大だった事件はいくつも発生している。予防接種によるものもある。後から国が補償すると思う人もいるのかもしれないが、私は余計なことをして健康被害を受けたくないしそこまで役所を信用していない。

実際、ヨーロッパではアストラゼネカのワクチンで血栓症が発生していて、一部の国・地域ではアストラゼネカだったら打たないという人が多いという。ワクチンの有効期限は短いから、そういうものが回り回って日本に輸入されるのである(まだ認可されていないが、近々認可されるはずである)。

そうした副作用について十分に検証されるまでには、通常の審査期間と同じく2~3年が必要とみるのが私は妥当だと思う。欧米のように重症者・死者が爆発しているならともかく、日本の場合そこまで行っていない(高橋さんの言うとおりである)。

まあ、安全性については最優先で審査しているだろうから大きな間違いはないとしても、効果があるかどうかはまた別の問題である。

新薬の治験においては、実際にその薬を使った人とプラシーボ(偽薬。片栗粉とか)を使った人を比較して、ちゃんと使っただけの効果があったかどうかデータで検証しなければならない。

ところが、コロナワクチンの場合そこがショートカットされている懸念が非常に大きい。変異株に効果があるかどうかはまだ不明といわざるを得ないし、そもそも感染者の9割以上は無症状のまま治癒するから、ワクチンを打たなくても抗体ができているかもしれない。

だから最悪の場合、副作用はありますが効果はあったかどうか分かりませんとなってもおかしくない。たとえ1000人に1人、1万人に1人だったとしても、ワクチン投与によって副作用があったけれども実は打っても打たなくても同じことでしたとなったら、副作用があった人はやってられないだろう。

もう一つ大きな理由は、わが国の激しやすく冷めやすい国民性にある。

50年前のトイレットペーパーに始まって(その年、豊川信金取り付け騒ぎというのもあった)、Windows95、ドラゴンクエスト、ユニクロ等々、何かあるとみんなして大騒ぎするというのが悲しいかな日本に住んでいる人達の実態である。

コロナに関しても、マスクや消毒薬、緊急事態といえばまたしてもトイレットペーパーなどなど、大騒ぎの実例は数々ある。いま、ワクチンが出たといって大騒ぎしているけれども、みんなが大騒ぎすることは多くの場合不必要なことであるというのは、六十数年生きてきた私の経験則である。

ということで、私自身はコロナワクチンを打てる順番が回ってきたとしても打つつもりはいまのところない。感染リスクの高い医療従事者や福祉関係者、密の環境で過ごさざるを得ない都市部への通勤者、商店やサービス業で働く皆さんが先に打っていただければと思う。

遠慮している訳ではない。正直に言うけれども、10人に9人の感染しても無症状に入る自信はあるのだが、数百人数千人に一人のワクチンで血栓が飛ぶ人にならない自信がない。矛盾しているようだが、本当にそう思うのである。

みんながワクチンの予約に殺到しているいま、あわてて打つことはないというのが私の経験則である。それ以上に、数百人数千人に一人のワクチンで血栓が飛ぶ人にならない自信がない。


[May 20, 2021]

コロナ緊急事態延長、オリ・パラはどうぞやってください

5月31日までだった緊急事態の期限が、6月20日まで延長された。追加で対象区域に含まれた沖縄県だけが長く指定されるのは妙だと思っていたのだが、当初からそういう予定だったようである。

新規感染者数がすごい状況になっていた大阪府も数字をみる限り峠を越したようだ。それでも緊急事態を継続したのは、各都道府県から国に要請があったことが大きいだろう。察するところ対象区域に含まれれば予算措置があるだろうから、休業補償がしやすいという身も蓋もない理由かもしれない。

そういえば、先月中旬にGDP速報値が発表された。令和2年度では、前年比4.6%の減少である。最初に思ったのは、全国的に経済活動を制限してこの程度なら、それほど悲惨な状況ではないということである。

ステイホームで移動が極端に制限されて年末年始もGWも航空便や新幹線はがらがらだというし、現にANAの売り上げは6割以上の減、JR東日本でさえ4割減。当然両社とも大赤字である。(JRは積立金を崩して配当はするようだ。)

