至仏山 [Sep 29-30, 2024]
この図表はカシミール3Dにより作成しています。
気がついたら、約4ヶ月山歩きをしていなかった。それどころじゃないくらい暑くて、山に行こうという気もおきなかった。 春の時点ではもう一回日光と考えていたのだけれど、熊が徘徊しているし、大気の状態は不安定で毎日雷雨みたいだし、そんな時に無理して行くこともなかろうと思っているうちに、時間は矢のように過ぎ去っていた。 お彼岸過ぎてようやく涼しくなり、10℃ほど一気に気温が下がった。北海道では峠が雪だというし、関東でもうっかりするとすぐ雪になる(鬼怒沼でも霧降でも、10月に雪の稜線を歩いたことがある)。この秋行くならいまのうちである。 思い立ってその週末だから、候補先は限られる。列車・バスの空席や山小屋の空室を調べて、今回は尾瀬がよさそうだった。そういえば、至仏山に登ろうと思ったが山小屋の人に止められて途中までで引き返したのは4年前である。 その時は鳩待山荘に泊まったが、現在は改装中でやっていない。至仏山に登るには山ノ鼻に泊まるのがもっとも便がいいので、至仏山荘泊で翌朝至仏山を計画した。2段ベットの相部屋・1泊2食で11,500円である。 バスは昼前に着くので、直行するとチェックイン前に着いてしまう。だったら、乗合タクシーを使わず戸倉から歩くのはどうか。検索してもなかなかそのルートが出てこないが、Googleによると至仏山荘まで歩いて4時間という。3時到着でちょうどいい。 バスタ新宿発7:15の便を予約。40席ほどあるが乗っているのは10人くらい。この便は川越駅を経由しないので、それでだろうか。でも寄り道しないので前の便に追いついてしまい、時間の節約になるし空いているからゆっくりできる。 南関東は雨が残るが、北関東は大丈夫そうな予報。でも、突如発生した台風の影響か、赤城高原SAを過ぎても小雨。あわててスマホで調べると、片品村は30%、桧枝岐は20%の降水確率だった。予定より40分ほど早く、10時半過ぎには戸倉に着いた。 久々に来る尾瀬戸倉。4年間で、ちょっと様子が変わった。前はバス内で鳩待峠まで行く人数を確認し、バス案内所まで乗合タクシーが迎えに来てくれた。現在は「鳩待峠まで行かれる方は、橋を渡って第一駐車場まで歩いてください」である。 関越交通の案内所も、シャッターが下ろされて無人である。すべて省力化で、人員整理されてしまった。帰りの切符も、スマホで買ってくださいということである。何だか寂しい。 4年前は有人窓口のあった関越交通戸倉案内所。現在はシャッターが下りて無人。後方は日帰り温泉のある尾瀬ぷらり館。 まあ、ここから歩くつもりだったので気を使わないだけよかったかもしれない。身支度をして、11時10分前に出発、案内所前の交差点を登る。乗合タクシーが行ったり来たりしているので、方向は間違いないだろう。 街並みはすぐに終わる。第二駐車場を過ぎると建物はほとんどない。ただ、道路は片側一車線で広く、上からは乗合タクシーだけでなく、普通乗用車やオートバイまで下りてくる。すぐに熊鈴を付けないといけないかと予想していたのに、全然寂しくない。 後から分かったのだが、マイカー規制しているのは津奈木橋から鳩待峠までの区間で、そこにはゲートがあってガードマンの人もいる。ところがみなかみ方面は何の規制もない。だから他府県ナンバーの普通乗用車やオートバイが通っていたのである。 戸倉から鳩待峠に向かう道路は笠科川に沿って北西へ進み、概して道の右を流れる。道はゆるやかに登り、左の斜面は近づいたり遠ざかったりする。近づくと落石防止のコンクリ壁だが、逆側が開けているのでそこまで圧迫感はない。 1時間半ほど歩いたが適当な休憩場所がないので、コンクリ擁壁のワイヤーに腰かけて休む。ちょうどお昼なので、SAで買ってきたハムチーズサンドを食べる。このパン屋さんも4年前は単独で店を開いていたのだが、いまは売店の片隅にパンが置いてあるだけになっていた。 休憩場所から20分ほど歩いて、分岐のある津奈木橋に着く。ここにベンチがあるかと思ったのだが、交差点と封鎖ゲート、ガードマンさんの控室だけだった。早めに休んでおいてよかった。ここまで2時間とみていたのだが、実際は15~20分多くかかった。 戸倉から鳩待峠まで道路標示によれば10km、笠科川に沿ってひたすら舗装道路を歩く。他府県ナンバーのマイカーやオートバイが走って来るので、そんなに寂しくない。 津奈木橋。マイカー規制があるのは鳩待峠方面で、みなかみ方面は特に規制なし。それで、白ナンバーの普通乗用車が走っていた訳です。 津奈木橋から先はマイカー規制だが、もちろん歩行者は通れる。ガードマンさんに挨拶して通る。