
せいうち・・・セイウチ科セイウチ属の肉食獣で、北極圏に生息する。体重は成獣で500kgから1200kgに達する。最初は減量日記で始まりましたが、日々は移ろい、リタイア生活の徒然日記になりました。
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糖質制限食からマルタイ棒ラーメンへ ~せいうち日記201
経済的理由から、糖質1日130gを維持することが難しくなった。ここ2~3年、お昼はグラノーラが定番だったのだが、どんどん値上がりして1食100円ではすまなくなったのである。
しばらく前まで、日清のグラノーラ1袋は400g、コスモスで税込み380円くらいで売っていた。400gだと5食分である。牛乳を含めても、1食100円以内で済ますことができた。
ところが昨今の物価高騰で、まず400gが360g、さらに320gに目減りした。5食分だったのが4食である。それだけならともかく、値段も500円になった。重さで2割、値段で2割、合計4割の値上げである。それでも足らずに、新商品を名目に280gのものまで現れた。
そこまで足元を見られて、グラノーラを贔屓する義理はない。糖質制限以来白飯・ラーメン・うどんは原則として食べなかったが、背に腹は代えられない。4年ぶりにラーメンを解禁することとなった(そもそも、グラノーラで糖質制限になるかということでもあるのだが)。
とはいえ、ラーメンも物価高騰で値上りしている。かつて5袋250円で安売りしていたサッポロ一番は、もはや1袋100円以内では売っていない。チャルメラが時々5袋350円くらいで安売りするので買うけれども、いつも入手できるとは限らない。
そこで着目したのがマルタイ棒ラーメンである。安売りだと、2食入って140円。1食70円である。WEBで調べると業務用が1kg700円で売っているらしくもっと安いが、千葉ニューの業務スーパーには置いてなかった。
さて、何度かマルタイノンフライ麺を食べていると、せっかくだからトンコツ味を食べたくなった。トンコツ味のラーメンスープが100円で売っているが、スープに100円払ったら本末転倒ならぬ麺汁転倒である。YOUKIの顆粒豚骨スープというのがあるらしいが、やはり千葉ニューではどこにもない。
困ったな、麺70円スープ100円だけど仕方ないかと思っていたら、なんと日医大のナリタヤ(ここには富澤商店のパン材料が置いてある)に、マルタイ棒ラーメンとんこつ味が置いてあった。値段はノーマル味と同じ。コスモスより高いけれど、それでも1食100円未満である。
さっそく買って帰ってお昼にした。久しぶりのとんこつラーメンである。素ラーメンでも十分おいしいが、翌日には紅しょうが、辛子高菜、韓国海苔を買ってきてトッピングした。全然節約にはならないが、まあそれはおいおい改善しよう。
近所のスーパー・ナリタヤに、マルタイ棒ラーメンとんこつ味が置いてあった。値段はノーマル味と同じ。1食100円未満なので、このところ昼食に重宝している。

なじみのパン屋さんが閉店してしまったので、ホームベーカリーを買って自分で焼くことにした話を以前書いた。以来約4ヶ月、パンを焼くのはルーティーン化して、週に2~3斤パンを焼いている。
もともと才能があったのか、それとも象印ホームベーカリーがすぐれものなのか、たいへんおいしく焼ける。自分で思うだけでなく、奥さんもおいしいと言ってくれる。石窯パンの店と遜色ないし、ヤマザキやパスコとは比べ物にならない。
普通に考えれば、まっとうな材料を使えばちゃんと焼けるということで、そうでない大量生産はそれなりの味ということでもある。もっとも、ちゃんとした材料で輸送費込で1斤100円で売れるはずもないのだが。
材料は、日医大のナリタヤで買っている(ここにマルタイとんこつ味があったことは昨日書いた)。富澤商店のコーナーがあって、小麦粉はじめイースト菌や種々のトッピング、製菓材料も置いてある。ここで、強力粉「春よ恋」と準強力粉「リスドオル」の2.5kgを買う。リスドオルだと、さくさくに焼けて奥さんの好みである。