飲食店は自粛だし、ホテルは軒並み空室。頼みの綱の海外客はまったく入ってこない。それでもGDPが5%も落ちないのだとすれば、この程度で食べていければそれでいいのではないかという気がしてくる。

GDPの算定は税収見込みや予算、国債発行にも使われる数字なので、自分達に都合のいいように操作していることはありうる。だから、今回だと実際より高めに公表していると思うが、それでもごまかせる程度というものがある。

TVを見ていると、バイトしながら苦学している学生さんが、この状況ではやっていけないので故郷に戻るなんてことを放送しているけれども、おそらくそういう実態は限定的で、多くの人の生活はコロナ後もあまり変わっていないのではないか。

住宅投資もこれまでどおり、自動車販売もたいした影響はなく、街中を歩いていても「パート・アルバイト募集」の掲示はそのままである。そうでなければ、GDPが5%落ち込むくらいの影響で済むはずがない。

開催まであと2ヶ月を切ったオリ・パラの中止も、いまだ発表されない。経済効果はほとんどないし海外から大勢来ればマラソンをやった北海道と同じことになるだろうが、リスクばかりでメリットのないオリ・パラを強行するつもりなのだろうか。

正直なところ、この際だからどうぞやってくださいというのがいまの気持ちである。中止になればまた立候補することになるだろうし、大騒ぎはこれで十分である。新国立競技場に5000でも10000でも入れて、それで気が済むならやったらいかがだろう。

このまま秋の総選挙を迎えれば、自民党の大敗はほぼ確実である。オリンピックを成功させて負け幅をできるだけ小さくしたいという胸算用なのだろうけれど、オリ・パラをきっかけに感染爆発すれば、負け幅がさらに拡大する。

やったって儲かる(というより損失を最小限に済ませられる)のは電通とか大企業だけ。万一感染爆発すれば自分達の食い扶持がなくなる。そういう場合、以前の自民党なら間違いなくリスク回避に向かったはずなのだが。

この先中止するチャンスがあるとすれば6月末公示の都議会議員選挙で、ここで小池大統領が君子豹変する可能性はある。言い出した人が莫大な賠償金をかぶることになるのだろうが、かつて都市博をやめた東京都だから何とかなるだろう。

緊急事態宣言が延長された。沖縄だけ6月20日ということはないだろうと思っていたら、果たしてそのとおりになった。


[Jun 1, 2021]

コロナ緊急事態解除、今後想定される2つのシナリオ

6月20日までが期限だった緊急事態宣言が、沖縄を除いて解除された。検査もろくにしていないので実態は不明ながら、死者も重症者も増えていないし新規感染者も落ち着いているようだから、解除自体は当然のことだろう。

かれこれ1年以上にわたってコロナ騒ぎが続いているので、もういまの状態に慣れてしまった。もともと殺菌・除菌に敏感な国民性だから、それにプラスしてマスク必須になってもそれほど変わらない。消毒薬やマスクが品薄にならなければそれでいい。

欧米でもワクチン接種がすごい勢いで進んでいて、モデルナやファイザーは笑いが止まらないだろう。大量生産が続いている上に保存があまり効かないので、諸外国で余ったワクチンがわが国にも入るようになって、G7では途上国にも提供することが合意された。

ワクチンについては、前に書いたように実効性と副作用の検証が十分に行われていないので、私自身は打つつもりはない。「副作用はありますが効果はあったかなかったか分かりません」となる可能性は相当あると思っている。

(そういえば、マスコミでは「副作用」と言わずに「副反応」と呼ぶことに統一したようだ。ワクチンのマイナスイメージを払拭することに、官民挙げて懸命である。こういう時こそ、落ち着いて考えるべきであろう。)

薬品会社にしたところで、深刻な副作用がなければ変異株に効くかどうかは二の次で、変異株に対応するため毎年ワクチンが必要となれば願ったり叶ったりである。万一感染しても9割は無症状なのに、そこまでリスクをとることはない。