ここから傾斜がさらに急になるのと、ヘアピンカーブが多く行ったり来たりするので時間がかかる。 道幅もすでに1車線なので、行き来する乗合タクシーも私が邪魔そうである。本来、自動車禁止か路線バスだけにするのが環境保護だが、地元経済は無視できないし私も帰りは乗らなくてはならない。理想通りにはいかない。 津奈木橋から鳩待峠までの標高差は200mほどだが、もっとずっと長く感じた。小1時間歩き、まだヘアピンのスイッチバックが進むのかと思ってスマホで確認すると、最後のカーブだった。午後2時15分、津奈木橋から1時間で鳩待峠着。 鳩待峠はずいぶんと様子が変わっていた。鳩待山荘・売店前の広場は工事中で、休憩舎を作っているようだ。この広場はかつて駐車場で、車が来なくなってずいぶん広く感じられたのだが、工事中でたいへん狭い。休憩スペースは売店前のベンチ数脚しかない。 3時間半登ってきたので、かなり疲れた。休憩スペースで休んでいる人達が食べていたソフトクリームがおいしそうだったので、私も買いに行く。650円と山岳価格だったが仕方がない。花豆ソフトクリームで、とても濃厚だったからラクトアイスではなさそうだ。 鳩待峠の広場(ずっと昔は駐車場だった)には大きな休憩舎が建設中。向かい側の東電系列・鳩待山荘も現在改築工事中ですごく狭く感じた。 2時半に腰を上げて山ノ鼻に向かう。ここからは下りなので、ずいぶん楽になる。長い登りで大汗をかいて、シャツもズボンも色が変わっている。乾燥室がなかったら大変だ(あった)。 下るのは私くらいだが、登って来る人は大勢いる。日曜日で、乗合タクシーの最終が4時半だから、みんなこの時間に登って来る。山ノ鼻に近づくにつれすれ違う人が減った。 それにしても、日本語を話していないグループが多かった。日本人だとお互いに道を譲って「こんにちは」と挨拶するのだが、大陸から来たグループは二列の木道いっぱいに広がり、自分達同士大声でしゃべって道を譲らない。富士山だけでなく、尾瀬も入山料を取るべきであろう。 約1時間歩いて道が平らになると、そろそろ山ノ鼻である。川上川の橋を渡ると、ビジターセンターが見えてくる。ひとつ奥の建物が至仏山荘。左手のテント場には、いくつかテントが張られていた。午後3時半至仏山荘着。 この日の宿泊客は少なく、夕食時に用意されていたのは10食ほど。2段ベット相部屋も定員6名に対し宿泊3で、3名とも下のベッドを使うことができた。> すぐお風呂に向かうと、コロナ以来ボディソープ解禁となったようで備え付けがあった。浴槽もたいへん深く、ゆっくり浸かることができた。受付横に乾燥室もあったので、濡れた衣類やお風呂で使ったタオルを干す。寝る前にはすっかり乾いた。 夕食は5時から。糖質制限中だが、この日ばかりは白飯を大盛りでいただく。おかずのメインはレトルトのハンバーグと、肉団子と野菜の鍋。冷凍の春巻きと花豆、デザートに小さなケーキも付いた。当然生ビールもお願いするのだが、850円と以前より値上げされていた。 この日は朝3時半に起きて昼寝もせず、4時間以上歩いたにもかかわらず、お風呂に入ってくつろいだらそんなに疲れていなかった。8時過ぎまでネット情報を確認したりiPADで将棋をして過ごし、乾燥室から衣類を戻して寝た。 夜中にヒザに鋭い痛みが走った。疲れではなく虫らしい。刺した奴の姿は確認できなかったが、三角形に刺し傷が残っていた。虫さされを持ってきたので付けておく。 翌朝、4時を過ぎたので起きる。朝食は6時からと聞いたので弁当にしてもらった。5~6人そうしていたようだ。談話室を使っていいそうなので、小さな電気を点けて朝食。おにぎり2つと、唐揚げ、焼鮭、卵焼きに魚肉ソーセージ。おにぎりには昆布が入っていたので、のりたまは用途が分からずそのまま食べた。 身支度をしてリュックを整理しながら明るくなるのを待つ。クマは尾瀬でも頻繁に確認されていて、夜間早朝の外出は自粛するよう注意書きがある。とはいえ、キャンプしている人がいる訳だから、実害は生じていないのだろう。 5時半になるとかなり明るくなり、出発するグループもある。私も熊鈴とホイッスルを用意して出発。行くなら他のグループとあまり間を置かない方がいい。明るくなるのが遅かったのは霧が出ていたせいもあったようで、見通しが利かないだけでなく霧雨も降っているようだ。 鳩待峠から下り坂を1時間ほどで山ノ鼻到着。ここにはビジターセンターとテント場、山小屋が数軒ある。この日の宿は至仏山荘で、ここも東電系列。 翌朝は霧雨であまり見通しが利かない。至仏山荘前の研究見本園入口が至仏山登山口。
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