パンの材料では小麦粉が費用の半分以上を占め、他にバターが1回15g、イースト菌、くるみ、チーズ、ごまペースト等が必要である。牛乳、砂糖、塩、蜂蜜などは日常使いのもので間に合わせるので、合計月に4~5千円といったところ。パン屋さんで買うのと支出は同じくらいである。
はじめはチーズパン、黒糖くるみパンを中心に作っていたが、最近はレパートリーが増え、ごまペーストパン、ココアカシューナッツパン、ハーブパンが加わった。全粒粉も、1斤に40~50gずつ混ぜている。
ホームベーカリーではパンを焼くだけでなく、材料を入れれば生地をこねてくれるので、ピザ生地やナン生地が作れる。これもまたたいへんおいしくできるし、材料は同じなので新たに買わずに済む。糖質制限にはならないけれども、メニューの充実ができてうれしい。
[Sep 18, 2025]
奥さん骨折!!救急車で運ばれる ~せいうち日記202
9月最終の日曜日、わが家でたいへんな事件があった。奥さんが庭の階段から転落して、右腕を脱臼・剥離骨折したのである。
この日は白井梨マラソンの1週間前で、練習のため着替えの最中だった。まさにその時、外から呼ぶ声がする。部屋から下りてみると、奥さんが右腕を押さえている。「折ったみたい。ひじから先がぶらぶらしてる」。あと数分で走りに行っていたら、たいへんなところだった。
すぐに119番。救急車が来るまでとりあえずの処置。血は出ておらず頭も打っていないようだが「手がぶらぶらする。痛い」と言う。添え木を探したところ、適当なのは孫の手くらいである。ビニール紐で固定を試みるが、痛がるのでそっとしか添えられない。
走りに行く恰好のままではまずいので、手早く着替える。そうこうしているうちに救急車が来てくれた。あとから聞いたところでは、一番近い消防署で救急車が残っていることはほとんどないそうである。中に運び込んで、応急措置は救急隊員の方にお任せし、私は身支度と戸締りをする。
最初に連絡した救急病院は白井だったが、休日で専門医がいないので次の病院。すぐそばの、マラソン練習コースの病院だ。「ご主人は後から車で来てください」、救急車は痛みがひどい奥さんを連れて病院へ。
走っても10分以内に着く病院なので、数分で到着。日曜休診なので駐車場は空いている。正面入口は開いてなくて、裏の救急窓口に向かう。こちらの入口は初めてだが、練習コースで出入りする車を見ているので大体の配置は分かる。
着くと奥さんは措置室の中。救急隊員の人から言われたのは「ここでは対応できないので、成田赤十字病院に向かいます。場所は分かりますか」成田赤十字には診察で入ったことはないが、道はよく知っている(島田信広が亡くなった病院だ)。
奥さんはレントゲンを撮り、痛み止めの座薬を入れてもらったそうで、痛みは多少おさまったという。喉が渇いたと言うのだが「水は飲んではいけない場合があるので、我慢してください」。救急車は成田赤十字病院へ向かう。私はこの病院の手続き(マイナンバーの提示、前払金の支払い)をして、後を追う。
事故でも起こしたらややこしくなるので、慎重に安全運転で成田まで(奥さんに聞いた話では、入院予定で成田日赤に向かっていた車が交通事故に遭い、夫婦とも救急搬送されたらしい)。翌日以降は満車で入れなかった病院横の駐車場に止めることができた。
救急受付に行くと、奥さんはやはり措置室の中。救急受付のあたりは満席で、少し離れた正面入口で待つ。十数分くらいだろうか、奥さんと看護師の人が出て来て「中にコンビニがありますので、三角巾を用意してください」。
後で奥さんに訊いたところ、レントゲンを撮ったところ肘関節が完全に脱臼していて、麻酔を打って戻してもらったとのこと。ただし、骨折はないか詳しく調べる必要があり、翌日(月曜日)外来で診療となる。痛みは麻酔が利いて大丈夫のようだ。
入院するほどの大事でなかったのは幸いであった。負傷した右ひじは昔のように大仰なギブスではなく、包帯を巻いたら自然と固くなる素材で補強。それでも二の腕から右手首まで動かせない。処方された薬はロキソニンと胃薬で、付近の薬局が休みだったので帰る途中に日医大近くの薬局で購入した。
奥さんが搬送された成田赤十字病院。最初は近所の病院だったが、対応できないとのことで日赤に運ばれた。リハビリになったら、再び近所の病院になる予定。