さて、サッカーのヨーロッパ選手権で盛り上がっているのだから、オリ・パラができないということはなさそうである。海外から多数の選手団、審判・役員、報道陣が来て北海道のマラソン後のようにならないか懸念はあるが、誰も損害賠償したくないから仕方がない。

こうなると、次の段階に備えた準備を心がけておく必要があるかもしれない。考えられるシナリオは2つ、オリ・パラ後にコロナ第4波がどうなるかにかかっている。

楽観的なシナリオは、ワクチンが功を奏して感染状況はたいしたことにはならないというものである。飲食提供その他の規制は徐々に緩和され、関連業界にとってひと息つけることになる。もちろん、その方が望ましい。

秋の総選挙での自民党の負け幅は少なくて済み、憲法改正には足りないが国会運営には十分な議席を確保するだろう。そうなると、またぞろGO TOということになり、それはそれで海外客の減った分をカバーできるかもしれない。

逆に悲観的なシナリオは、人の動きが増すことで再び感染拡大となり、ワクチンを打っても感染するというケースが続出するというケースである。オリ・パラのテストでマラソン大会を強行した北海道がその後どうなったかをみると、この可能性も捨てきれない。

なぜ大阪や北海道・沖縄で感染拡大して東京が大丈夫なのか、原因は分かっていない。オリ・パラで人が集中するのは今度は東京だから、ある意味壮大な実験である。実験結果が望まない方向である可能性だって、少なくないのは間違いないのである。

沖縄を除き、緊急事態宣言が解除された。このまま沈静化に向かうのがハッピーであるが、いろいろな可能性を想定して今後の身の処し方を考えなくてはならないだろう。


[Jun 22, 2021]

忖度するのは身内だけ

オリンピックが強行されると決まった途端、マスコミでは感染者急増を大きくとりあげている。新聞もTV局もオリンピック利権にどっぷり漬かっているので事前に言えないのは大目に見るとしても、露骨な手のひら返しに驚くよりもあきれてしまう。

加えて先週は、酒類自粛要請にしたがわない飲食店に対し、取引を行わないよう政府が酒販店や銀行などに圧力をかけていたことが明るみに出て、西村コロナ大臣が釈明に追われるというニュースがあった。

資本主義は原則自由競争の社会であり、法の手続きをふまない強制手段をとることはできない。だから、今回のような方法で政府が自分達の望むように仕向けることは言語同断なのだが、過去10年の安倍政権で「忖度」の名のもとに行われてきた。

現在の総理大臣はかつての官房長官で、そうやって法手続きを経由せずに望みをかなえるのは自分の手腕だと勘違いしているようだが、実は彼の手柄でもないし元親分の手柄でもない。今日はそのことについて書いてみたい。

私が思うに、若い人とか中堅までの年齢の人達はともかく、ある程度以上のポストで発言力があるとされているのは、私と同じくらいかそれより年上の人達である。

ということは、前総理のお父さんである安倍晋太郎先生にお世話になった人が相当多くいる。前総理がいったんクビになりながら再び総理大臣になり、10年近くも務められたのは、彼らのバックアップが少なからず寄与したものと思われる。

前総理が元家庭教師から、「俺が教えているのだから、慶応くらい入れないと本当はおかしいんだが」と言われるほど不出来だったのに対し、安倍晋太郎先生は東大法学部出の秀才であった。

毎日新聞に就職し(だから、マスコミ関連に顔が利く)、岳父である岸信介の秘書官として政界入り、1958年の総選挙で初当選した。何しろ岸信介・佐藤栄作の係累であり、若い頃から次世代総理の呼び声が高かった。

「三角大福+中曽根」時代の後、「安竹宮」と呼ばれて、次はこの3人が総理大臣になるだろうと言われた。しかし、竹下・宮沢はなったものの、安倍晋太郎はなれなかった。当時の激しい角福戦争の影響もあるが、67歳と当時の政治家としては若くして病気で亡くなったのが最大の理由である。

安倍晋太郎先生は若い頃から総理総裁を目指していたので、各界に顔が利いた。役人は当然のこととして、マスコミ関係もそうだし、外務畑が長かったのでそちらの方面にも詳しい。農水大臣も通産大臣も官房長官も、自民党三役も全部やっている。