救急搬送の翌日月曜日、午前9時過ぎに成田赤十字病院へ。整形外科外来に奥さんを置いて、外にあるドトールコーヒーで待つ。シナモンロールとコーヒーで1時間半待ち、10時半過ぎて整形外科に行く。ちょうど、奥さんはレントゲン室に向かうところだった。
なんとこの1時間半、奥さんは受付待ちでまだ何もしていなかったそうである。大病院には珍しくないことらしい(このくらいは当り前)が、すごいことである。申し訳ないが、一緒に待ってなくてよかったと思った。
その後、診察待ちで約1時間。まずギブス室という部屋に入って、右腕のギブスを付け替える。奥さんは「今日外せるかと思ってたんですけど」と主張するが、医師に「動かなくなりますよ」と脅されている。
説明によると、右ひじは脱臼しただけではなく剥離骨折しているので、2週間はギブスで固定(巻くと硬くなる例の材質)。その後、装具を付けてリハビリが必要となる。装具は7万円ほどかかるが、健保に申請すれば7割は返ってくるとのこと。
これで診察終わりかと思ったらそうではなく、ギブス室を出て診察まで1時間、さらに会計までさらに1時間待ち、会計機で支払いが終わって病院を出たのは1時半過ぎになってしまった。家の昼食は11時定時なので、二人とも腹ぺこである。(私はドトールでシナモンロールを食べただけよかった)
帰り道でファミレスに入る。「ラストオーダー2時半ですが大丈夫ですか?」とウェイトレスさんに言われ、手っ取り早くランチメニューを注文。お寿司とざるそばのセットで、奥さんは左手・フォークで食べなければならなかったが、たいへんおいしかったそうである。
その後2~3日は右手がむくんでたいへん痛そうだったが、「ロキソニンがよく効いて眠れた」。amazonを探して、お医者様に紹介されたシャワー用防水ギブスカバーと、整形外科の患者さんがみんなしていた腕用アームカバー(もはや三角巾をしている人はいないらしい)を購入、寝る時はアイスノンと冷えピタで腕を冷やして、徐々に改善に向かうことができた。
2週目にはほとんど痛みは取れたが、今度はギブスの重さで肩がこるのと、当たって「肌がぶつぶつ」。左手のフォークで食べるのはおいしくないと言って、最近は菜箸を右手に持って食べている。右手は二の腕から手首までギブスで固定されているので、普通の箸では口まで食べ物を運ぶことができないのだ。
何とか回復に向かい、Ⅹ線で調べても骨は固まっているので、今週木曜日にギブスが取れて装具になる予定。日赤病院は救急対応で、リハビリになったら地元病院を推奨される。こちらとしても近い方がいいので、装具を付けて以降は最初に運ばれた病院に移ることになる。
[Oct 14, 2025]
奥さんが成田赤十字病院で薦められた防水ギブスカバー。二の腕のところに防水機能があり、風呂やシャワーで水が入らないようになっている。

庭の階段から転落して右ひじを脱臼・剥離骨折して3週間。奥さんはようやくギブスが取れて装具を付けている。ギブスの時は二の腕から手首までまったく動かなかったが、装具になってひじの動く範囲が日ごとに伸びている。
下の写真がその装具で、ちゃんと採寸して作ったオーダーメイドである。7万円以上するが、値段だけのことはあってなかなか優れもので、これがないと痛くて動かせないらしい。ギブスほどではないがやっぱり重くて、肩が痛くなるのは相変わらずである。
ギブスを外すときはレンガを切るような電動カッターでやられたそうで、腕を切られたらどうしようと思ったそうだ。もっと手軽に外せるものだと思っていたら、外す時は昔と同じだったようである。(聞いた話では、皮膚を感知すると自動的に止まる仕組みとのこと)
「あれだけ派手に脱臼して、剥離骨折だけというのは珍しい」そうである。骨密度の心配をしていたくらいなのに、骨は丈夫だったようだ。私に続いて奥さんも年金をいただく年齢になったのだが、まだ体は若いのかもしれない。
半月以上ギブスで固定されていた右腕はダメージが残っていて、ひじから手首にかけて赤黒くアザになっている。ここ数日はギブスがゆるゆるだったというから、それ以前はもっと腫れていたものと思われる。そして、ギブスがなくなったので楽々動かせるかというとそんなことはなく、ひじをまっすぐ伸ばすことはまだできない。
赤十字病院では、毎回レントゲンを撮って回復状況を確認する。奥さんによると「どこが剥離骨折ですか?」というくらいⅩ線写真でも分からないそうだが、まだ痛みがあるというから完全には治っていないのだろう。
お医者様によると「はずみで強く付いたり寝返りを打つと危ないので、なるべく装具を付けてください」ということなのだが、私と違っておおざっぱな性格なので、1日の半分以上は外して過ごしている。
前回の通院の際、装具が必要という病院の証明書をいただいたので、市役所の国保年金課に行って補助申請をした。申請書に記入し、マイナンバーカードと振込口座の通帳・カードを見せて手続き終了。入金まで3ヶ月ほどかかるということだった。
この後、地元の病院でリハビリする運びとなる。昔のようにカルテのコピーを引き継ぐのではなく、CD-ROMにカルテとか骨折箇所のレントゲンといったデータを入れて、それを渡される。システム化されてたいへんスマートになった。
[Oct 24, 2025]
骨折から3週間、奥さんはやっとギブスが取れて装具をつけることができた。肘が曲がるようになったものの、装具を付けないとまだ痛むそうだ。
奥さんのケガと国民医療費 ~せいうち日記203
今月初めまでまだ暑かったのに、いきなり気温が下がった。冷房なしで寝られない夜から、結露拭きが必要になるまで、半月足らずである。秋物の服も1ヶ月経たないで冬物に衣替え、灯油も買いに行かなければならなかった。
温暖化といいつつ、冬になると寒い。1週間後には12月だから、よく考えれば冬物に衣替えするのも暖房が必要なのも当然である。おかしいのは夏が長すぎることなのだ。
半世紀前には夏休みの後は冷房なんか使わなくてもいい気候だった。秋になると運動会があって校庭で何度も練習させられたが、「熱中症注意アラート発令中です。屋外での運動は原則禁止」なんて言われることもなかった。そもそも、学校に石炭ストーブはあったが冷房なんてなかったし。
9月終わりに庭の階段を踏み外して脱臼・骨折した家の奥さんは、順調に回復に向かっている。赤十字のお医者さんに「あとはお家でリハビリすればいいでしょう」と言われたということで、近所の病院で行う予定だったリハビリはキャンセルした。
「肩を揉むくらいで骨折箇所も診ないんだから。1ヶ月ごとに表作るだけなんて、おカネがもったいない」とご立腹である。主治医は赤十字病院なので、指示がないとこちらの病院では何もできませんと言われたらしい。
地域医療とか分業体制とか言いながら、結局のところ地元病院に商売させて医療費増大を図っているだけである。話を聞いただけだが、骨折箇所を自分で診ずに赤十字病院から送られたCD-ROMをコンピュータで見るだけというのはさすがにひどい。これで診療報酬を取るのは二重払いであろう。
奥さんは骨折以来、同じようなケガをした人の話をいろいろ聞いてくる。先日の話だけれど、とうに80を超えたお婆さんが、地元の整形外科に腰の痛みが取れないと訴えたところ、「日医大を紹介しますからMRI撮って診てもらってください」と言われたそうである。
MRIで何か見つかる可能性は0ではないが、十中八九撮っただけで終わる。日医大は行ったら最後一日かかるから、悪くすると院内感染で罹らなくてもいい病気をもらってくる。年寄りだから、病院に行くだけでもひと仕事である(そもそも腰が痛むのだ)。
もちろん深刻な病気が隠れているかもしれないが、そのためにかかりつけ医がいる。顔色をみて患部を診て、血液検査くらいしているだろうから異常値がないか確認して、まず自分で判断するべきであろう。それをせずにMRIなんてすぐ言うから、国民医療費がどんどん増加するのだ。
昨年、長年のかかりつけ医に不要不急のSGLT2阻害薬を処方され、体調をおかしくした。今春は三叉神経痛で脳神経外科に行き、MRIを撮られた末「片頭痛でしょう」と効かない薬を出された。夏には白内障・緑内障疑いで眼科に行き、さんざん検査してかえって目が見えなくなる目薬を出された。
こうしてみると、開業医・中小医院の腕は、50年前に比べて確実に落ちていると感じる。医者は患者の顔色を診るだけで、胸に聴診器を当てるだけでどこが悪いか見当がつくというのがかつての常識だったが、いまの医者は検査結果がないと判断できない。その検査結果にしても、時系列では見ない。