自分も秀才だから、長期的な目論見のもと若い秀才連中と当然親しくしたはずである。そういう人達が偉くなる前に、惜しいことに世を去ってしまった。

世話になった人達は、その政治家が功成り名を遂げれば「まあ、このあたりで借りは返せただろう」となるが、志半ばで倒れられてはそうはいかない。受けた恩義の何倍も返さなければおさまらないのである。

こうした「世話になった/ならない」という身内の論理は、わが国だけでなく東アジアの遺伝子に共通するもので、習近平国家主席がこれほど支持基盤が強いのも、中国共産党草創期の幹部であった親父さんのおかげが相当あるのではないかと想像している。

不肖の息子がモリカケだの桜を見る会で墓穴を掘っているにもかかわらず、マスコミは深追いしなかった。それは、単に危ない橋を渡らないという保身のためだけではなく、少なからず「あの時世話になったから」という意図があったと思う。

国会答弁に合わせて書類を改ざんしたり、不都合な文書をあわてて破棄したのは役人のモラルが低いからだとされるが、もっとも影響力のある連中が「昔世話になった。何とかしてやれ」と言うのである。

だから、たいした世話にもなっていないガースーを守ってやる義理はない。ガースーの方は官房長官の時と同様、みんなが忖度してくれると思い込んでいるけれども、身内でないガースーに忖度する訳がないのであった。

だから、コネや看板で議員を選ぶのはとんでもないと言うのは簡単だが、世間はそういうものだと思って静かに見守る方がよさそうである。少なくとも、自分の手柄と他人の手柄を勘違いしなくて済む。

政府が酒類提供自粛に従わない飲食店に対する取引停止圧力を関連業界にかけていたことが判明、撤回に追い込まれた。ガースーが勘違いしていると思うのは、前政権で忖度が通用したのは、おそらく安倍の親父さんが気の毒だったとみんな思っているからなのだ。


[Jul 20, 2021]

やっぱり感染拡大、対象府県拡大へ

緊急事態宣言が出たにもかかわらず、異次元の勢いで増え続けるコロナ感染者。東京都で五千人、埼玉・神奈川・千葉で千人を超えても誰も驚かなくなった。遅ればせながら、今週中に対象地域の拡大と期限延長が行われる見通しである。

オリンピックを強行した際、「人が集中するのは今度は東京だから、ある意味壮大な実験である」と書いたのだが、実験結果は大方の予想通りとなった。感染拡大は首都圏だけでなく、全国各地で広がっている。

中でも、案の定と思ったのは静岡県である。自転車競技は観客入れてやりますと言って、TV画面でちらっと見ると3密だった。これで感染しなければ奇跡だと思っていたら、やっぱり2週間で感染者が急増した。

わが千葉ニューも、すぐ近くのスーパーで感染者が出た。けれども、消毒と通知をしただけで通常通り営業している。いまや、コロナだからといって誰も身構えないし、特別の対応もしない。しかし、忘れてるかもしれないけれど特効薬はないのである。

TVは、酸素吸入だの自宅待機から急変した際の対応ばかりニュースにするけれども、最初にやらなければならなかったのは大規模な検査であり、感染者の隔離である。それをいい加減にしているから、オリンピックで人が動くとすかさず感染拡大する。本当のことを言えば、今からでもやるべきなのだ。

たまたま、重症者の数が諸外国と違うので助かっているけれども、コロナ対策としては後手後手、大失敗である。新聞、TVが言わないだけで、ワクチンを打った人もおそらく感染していると思われるし、それ以上に怖いのは症状の軽い陽性者が野放しになっていることだ。

個人的観測では、オリンピックで遠慮していた検査をちゃんとやっただけで、もともと感染者はこのくらいいたと思っている。だから、この数はそれほど増えないだろう。次のフェーズは、これから秋そして冬になって、死者・重症者がこのままおさまるかである。

緊急事態の期限は9月半ばが見込まれているが、おそらくそれでは収まらない。誰もきちんと対応しようとしないからである。これから先、対象府県が増えることはあっても、急転直下もとの生活に戻ることは考えにくい。

日本のマスコミは政権迎合的だから、オリンピックをやったから感染者が増えたとは誰も言わない。そのうちコロナ担当大臣が、オリンピックで増えたという証拠はないと言い出すんだろう。

それどころか、オリンピックが終わって入国検疫の手が空いたから、海外からの入国制限を緩和するんだそうだ。諸外国では、ワクチンを打っている人に移動制限を課すのはおかしいという主張だが、ワクチンで重症化は防げても感染そのものを防ぐという証拠はない。でもそれを言うと、みんなワクチンを打たないのだ。

普通に考えれば、空気も乾燥しておらず気温も高いのに、感染者がここまで増えること自体すでに通常の状態でない。政府・マスコミ主導で正常性バイアスがかかりまくっているけれども、少しでも生命に危険が及ばない行動をすべき時であるのは、大雨対応だけでなくコロナでもそうであることは間違いない。

緊急事態宣言の対象地域拡大と期限延長が確実視されている。オリンピックであれだけ密にした静岡で感染拡大しなければ、奇跡でしょう。


[Aug 17, 2021]

行きたくても病院に行けないのなら

私が糖尿病で通う医院では、かれこれ1年半前から受付で体温のチェックをして、発熱していると入れてくれない。屋外で診察してくれる訳ではもちろんない。熱があったら保健所で診てもらってくれというのである。

個人の開業医の場合、医師や看護師に感染したら医院全体がアウトだから、経営上やむを得ないという理屈は分かる。また、糖尿病の患者に感染したら年寄りだけにリスクが高い。釈然としないものの、仕方がないとあきらめていた。

ところが、コロナ感染の急拡大により、各地で救急搬送できない状況が発生していて、先週のニュースではとうとう、東京消防庁で119番対応ができないということになったようだ。

東京だけでなく、各地でこうした状況が発生していて、WEBを探すとわが千葉県内でも同様の状況である。医療崩壊以前に、消防署が崩壊している。火事が頻発しないからいいようなものの。

もちろん、昨今のTVはいたずらに危機感をあおるばかりなので、救急車が行ってみたら数値はそんな悪くないというケースも相当数あると想像はつく。けれども、具合が悪いときに呼べるから救急車なのである。そういう時のために税金を払っている。

普通に考えても、医療機関でありながらコロナを診ないところは暇をぶっこいていて、受け入れている病院はキャパシティを超えているというのは行政・医師会の怠慢である。当番医を指定するなり、臨時で受け入れる施設を作るなり、いくらでも手段はある。

加えて、われわれ年金生活者にしたところで、節約すれば1ヶ月の食費に相当する金額を国民健康保険の保険料として支払っている。費用を分担しているのに治療を受けられないのならば、何のための保険料ですかということである。

不思議に思うのは、こういう事態になっているというのに、多くの人達はちゃんと保険料を納めていることである。行きたくても病院に行けない、治療を受けられないなら、保険料を払う必要はないという人が多くても不思議ではないと思う。

議員にせよ役人にせよ、自分達の職務は公共の福祉に資することだということを露ほども考えず、給料や歳費は自分達の既得権益だと思っている。偉そうにしている小池だって同じである。わが家では「おい小池」と呼んでいる。

感染者に対して死者や重症者が少ないとしても、たとえ少数でも救急車が来なかったり手当てが間に合わなかったとすれば、それは人災であり行政の責任である。記者会見の偉そうな態度をみると、そんなことは全く思っていないらしい。

多額の違約金を払うのが嫌だから、パラリンピックが終わるまでロックダウン的なことはしないのだろうが、そうだとしても救急搬送の準備くらいできなくてどうするという話である。誰がどう考えても、オリパラなど救急車を止めてまでやらなければならないものではない。不要不急の筆頭である。

コロナ感染者の搬送がひっ迫して、各地で救急搬送ができない状況となっている。どう考えてもこれは人災で、行政に責任がある。


[Aug 31, 2021]

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