こちらが歳取ったこともあるが、昔はお医者さんの言うことは聞いておくべきだと思っていた。ところがいまは、自分の体は自分で責任もって判断しなければならない。医者なんて投資顧問と一緒で、黙っていたらしなくてもいい検査をされ、飲まなくてもいい薬を出されるだけである。
生活習慣病療養計画書。診療報酬改訂により、余計な書類が増えた。こんなことで医療費を増やしてどうすると思う。

ニュースでは、中小病院の経営が苦しいので、東京都が国に診療報酬引き上げを要請するとか言っている。診療報酬も薬価も、全国一律であるのがそもそもおかしい。病院や薬局は、診療報酬・薬価から土地代も減価償却費も、人件費も備品代も出している。当然、東京の方が費用が大きくなる。(介護保険も、まったく同じ)
だから、地方の病院・薬局・介護施設は儲かって仕方がないらしい。地方ではコングロマリットみたいに医療・福祉財閥ができている。ぎりぎりで採算が取れているなら、規模拡大も多角化もできない。まして経営者が選挙に出る余裕もない。東京と同じ収入が、少ない費用で得られるから儲かるのだ。
東京都の主張するとおり、都市部で病院経営が難しくなっている現状はある。しかしそれは、諸物価高騰や人件費の増加で、病院を回していく費用がどんどん増えることと、院長に経営手腕がないので、どこをどうすれば収支償うのか分からないのが大きな理由だろう。
マーケティングも医療コンサルタントの言いなりである。例えば家の近所には、産婦人科医院がほとんどない。千葉ニュータウンはいまだに人口流入が続き、小学校も保育園も足りない。当然、産婦人科医の需要もあるのに、少子高齢化で産婦人科を開業しても儲からないと思い込んでいるのだろうか。
整形外科医も少ない。長年やっていたお医者さんが高齢のため引退して、年寄りが気軽に通える医院がなくなった。ニュータウンで子供も多いが、市街化調整区域には年寄りもたくさんいる。
東京で病院経営が苦しいのは、そもそも需要に対して供給が多すぎるか、収入に対して経費が多すぎるかである。医者や看護師が通うのだって駐車場が必要で、病院で作るにせよ提携駐車場を確保するにせよ、地方よりずっと費用がかかる。
東京で経営が成り立つように診療報酬を上げればますます医療費が増大するし、その結果健康保険料の負担が増え、サラリーマンの手取り所得は下がる。医者と薬局、製薬会社と医療機器メーカーが儲かって、大多数の給与生活者は苦しくなる。マスコミは一体誰の味方をしているつもりなのだろう。
国民皆保険ですべての人が先進医療を受けられる世の中になったけれど、結果として多くの医者のレベルが落ち、健康保険料が増加し、患者はしなくてもいい検査をして、飲まなくてもいい薬を飲まされているとすれば、いいことばかりではなさそうである。
結局のところ、誰だって永遠に生きることはできない。検査で悪いところが見つかったからといって、バカ高い薬を飲まなければならないとすればどうか。まして手術しなければならないならどうか。そんなことしなくても、楽に死なせてくれよという人だって少なくないはずである。
私自身もうすぐ70歳だから、心身に留意して健康に長生きしたいとは思うけれど、仮に不治の病に罹って余命半年と言われて落ち込むかというと、まあ仕方がないと思うのではないだろうか(落ち込むかもしれないが)。薬を飲んでも手術をしても進行を遅らすのがせいぜいで、若い時には戻らない。
まして、数千万円・数億円の費用がかかりますと言われれば、このままで結構ですと言うだろう。健康保険で3割負担です、申告すれば戻ってきますと言われるから、何もしないよりましと思ってしまう。
病院にかかるまでは健保負担でいいけれども、先進医療や高額医療はカネ持ちだけ自費でいいと思う。そんな治療はするつもりがないといっても、一度延命治療を受けてしまったら安楽死できないので、結果的にそのくらい医療費が増大することもありえる。
奥さんのケガを機に、そんなことを考えてしまった。
[Nov 27, 2025]
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